日本の飲食店やレストランでは、外国人が働けるチャンスが広がっています。その中でも、特定技能「外食業」というビザは、外国人が日本で飲食の仕事をするために使える大切な制度です。
もともとはレストランやファストフード店などが中心でしたが、最近ではホテルや旅館のレストランなど、新しく働ける場所も増えてきました。
この記事では、特定技能「外食業」とはどんなビザなのか、どんな仕事ができるのか、どんなお店で働けるのか、そしてビザを取るために必要な試験や手続きについて、わかりやすく紹介します。
特定技能「外食業」は飲食店で働くための就労ビザ
特定技能「外食業」は、外国人が日本の飲食店で働くためのビザです。
日本では今、人手が足りない飲食店が多く、このビザを使えば、外国人もキッチンやホールなど、実務的な業務にしっかり関わることができます。
このビザを取るために、特別な学校を出ている必要はありません。そのため、調理の経験がなくても大丈夫です。
ただし、日本語と仕事に関する試験に合格すること、そして働くお店と正式な契約をすることが必要です。
働き方は、アルバイトではなくフルタイムです。つまり、正社員や契約社員として、しっかり働くことになります。
最初のビザは1年または数年ごとに更新され、最長で5年間、日本で働くことができます。
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特定技能「外食業」でできる仕事の範囲は調理・接客・店舗管理まで
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特定技能「外食業」のビザでは、調理、接客、店舗管理の3つの仕事をすることができます。
業務区分 | 仕事内容 |
飲食物調理 | お客様に提供する料理を作る仕事 |
接客 | お客様に料理を出したり、お会計をしたりする仕事 |
店舗管理 | お店の備品管理や清掃など、運営を支える仕事 |
それぞれの仕事内容について、くわしく紹介します。
飲食物調理|食材の下ごしらえから盛り付けまで
キッチンで料理を作る仕事です。たとえば、野菜を切ったり、食材を焼いたり、料理をきれいにお皿に盛りつけたりします。
特別な資格は必要ありませんが、正しい調理方法や衛生ルールを守って働くことが大切です。
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接客|注文から配膳・会計までの業務が中心
ホールでお客様とやりとりする仕事です。お客様を席に案内したり、注文を聞いたり、料理を運んだり、お会計をしたりします。
笑顔での対応や、日本語でのコミュニケーションが求められます。たとえば、「いらっしゃいませ」「ご注文をどうぞ」といったあいさつや会話が必要です。
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店舗管理|備品補充や清掃など運営を支える実務
お店の運営を支える仕事です。たとえば、備品の補充、店内の清掃、ゴミ出し、かんたんな事務作業などがあります。
ただし、店長や料理長のような責任者の仕事は、特定技能1号ではできません。つまり、お店をまとめたり、スタッフのシフトを決めたり、メニューを考えたりするような仕事は対象外です。
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特定技能1号の「外食業」ビザを取得するには2つの試験の合格が必要
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特定技能「外食業」のビザを取るためには、2つの試験に合格しなければなりません。ここでは、それぞれの試験の特徴を紹介します。
特定技能1号技能測定試験 外食業国内試験
特定技能「外食業」のビザをもらうためには、学科試験と実技試験の2つに合格しなければいけません。
この試験では、日本の飲食店で働くために必要な知識とスキルがあるかどうかをチェックします。
試験の種類 | 主な内容 | 具体例 |
学科試験 | 飲食の仕事で必要な知識をたしかめる試験 | ・衛生管理(手洗いや清掃、食中毒の予防など) ・調理の基礎知識(食材や調理器具の使い方) ・接客の基礎知識(お客様への対応など) |
実技試験 | 図やイラストを使って、実際の仕事で必要な力をたしかめる試験 | ・調理や接客の正しい判断ができるか ・材料や時間を考えて計画が立てられるか ・衛生的に作業できるかどうか |
試験の時間は70分で、テストは紙に書く形式(マークシート方式)で行われます。
問題はすべて日本語で書かれていますが、漢字にはふりがながついているので、漢字が苦手な人でも安心して受けられます。
日本語試験(JLPTもしくはJFT-basic)
特定技能「外食業」のビザをもらうには、日本語の試験にも合格する必要があります。使える試験は、次のどちらかです。
- JLPT(日本語能力試験)N4以上
- JFT-Basic(国際交流基金日本語基礎テスト)A2レベル以上
日本語試験は、どちらか一方に合格していればOKです。すでにJLPT N4以上に合格している人は、JFT-Basicを受ける必要はありません。
JFT-Basicはパソコンで受けるテストで、毎月いろいろな国で実施されています。試験の日程や場所は、公式サイトで確認できます。
