採用担当者への質問メールが自分の印象を左右する!
就職活動や転職活動の最中に「企業に質問したいけど、メールで質問をして失礼にあたらないか……」と悩んだ経験を持つ方は少なくないでしょう。
分からないことを分からないままにせず、疑問を解消したうえで選考に進んでもらった方が企業としてはありがたいもの。質問をする分にはまったく問題ありません。ただし失礼にあたるような書き方や内容では、採用担当者にマイナスの印象を与えかねないので注意が必要です。
ビジネスメールを送る機会が少ない方にとっては、たった1通質問のメールを送るだけでも緊張するかもしれません。しかし、ポイントさえ押されば、マナーに沿った質問メールを作成できるはず。場合によっては、採用担当者に好印象を持ってもらえることも。
では、採用担当者へ質問のメールを送る際にはどのようなことに気をつければ良いのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
採用担当への質問メールの基本構成は?
採用担当者へ送る質問メールの基本構成から解説します。以下の基本的な要素を入れて質問メールを作成しましょう。
件名
メールにおける大切な要素のうちのひとつは、件名だといわれています。自分のメールフォルダを思い出してみましょう。件名が空白・不適切である場合、開封しない方も多いのではないでしょうか。
「適切な件名であるべき」ということは企業への質問メールでも同様。件名が空白だったり、不適切だったりする場合、迷惑メールフォルダへと振り分けられてしまうリスクもあります。
下記が件名のポイントです。
- ・短くまとめる
- ・メールの要件が分かる
- ・自身の名前を入れる
採用担当者は、複数の求職者とメールのやりとりをしている場合があります。ひと目で誰からのメールなのか分かるように、自分の名前は必ず件名に記しておきましょう。また、忙しい採用担当者がある程度の内容を理解できるように、要件を短くまとめて件名に記載しておくと丁寧です。
宛名
相手の宛名を記載します。その際は必ず「会社名」「部署」「採用担当者名」を明記しましょう。
採用担当者名が不明の場合には「ご担当者様」、部署も担当名も不明の場合には「採用ご担当者様」と記載すれば良いでしょう。
書き出しのあいさつ
初めてメールを送る場合には、書き出しは下記のような文言が適切です。
・初めまして。
・お世話になります。
・初めてメールをお送りいたします。
・突然のご連絡失礼いたします。
2度目以降のメールの場合には「お世話になっております。」と記載すれば問題ありません。
差出人の明記
書き出しのあいさつの後には、差出人が誰であるのかを明記しましょう。氏名のみではなく、学生であれば大学名・学部・学科、転職活動中であれば下記のように、氏名と状況を明記することがおすすめです。
・私、現在就職活動をしております〇〇大学△△学部□□学科のおもてなし 太郎と申します。
・私、貴社の会社説明会の予約をさせていただきましたおもてなし 花子と申します。
質問
メールの本題である企業に聞きたい質問を記載します。多忙な採用担当者へ配慮して、できるだけ簡潔にまとめましょう。
質問が複数ある場合には「〇点質問がございます」などと文頭で明らかにすると、読みやすくまとまるはず。以下の例を参考にしてください。
・交通費の支給があるとのことですが、領収書の提出は必要でしょうか。
・2点質問がございます。
1.ご案内いただいた面接会場は入口が2カ所あるようですが、北側と南側のどちらから入室すればよいでしょうか。
2.交通費の支給があるとのことですが、領収書の提出は必要でしょうか。
締めくくりのあいさつ
質問を記載した後は、文章を締めるひと言を添えましょう。下記のような文言が入っていれば、採用担当者から「しっかりとした人だな」と思ってもらえるかもしれません。
・お忙しいところ恐縮ですが、お教えいただけますと幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。
