防音性が低いホテルは騒音被害が多い
個人客がメインターゲットのホテルや宿泊特化型のホテルは、大人数で利用できるホテルと比較し、防音性が低い傾向にあります。
加えて駅近ともなれば、外の音も拾いやすくなってしまうため、音が気になるというお客様も珍しくないようです。
それが、我慢できるレベルの音量であれば自己解決をするお客様も多いはず。ですが、「騒音」と感じるほどの音であれば、クレームに繋がりかねませんよね。
実際、フロントに「音が気になる」という不満を漏らすお客様は少なくありません。
インターネット上の口コミでも、騒音の被害報告が目立ちます。音に敏感なお客様であれば、口コミを見て利用を避けるということもあるようです。
では、騒音に関するクレームを受けた場合、従業員はどのように対処すべきなのでしょうか。ホテルの騒音の原因と、問題別の対処法をご紹介します。
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ホテル騒音の2つの原因
騒音の原因は、2つに大別されます。まずは、自ホテルに寄せられる騒音のクレームがどちらに当てはまるのかを見定めてください。
ホテルの構造上の問題
1つ目の原因は、壁が薄い、天井が低い、気密性が低いなど、ホテルの構造に何かしらの問題や欠陥があるというものです。
上階・廊下の足音さえ聞こえるという意見が多く寄せられるホテルは、他ホテルよりも防音性が低いと考えた方がよいでしょう。
上記は全室に共通することが多い問題ですが、エレベーターやボイラー室に近いなど、ある一定の客室のみ騒音被害が多いホテルもあります。
他のお客様の問題
もう1つの原因は、隣接した部屋に宿泊している他のお客様がたてる音です。お客様が原因となるホテルの騒音の例は以下の通り。
・うるさい足音
・人の話し声
・テレビやステレオの音
・ドアの開閉やバスルームを使用する音
十分な防音対策を施しているにも関わらず騒音が響いてしまう場合、ホテル側に直接的な非はないものの、適切な対処を施さなければお客様の不満はホテルに向けられるため、注意が必要です。
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問題別に見るホテル騒音の対処法
騒音の原因は「ホテルの構造によるもの」「お客様によるもの」の2つに分けられるとご紹介しましたが、騒音被害が寄せられたホテルやビジネスホテルはどのような対処を行うべきなのでしょうか。問題別の対処法をご紹介します。
構造上どうしても騒音被害が出てしまう客室がある場合
対処法は2つあります。1つは可能な限り防音性を高める措置を行うこと、もう1つは「訳ありの客室」として通常よりも安価に客室を提供することです。
防音性を強化すると言えば、大規模な改修工事が思い浮かびますが、窓ガラスを変えただけで室外機の騒音クレームが無くなったケースもあります。
また、最初から「訳ありプラン」と打ち出すことで、クレームが高評価に転じることも多いようです。
ただし、一部の客室を安価に提供することは「他の客室も価格を合わせろ!」というクレーマーを引き寄せるリスクも孕んでいますので、ホテルの方針を定めたうえで実行を検討しましょう。
全客室で被害報告が上がる場合
ホテル全体の防音性が低い場合、防音対策を取ることを検討すべきです。
一番の理由として、うるさいと感じたお客様の次の利用が見込めないという点が挙げられます。
同価格であれば、静かなホテルに泊まりたいと思うのがお客様心理。いつまでも騒音対策に手をつけないままでいれば、リピーター数が伸び悩んでしまうことでしょう。
最近では、防音ガラスや吸音パネルなど、部分的に防音性能を強化する建材も増えているので、被害報告が多い場合は専門業者に相談してみてはいかがでしょうか。
簡易的な策で言えば、耳栓の貸し出し・配布で対処するのもひとつの手ですよ。
騒がしいお客様がいた場合
最もお客様の不満が溜まりやすいのは、他のお客様の出す騒音です。深夜にも関わらず、隣の客室で宴会が始まってしまった時にはたまったものではありませんよね。また、うるさい足音も耳に付きやすいものです。
しかし、何のきっかけもなく従業員から特定のお客様に注意をする訳にはいきません。ですので、フロントへ相談が来た際に、騒音の原因となっているお客様へ迅速にお声がけをする心構えをしておきましょう。
お声がけのポイントは、被害報告をしたお客様の情報を伝えないことと、原因となるお客様を絶対悪にしないという2点です。
騒音を出すお客様は、悪気が無いことが大半です。ほんの少しの注意で収まるケースも少なくないので、まずは様子見程度にお声がけを行ってみてください。
常識のあるお客様であれば、少しの注意でも「人様に迷惑をかけてしまった」と反省をしてくれるはずです。
ホテルの騒音は悪質クレーマーの恰好の餌に!
「騒音」と感じる程度は、お客様によって異なります。自分がもとより神経質だという認識があるお客様や、常識のあるお客様であれば、騒音に対し自らの手でなんらかの対処を施すはずです。
しかし、中にはここぞとばかりにクレームをつけるお客様がいることを忘れてはなりません。
騒音の被害報告が上がることが多いホテルやビジネスホテルを狙い、「うるさくて眠れなかったから、宿泊費は払わない!」という理不尽な請求をするクレーマーも一定数存在しますので、「音が気になる」という意見が多いホテルは、早めの対処を心がけましょう。
下記記事もぜひ参考にしてみてくださいね。
ホテルの騒音は被害報告にあわせて適切なクレーム対応を!
ホテルの騒音の主な原因は、ホテルの構造上の問題によるもの、もしくは他のお客様によるものです。
構造上の問題であれば、安価なプランを打ち出す、防音性能の高い建材を導入するなどの対処をすることができます。
お客様によるものであれば、「夜22時以降はお静かに」という案内を徹底する、耳栓を貸し出すというだけでもクレームの減少に繋がるかもしれません。
いずれにしても、放置しておくことは禁物です。重ねて被害報告が上がるようなホテルは、被害報告にあわせ、適切な対処を行うようにしましょう。