ホテルで働いて、なぜ給料が低いのかと気になったことはないでしょうか。実はホテル業界には、給料が上がりにくい理由がいくつかあります。しかし、だからといってホテル業界すべてが低いわけではありません。この記事では、ホテル業界の給料が低い理由を解説し、今の職場で収入を増やす具体的な方法や、転職によって収入アップを目指すためのポイントを紹介します。
ホテル業界の給料はなぜ低いのか
給料が低いというイメージのあるホテル業界。その理由は、業界特有の構造や経済的な背景にあるようです。ここでは、ホテル業界の給料が低いとされる主な理由を解説します。
もともとの給与相場が低い業界だから
ホテル業界は、サービス業の中でももともと給与相場が低めの傾向があります。その背景には、長年続いてきた業界構造があるようです。
そもそもホテル業界は長年、特別な専門資格がなくても働ける職場としての側面がありました。
このため、給与水準を上げる基準が少なく、結果として現在の給与相場にも影響を与えていると考えられます。
なお、厚生労働省が公表した賃金構造基本統計調査では、ホテル業界は「宿泊業・飲食サービス業」に分類されます。
2024年の同調査(速報)によると、産業別で最も平均月間所定内給与額が低いのが「宿泊業・飲食サービス業」の26万9500円でした。
これに対し、同じくサービスを提供する仕事である「生活関連サービス業・娯楽業」は28万5700円、サービス業(他に分類されないもの)は28万5800円です。
また、全産業の一般労働者の平均月間所定内給与額は33万200円であり、「宿泊業・飲食サービス業」はこれを下回っていることがわかるでしょう。
ただ、この統計はあくまで全国平均であること、さらに「宿泊業・飲食サービス業」にはホテル業界だけでなく、旅館業や飲食サービス業も含まれている点にも留意する必要があります。
利益率が低い業界だから
ホテル業界は、設備維持費、光熱費、人件費などの固定費が多く、利益率が低い業界だと言われています。
特に中小規模のホテルでは、客室単価に限界があり、価格競争も激しいため、利益を大きく伸ばすことが難しいのが現状です。
加えて、建物の老朽化に伴う修繕費やリニューアル費用なども必要となるため、経営コストがかさみやすい傾向にあります。
このような背景から、人件費の大幅な引き上げが難しく、結果として給与水準が抑えられているようです。
サービス業特有の給与体系だから
ホテル業界などのサービス業は、基本給に手当という給与体系が一般的です。
このことから基本給は低めに設定されていることが多く、深夜勤務手当や残業手当によって収入を補う仕組みとなっています。そのため、手当の有無で月ごとの給与に差が出やすいのが特徴です。
さらに、昇給も年功序列の文化が根強く、役職が上がらない限り、大幅な給与アップは期待しにくい傾向にあります。
景気や情勢に左右されやすいから
ホテル業界は、景気や社会情勢の影響を非常に受けやすい業界です。特に観光需要が減少する不況期や経済危機、さらにはパンデミック、自然災害、国際情勢の変化などによって宿泊客数が激減すると、ホテルの収益は直接的に打撃を受けます。
たとえば、新型コロナウイルスの影響で多くのホテルが営業休止や人員削減を余儀なくされたことは記憶に新しいでしょう。
収益が不安定になれば、当然ながら給与やボーナスへの反映も難しくなり、企業はコスト削減の一環として人件費を抑えることになります。
こうした業界特性により、安定した昇給や高い給与水準を維持することが難しくなっているようです。
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宿泊業界での職務経験はありますか?
今働いているホテルで低い給料を上げる方法
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このようにホテル業界は給与水準が低い傾向にあるものの、今の職場で収入を増やす方法がないわけではありません。ここでは、現職での給与アップを目指すための具体的な方法を紹介します。
昇進を目指してキャリアアップする
昇進は、最も確実に給与を上げる方法のひとつです。たとえば、フロントスタッフから主任、マネージャー、さらには支配人へとキャリアアップすることで、基本給や役職手当が大幅に増加するでしょう。
昇進のためには、リーダーシップ力、問題解決能力、チームマネジメントスキルなどが求められることが多いです。
日頃から積極的に責任ある仕事に取り組み、実績を上司にアピールすることが昇進への近道となるでしょう。
資格やスキルを身につけて手当を増やす
ホテル業界では、資格手当やスキル評価制度を導入している企業も多く、これを活用することで収入アップが期待できます。たとえば、以下のような資格が評価されやすいです。
- ホテルビジネス実務検定試験
- TOEIC® Listening & Reading Test
- レストランサービス技能検定
- ワインソムリエ
- 調理師免許
- 食品衛生責任者
これらはあくまで一例であり、ホテルの業務内容やポジションによって、評価される資格は異なります。
また、資格だけでなく、接客マナーやクレーム対応能力、マネジメントスキルといった実務でのスキル向上も重要です。
これらのスキルは評価対象となるだけでなく、昇進や昇給の際のプラス材料として活かせる可能性があります。
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インセンティブ制度がある場合は活用する
一部のホテルでは、売上や業績に応じたインセンティブ制度を導入しているところがあります。これは、固定給だけではなく、自身の努力や成果が収入に直結する仕組みです。
具体的な制度の内容はホテルごとに異なりますが、導入されているホテルに勤めている場合は積極的に活用しましょう。
副業や社内の別業務で収入を増やす
政府が働き方改革の一環として副業を積極的に推進していることから、副業を解禁する企業も増えており、ホテル業界でも同様のケースがあります。
また、副業が難しい場合でも、社内で別の業務を兼務することで追加手当が支給されることもあるようです。
まずは自社の就業規則を確認し、どのような収入アップの機会があるか探してみましょう。
給与交渉や条件改善を上司に相談する
意外と見落とされがちなのが、給与交渉や勤務条件の改善相談です。
交渉する際は、ただ「給料を上げてほしい」と伝えるのではなく、自分の貢献度や実績を具体的に示すことが重要となります。
また、タイミングも重要で、たとえば専門資格を取得したり、担当業務が増えたりしたときだとより交渉しやすいかもしれません。
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それでも給料が上がらない場合は転職を視野に入れよう
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今の職場で昇進やスキルアップに取り組んでも、思うように給料が上がらないこともあるでしょう。そんなときは、思い切って転職を視野に入れることも大切です。
ホテル業界の中でも、給与水準が高いホテルや待遇がよい職場はあります。また、転職によって給与だけでなく、ワークライフバランスやキャリアの選択肢が広がることもあるため、今の職場だけにこだわらず視野を広げてみるとよいでしょう。
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おもてなしHRに転職相談をする 出典:令和6年賃金構造基本統計調査 速報/厚生労働省今のホテルの給料が低いと悩んでいるなら働く環境を見直そう
ホテル業界で働く中で、今の給料が低いと感じて悩んでいる方は少なくないでしょう。
しかし、その悩みを抱え続けるだけでは、状況は変わりません。大切なのは、自分のキャリアや働き方を客観的に見直すことです。
給与が低いと感じる場合、まずは現在の職場でできることに取り組むことが重要です。
昇進を目指してスキルアップを図ったり、資格取得で評価を高めたり、インセンティブ制度の活用や副業で収入を増やしたりするなど、改善の余地は意外と多く存在します。
それでも状況が変わらない場合は、働く環境そのものを見直すという選択肢も視野に入れましょう。
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