ホテルのフロントで働くうえで、接客に使う英語表現は欠かせないスキルのひとつです。特に海外からの宿泊客が増えている今、英語での対応に不安を感じている方も多いのではないでしょうか。フロント業務では、チェックインやチェックアウト、問い合わせ対応など、英語で接する場面が頻繁に発生します。この記事では、ホテルのフロント業務でよく使われる英語フレーズを、シチュエーション別に分かりやすく紹介します。
ホテルで使う接客英語は日常英会話と同じではない?
実のところ、ホテルで使う接客英語は、一般的な日常英会話とは異なります。
接客の場では、相手に敬意を払った丁寧でフォーマルな表現が求められるため、日常会話とあわせて接客英語を学ぶ必要があります。
特にフロントは、ホテルの顔ともいえるポジションです。最初の対応がそのままホテルの印象につながるため、丁寧で心地よいコミュニケーションが求められます。
英語でも同様に、カジュアルな表現ではなく、礼儀正しく落ち着いた言い回しを意識することが大切です。
宿泊業界に詳しいアドバイザーが、あなたに合う職場をいっしょにお探しします。
宿泊業界での職務経験はありますか?
【ホテルフロントの接客英語フレーズ】声がけ
maroke / stock.adobe.com
まずは、あいさつや呼びかけなど、ホテルのフロント業務で覚えておきたい基本的な接客英語のフレーズをチェックしていきましょう。
あいさつ
お客様への基本的なあいさつは、時間帯に合わせて以下の表現を使いましょう。
午前:Good morning
午後:Good afternoon
夕方以降:Good evening
※Helloは少しカジュアルな表現になるため、上記のフレーズが望ましい
「〇〇ホテルへようこそ」
- Welcome to 〇〇 Hotel.
あいさつのあとに付け加えることで、歓迎の気持ちを伝えることができます。
呼びかけ
お客様に呼びかける際は、性別に合わせて呼びかけ方を使い分ける必要があります。
お客様(男性)→Sir
お客様(女性)→Ma’am/Miss
例:Good morning, sir.
「Miss」は主に若い女性へ向けられるのに対し、「Ma’am」は年配の女性に対して使われる傾向があります。
しかし、年齢の判断を誤ると、お客様に不快な印象を与えてしまうおそれもあります。
そのため、接客時のお客様への呼びかけについては、ホテル内で事前に対応方針を統一しておくことが望ましいでしょう。
また、お客様を呼び止める場面では、性別を問わず「Excuse me.」という表現が丁寧かつ無難です。状況に応じて適切なフレーズを使い分けることが大切です。
「ごゆっくりおくつろぎください」
- Please enjoy your stay with us.
- Please help yourself.(おくつろぎください)
「少々お待ちください」
- Just a moment, please.
- Could you wait for a moment ? (より丁寧)
「電話を切らないでお待ちください」
- Hold the line please.
返事
「かしこまりました」
- Certainly, sir/ma’am.
※Sure.でも可能だが、Certainly.が望ましい。
「とんでもないです」
- You’re welcome.
- Not at all.
- My pleasure.(より丁寧な表現)
問いかけ
「~してもよろしいでしょうか?」
- May I~?
例:May I have your name, please ?(お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?)
例:May I help you ? (お手伝いしましょうか?)
お客様に困りごとがあったときや、お客様がホテルの従業員に話しかけたいような素振りを見せたときにも使えるフレーズも併せて覚えておきましょう。
「~をご希望ですか?」
- Would you like〜 ?
例:Would you like a smoking room ?(喫煙のお部屋をご希望ですか?)
上記は、ものを勧める表現としても使えます。
例:Would you like some Japanese tea ?(日本茶はいかがですか?)
「入ってもよろしいですか?」
- May I come in?
ホテル&旅館業界の就職・転職についての記事
【ホテルフロントの接客英語フレーズ】予約受付
one / stock.adobe.com
予約の受付はフロント業務に欠かせません。予約受付の際に役立つ接客英語のフレーズを身につけて、予約業務もスムーズにおこなえるようにしましょう。
予約の表現
- 「予約」:reservation
- 「予約する」:make a reservation
予約受付時
予約を受け付ける際には、予約に必要な情報を正確に聞き取らなければなりません。予約受付時に確認する項目に合わせて、英語フレーズを紹介します。
予約日
- When would you like to check in ? (ご希望のチェックイン日はいつでしょうか?)
滞在日数
- How many nights would you like to stay?(何泊のご予定ですか?)
- How long will you be staying for ?(滞在日数は何日間ですか?)
人数
- For how many people?(何名様ですか?)
部屋の種類
- What kind of room would you like ?(どのお部屋をご希望ですか?)
お客様情報
- Could I have your name and phone number ?(お客様のお名前とお電話番号を教えていただけますでしょうか?)
予約の確認
「スミス様のお名前で6月25日に1名様でシングルルームを1泊でご予約いたしました。」
I have reserved a single room for one on June 25th for one night under Smith.
予約確認後、問題なければ、以下の一言を添えましょう。
- We look forward to seeing you.(お会いできるのを楽しみにしております。)
予約をしたお客様によい印象を与えられるしょう。
【ホテルフロントの接客英語フレーズ】チェックイン・チェックアウト
Svitlana / stock.adobe.com
お客様のチェックイン・チェックアウト時に使う接客英語のフレーズです。
チェックイン
「チェックインでよろしいですか?」
- Are you checking in ?
「ご予約はされていますか?」
- Do you have a reservation ?
「ご予約番号を教えていただけますでしょうか?」
- Could you have the reservation number ?
「お名前を教えていただけますでしょうか?」
- May I have your name ?