・ご多忙の中、大変恐縮ではございますが、ご教示いただけますと幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。
・ご多忙の折、お手をわずらわせてしまい大変恐縮ではございますが、ご返信いただけますと幸いです。何卒よろしくお願いいたします。
署名
文末には必ず署名を入れましょう。署名にはメールの差出人がどこの誰なのか、どこに連絡を入れればコンタクトが取れるのかといったことを伝える役割があります。
署名にはさまざまなテンプレートがありますが、企業へ送るメールの場合はビジネスシーンにふさわしいデザインのものを選びましょう。また、署名には最低限下記の内容を盛り込むことをおすすめします。
- ・氏名(ふりがな)
- ・住所
- ・電話番号
- ・メールアドレス
- ※学生の場合は、学校名・学部・学科の記載も忘れずに。
ほとんどのメールソフトには、1度設定すれば自動的に署名が入ったり簡単に署名を入れられたりする機能がついています。就職活動・転職活動を行う期間は企業へのやり取りも増えるので、署名の設定がまだであれば早い段階で設定しましょう。
採用担当者への質問メールで押さえておくべきポイント
前項では採用担当者に送る質問メールの基本構成を紹介しましたが、どのようなことを心がけてメールを作成すれば良いのでしょうか。押さえておきたい4つのポイントを解説します。
ビジネスメールであることを意識する
当たり前のことですが、採用担当者への質問メールは、親しい相手とのやりとりとは異なります。あくまでも「企業へ送るビジネスメールである」という意識をなくさずに、丁寧な文章を心がけましょう。
また、適切なビジネスメールを作成するには、マナーや敬語の知識が必要です。学生の場合、多少の誤りがあっても許されるかもしれませんが、社会人の場合はそうはいきません。
特に、二重敬語や誤字脱字などのケアレスミスには細心の注意を払いましょう。たとえアルバイトに応募するための質問メールであっても、きちんとした文章に仕上げてくださいね。
質問内容を簡潔にまとめる
採用担当者は多くの関係者とやり取りしていることが一般的。応募者だけでなく社内・社外の関係者など、はかり知れないほど多くの人と連絡を取っているかもしれません。
多忙な採用担当者の負担を軽減するためには、要点を簡潔にまとめることが重要です。 また、質問の回答が想定できる場合には、採用担当者が回答をしやすいように、想定できる回答を含めたメール文面を作成すると良いでしょう。下記の文章を参考にしてください。
・面接会場の表記が見当たりませんでしたが、貴社本社でお間違いございませんでしょうか。
・面接のお時間が「8:00」という表記でしたが、「20:00」という認識で間違いございませんでしょうか。
誤字・脱字のチェックを必ずする
質問メールの文面を作成した後は、必ず全文に目を通し、誤字・脱字をチェックしましょう。間違いがない状態であることを確認した後に、メールを送信することをおすすめします。
誤字・脱字があるだけで、マイナス評価につながるリスクがあります。人間、誰しもミスを起こしてしまうことはあります。しかし、転職・就職活動は今後の人生を左右するかもしれない局面です。
他応募者にミスがない中、あなただけ誤字・脱字があった場合、採用担当者の目にはどのように映るでしょうか。企業はミスそのものを見ているのではなく、ミスを防ぐことができる人間なのかを見ています。
せっかくの人生の転機を、些細なことで台無しにしないように、送信前の最終チェックは徹底してくださいね。
返信には24時間以内にお礼メールを送る
採用担当者から質問に対する返信が来たら、必ずお礼のメールを送りましょう。厳密に時間の制約はありませんが、一般的には質問の回答メールを受信してから、24時間以内に返信することが望ましいとされています。
気になる疑問が解消されたことで満足してしまいがちですが、時間を割いて返信をくれた採用担当者へお礼をしないのは失礼にあたります。
質問メールを送る際には「お礼のメールを送るところまでがワンセット」と心にとどめておいてくださいね。
採用担当者がマイナスの印象を受ける質問メールとは?