JLPTは年に2回(7月と12月)だけ行われるテストです。申し込みの時期が限られているので、早めに準備しましょう。
特定技能「外食業」で働くまでの手続きと必要な条件
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試験に合格したあと日本の飲食店で働くには、働くお店との契約やビザの変更手続きが必要です。ここでは、仕事をはじめるまでの流れと、気をつけたいポイントを説明します。
ビザ取得までの基本ステップ
特定技能「外食業」のビザで日本の飲食店で働くためには、いくつかのステップを順番に進める必要があります。
- 試験に合格する
- 働くお店を見つける
- 雇用契約を結ぶ
- 在留資格を変更する
- 日本での仕事をはじめる
この流れをすべてクリアすれば、日本で正式に特定技能ビザを使って飲食の仕事をはじめることができます。
雇用契約・在留資格変更のポイント
特定技能「外食業」のビザで働くには、雇用契約を結び、在留資格を変更する手続きが必要です。以下のポイントをしっかり確認しておきましょう。
- アルバイトはNG!特定技能で働くには正社員・契約社員での雇用が必要
- 企業は「受入れ機関」としての条件を満たしていなければならない
- 登録支援機関や企業がサポートしてくれる体制が必要
- ほかのビザを持っている人は「在留資格変更」の手続きが必要
- 雇用する側は「支援計画」を作成し、出入国在留管理庁に提出しなければならない
特定技能の在留資格で働くには、ただ採用されるだけでなく、雇用形態や会社の体制、在留資格の変更といった制度上の条件を満たす必要があります。
不安なことがある場合は、企業や登録支援機関に相談しながら進めると安心です。
特定技能「外食業」で働ける職場
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特定技能「外食業」のビザがあれば、レストランだけでなく、さまざまな種類の飲食店や施設で働くことができます。どのような職場が対象になるのか、下のリストで確認してみましょう。
対象となる主な職場の例
特定技能「外食業」が対象となる主な職場は以下のとおりです。
- レストラン(洋食・和食・中華など)
- 居酒屋
- ファストフード店
- カフェ・喫茶店
- ベーカリー・スイーツ店
- 給食施設(学校・病院・会社の食堂など)
- フードコート内の店舗
- ホテル・旅館のレストラン(※飲食部門に限る)
もともと特定技能「外食業」は、一般的なレストランなどが中心でしたが、最近の制度変更により、ホテルや旅館のレストランでも働けるようになりました。
そのため、より多くの選択肢の中から、自分に合った職場を探すことができます。
特定技能でホテル・旅館勤務もOKに!飲食の仕事をもっと広く探そう
働ける職場の条件と注意点
特定技能「外食業」のビザで働くには、どんなお店でもいいわけではありません。ビザを使って働ける職場には、いくつかの条件やルールがあります。
適正な雇用契約・支援体制のある企業であること
特定技能のビザで外国人を雇うためには、企業側にもルールがあります。外国人を受け入れる準備がきちんとできている会社でなければなりません。
たとえば、仕事や生活のサポートをしてくれる「登録支援機関」と契約している、外国人スタッフのための「支支援計画」を作っているなどの体制があることが必要です。
責任者(店長・料理長など)業務は1号では不可
特定技能1号では、お店の責任者としての仕事はできません。
たとえば、店長や料理長、シフトリーダーなど、ほかのスタッフを指導したり、売上管理・人事管理など店舗運営の中心になったりするような仕事は対象外です。
あくまで、自分の仕事を担当する調理や接客のスタッフとして働くことになります。
特定技能「外食業」に関するよくある質問
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特定技能「外食業」のビザに関心を持っている方から、よくある質問をまとめました。仕事内容や試験のこと、働ける場所など、気になるポイントを紹介します。
特定技能「外食業」はどんなビザですか?
飲食店でのアルバイト経験は、ビザ取得に役立ちますか?
特定技能「外食業」ビザで、どんな仕事ができますか?
技能測定試験や日本語試験は、どこで受けられますか?
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出典:外食業分野/出入国在留管理庁出典:特定技能1号の各分野の仕事内容(Job Description)/出入国在留管理庁出典:外食業国内試験/外国人食品産業技能評価機構出典:日本語能力試験 JLPT出典:JFT-Basic 国際交流基金日本語基礎テスト
特定技能「外食業」で日本の飲食店で働く一歩を踏み出そう
特定技能「外食業」は、日本のレストランやカフェ、ホテルのレストランなどで働きたい外国人の方のためのビザです。
必要な試験に合格し、手続きや職場の条件を確認すれば、安心して日本で働くことができます。
しかし、「どんな職場があるのか」「どこで求人を探せばいいのか」など、一人で調べるのは大変だと感じる方もいるかもしれません。
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