「こちらの用紙にご記入ください」
- Could you fill in this form ?
「パスポートを確認させていただいてもよろしいでしょうか?」
- May I have your passport ?
「お客様のお部屋は5階の501号室です。こちらはお部屋の鍵です」
- Your room number is 501 on the fifth floor. Here is your key.
「スタッフがお部屋までご案内します」
- Our staff will attend you.
「エレベーターは右手にございます。」
- The elevator is on the right.
チェックアウト
「チェックアウトでよろしいですか?」
- Are you checking out ?
「鍵をいただけますか?」
- May I have the key ?
「ミニバーはご利用されましたか?」
- Did you have anything from the mini-bar ?
※ミニバー=ソフトドリンクや酒類、小さいお菓子やおつまみなどの飲食物を提供する小型冷蔵庫あるいはその機能を持つ棚
「お支払いはいかがなさいますか?」
- How would you like to pay?
「ご精算内容をご確認ください」
- Please check your bill.
「お会計の合計は~円です。」
- Here’s your check, the total is ~ yen.
「お支払いは現金になさいますか、それともクレジットカードになさいますか?」
- Would you like to pay in cash, or by credit card ?
「お支払いはご一緒になさいますか、別々になさいますか?」
- Would you like me to make out one check or separate checks?
「〇〇円のお返しです」
- Here is your change of 〇〇 yen.
「こちらにご署名ください/暗証番号を入力してください」
- Could you sign here ?/ May I ask you to enter your PIN ?
「おつり(カード)とお控えでございます」
- Here’s your charge (your card) and receipt.
「当ホテルをご利用いただきありがとうございます」
- Thank you for staying with us.
「またのお越しをお待ち申し上げております」
- We look forward to seeing you again.
「気を付けてお帰りください」
- Have a safe trip to your home.
【ホテルフロントの接客英語フレーズ】トラブル発生時
ELUTAS / stock.adobe.com
ホテルのフロントは、時には突然のトラブルやクレームにも対応しなければいけません。
イレギュラーな事態が起きてしまったときに使える接客英語のフレーズをチェックしていきましょう。
「ご迷惑をおかけして申し訳ございません」
- We apologize for the inconvenience.
「お待たせして申し訳ございません」
- I’m sorry to have kept you waiting.
「こちらのミスをお詫び申し上げます」
- We’re sorry for the mistakes we made.
「二度とこのようなことがないようにします」
- This will never occur again.
「スタッフがすぐに向かいます」
- Our staff will be there in a few moments.
最低限、以上の接客英語を押さえていれば、いざというときも冷静に対応できるでしょう。
また、客室でトラブルが起きた場合はフロントに内線がかかってくることもあります。
お客様が目の前にいない分、伝わりにくいこともありますので、よく使うフレーズを受話器の近くに用意しておくと安心です。
ワンランク上を目指す!ホテルフロントの接客英語フレーズ
metamorworks / stock.adobe.com
海外から訪れるお客様の中には、異国の地で不安な気持ちを抱えている方も多いです。海外のお客様により満足していただくために、ここでは気の利いた接客英語のフレーズを紹介します。
「何か必要でしたら、いつでもお申し付けください」
- If you need anything, please let us know.
「何かお困りですか?」
- May I help you ?/How can I help you ?
「バスのご利用をお勧めします」
- I suggest that you take a bus.
「こんにちは。ご機嫌いかがですか?」
- Good afternoon. How are you ?
※挨拶は時間帯によって変えましょう。
「ごゆっくりとお過ごしください」
- Enjoy your stay.
お客様に挨拶をするときは、上記の「How are you ? 」などのようにフレンドリーな挨拶を心がけることで相手の警戒心をほぐすことができます。
さらにチェックインが済んだら、「Enjoy your stay.」と伝えましょう。
ホテルフロントの接客英語で大切なのは「話す」「聞く」
接客現場で英語を使う際には、「話す力」と「聞く力」が特に重要になります。
書いたり読んだりすることはできても、いざ話したり聞いたりとなると、戸惑ってしまう方も少なくありません。
たとえば、ペーパーテストでは問題なく書けても、道端で英語で話しかけられたときにうまく聞き取れなかった、言葉が出てこなかった。そんな経験をしたことがある方もいるのではないでしょうか。
さらに、日本人が学校で学んだ英語と、ネイティブスピーカーの発音には違いがあるため、知っている単語でも実際に聞くと意味がわからなくなってしまうこともあります。
そのため、書く・読むだけでなく、英語の「音」にも意識的に触れることが大切です。フレーズを覚えたら、実際に声に出して練習し、ホテルのフロントで接客している姿をイメージしながら発話練習を重ねましょう。
何度も繰り返して声に出すことで、頭で考えずとも自然とフレーズが出てくるようになります。これは、言葉がしっかり身についている証拠です。
英語学習は、一日だけ集中して取り組むよりも、短時間でも継続することが効果的だと言われています。日々の中で少しずつでも英語に触れる習慣をつくり、無理なく続けていくことが大切です。
接客英語を実践!ホテルフロントの仕事をお探しの方へ
ホテルのフロント業務で使える接客英語フレーズについてご紹介してきましたが、最も大切なのは「お客様としっかりコミュニケーションを取ること」です。
英語はあくまでもそのための手段であり、ただ話せるだけでは十分とはいえません。相手に伝わるように話し、気持ちのよい対応を心がけることが、接客における基本といえるでしょう。
今回ご紹介したのはフロント業務での英語フレーズですが、ほかの部署で使える接客英語についても知りたい方は、ぜひ以下の記事も参考にしてみてくださいね。