採用担当者からマイナス評価を下されるリスクのある質問メールとは、どのようなものなのでしょうか。回避すべきミスとして、代表的な例を見ていきましょう。
企業名・採用担当者名に誤りがある
企業名・採用担当者名の誤りは、最も失礼なミスといえるでしょう。
宛名はメール冒頭に記載されているため、最初に目に入ります。一番先にミスを目にした採用担当者からすると、その後どれほど丁寧な文章がつづられていても「失礼な応募者だ」という気持ちが拭えないのではないでしょうか。
一文字誤りがあるだけでもマイナス評価につながりかねないので、企業名・担当者名は特にミスがないように心がけてくださいね。
なお、採用担当者の氏名の漢字が不明、ただ読み方だけはわかるなどいう場合もあるでしょう。その場合はカタカナで表記し、「漢字をお伺いするのを失念しておりましたため、カタカナ表記にて失礼いたします。」などの一文があると、丁寧な印象を与えることができます。
改行などがなく読みづらい
前項のポイントの1つとして「質問を簡潔にまとめる」と紹介しましたが、メールの文章全体においても同じことがいえます。
適切な改行のない文章は読みにくいものです。改行の他にも箇条書きや下線などを使い、読みやすく仕上げてくださいね。
ホームページなどで確認できることに対する質問
質問メールを送る前に「自分で解消できる疑問ではないか」ということを確認しましょう。質問するのは、直接聞かなければ解決できないことだけにしてください。
企業のホームページや、以前にやり取りしたメールの中に書かれている内容を質問すると「きちんと確認していないのかな?」という印象を持たれてしまいます。
本来、不要なはずの質問は採用担当者の時間を無駄に使わせてしまうもの。質問のメールを送信する前に、どこかに記載されている内容ではないかチェックしましょう。
「御社」ではなく「貴社」とする
「御社(おんしゃ)」と「貴社(きしゃ)」の差は、口語であるか、文語であるかの違いです。口語の場合は「御社」を、文語では「貴社」を用います。
面接対策の映像や、企業の営業電話口などでは「御社」が使用されるため、耳に残り、そのままメール文面でも「御社」と書きそうになることもあるでしょう。しかし、それは間違いにあたります。
文中で企業を敬う内容を記載する際には、「貴社」と表記することを忘れないでくださいね。
返信文の「Re:」はそのまま残す
メールソフトで返信のボタンをクリックすると、「Re:」という表記が表示されます。質問の回答メールを受けた際には、件名の冒頭に「Re:」がつき「Re:(件名)」という表記になりますが、これは「件名についての返信」という意味です。
「Re:」を消してしまうと、何についてのやり取りだったのか採用担当者が分かりづらくなってしまうので、消さずに残してくださいね。ただし何度もやり取りを繰り返し「Re:Re:Re:Re……」と続く場合は適宜「Re:」を消して、件名を見やすくすることがおすすめです。
絵文字や機種依存文字を使わない
絵文字・顔文字をビジネスメールに使ってはならないことは一般常識ですが、「機種依存文字」も避けるべきということを知らない方は多いかもしれません。
機種依存文字とは、該当の文字が同じ環境のパソコン・スマートフォンなどでは正しく表示されますが、別の環境では正しく表示されない場合がある文字を指します。使ってしまいがちなものとして挙げられるのは「(株)」を1マスで表した文字や丸で囲んだ数字、電話番号を表す記号などです。
機種依存文字を使ったメールは迷惑メールフォルダに振り分けられてしまったり、採用担当者のパソコンで文字化けしてしまったりする場合があります。
機種依存文字がスムーズなやり取りの妨げになるかもしれないので、使用を避けてくださいね。
なるべくパソコンから送信する
スマートフォンが発達した現代ではパソコンを持っていない人も少なくないかもしれません。しかし、パソコンを持っているなら転職活動に関する質問のメールはパソコンから送信することが望ましいでしょう。
その理由は、採用担当者は多くの場合パソコンでメールをチェックするからです。スマートフォンなどから送信したメールをパソコンで受信すると、きちんと整えたつもりの改行などが崩れて読みにくくなる場合があるのです。
やむを得ずスマートフォンなどから送信するのであれば、パソコンでメールを開いたときの見え方を意識してくださいね。
採用担当者への質問メールサンプル
採用担当者へ送るメールの文面サンプルを、4つ用意しました。これらを参考に、質問メールの文章を作成してくださいね。
サンプル1:面接の場所に対する質問(1つの質問)
件名:<質問>1次面接の開催場所につきまして:〇〇大学 ●● ●●(氏名明記)
株式会社〇〇
△△部 □□課
~~ ~~様
初めまして。
私、◆月◆日に貴社の1次面接に参加させていただきます
〇〇大学△△学部□□学科の●● ●●(氏名ふりがな)と申します。
先日は、書類選考通過のご連絡をいただき、誠にありがとうございました。
早速ですが、表題の件についてご確認をさせていただきたく、ご連絡いたしました。
面接の開始時間は10時とのことですが、会場の記載が見当たりませんでした。
訪問先は、貴社本社の下記住所でお間違いございませんでしょうか。
〒000-0000 東京都XX区XX X-X XXビル X階
お忙しい中お手数おかけし大変恐縮ですが、ご確認いただき不足などございましたらご教示いただけますと幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。
——————–
(署名)
サンプル2:質問に対するお礼メール
件名:Re:Re:1次面接の開催場所につきまして:〇〇大学 ●● ●●(氏名明記)
株式会社〇〇
△△部 □□課
~~ ~~様
お世話になっております。
〇〇大学△△学部□□学科の●● ●●でございます。
ご多忙の中、早速のご返信誠にありがとうございました。
開催場所につきまして、貴社本社1階にて実施されるとのこと、承知いたしました。◆月◆日の10:00に、貴社本社1階に伺います。
当日はお時間をいただき恐縮ではございますが、お会いできることを楽しみにしております。
何卒よろしくお願い申し上げます。
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(署名)
サンプル3:説明会当日の持ち物・服装に対する質問(複数の質問)
件名:<質問>企業説明会の持ち物と服装につきまして:●● ●●(氏名明記)
株式会社〇〇
採用ご担当者様
初めてメールをお送りいたします。
私、◆月◆日の会社説明会の参加予約をいたしました●● ●●(氏名ふりがな)と申します。
表題の通り、企業説明会につきまして2点質問させていただきたく、ご連絡いたしました。
[1] 持ち物について
参加要件を確認しましたところ、特にご指示がないようでした。
持ち物に関しては、筆記用具を持参する予定でございますが、履歴書・職務経歴書といった書類を持参する必要はございませんでしょうか。
[2] エントリーシートの提出について
説明会後、エントリーに進む場合はエントリーシートを提出するということですが、帰宅後に検討し、後日提出することは可能でしょうか。
以上です。
お忙しいところ大変恐縮ですが、お教えいただけますと幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。
——————–
(署名)
サンプル4:アルバイトの業務内容に関する質問
件名:<質問>アルバイトの業務内容につきまして:〇〇大学●● ●●(氏名明記)
株式会社〇〇
採用ご担当者様
初めまして。〇〇大学△△学部□□学科の●● ●●(氏名ふりがな)と申します。求人情報サイトで貴社のアルバイト募集要項を拝見し、連絡いたしました。
ぜひ応募したいと考えているのですが、業務内容につきまして質問したいことがございます。今回の募集はホテルの客室係で業務内容は客室清掃とのことですが、ルームサービスやアメニティの提供といった接客業務はないという認識でよろしいでしょうか。
ご多忙の中お手数をおかけしますが、ご回答いただけますと幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。
——————–
(署名)
質問メールのポイントを押さえて不安を解消しよう!
いざ「質問メールを送る!」という時は緊張しやすいものですが、ビジネスメールの基本とポイントを押さえれば、適切に質問できるはずです。今回の記事を参考に、疑問点を解消して就職・転職活動を進めてくださいね!
なお、ホテルや旅館への転職に関する悩み事は、おもてなしHRにお聞かせください。