お客様に快適なホテル滞在を提供するためには、行き届いた客室清掃が欠かせません。その清掃品質を保つために、多くのホテルでは「客室清掃マニュアル」が活用されています。清掃手順を守ることはもちろん、なぜその手順が必要なのかを理解することで、より質の高いサービスが実現できるでしょう。この記事では、客室清掃マニュアルが求められる理由や、実際の作業の流れを例として紹介します。
ホテルの客室清掃にマニュアルがある理由とは?
「客室がきれいになれば、清掃の順番や方法はそれほど重要ではないのでは?」と、思ったことがある方もいるかもしれません。
たしかに、客室清掃の最終的な目的は、お部屋を清潔な状態に整えることです。しかし、ホテルの客室清掃マニュアルでは、作業の順番や手順、使用する道具にいたるまで細かいルールが定められています。
なぜそのようなマニュアルが必要なのでしょうか。ここでは、ホテルの客室清掃にマニュアルが求められる理由について詳しく見ていきましょう。
清掃のムラを無くすため
ホテルの客室は、どの部屋でも同じクオリティの清潔さが保たれていることが求められます。
担当するスタッフによって仕上がりに差が出てしまっては、お客様の満足度を損ねかねません。
マニュアルを活用し、作業の手順やチェックポイントを統一することで、どのスタッフが担当しても均一な品質を保つことができます。
これにより、不十分な清掃によるクレームを防ぎ、安心して快適に過ごしてもらえる客室づくりにつながります。
効率よく清掃するため
客室清掃の時間には限りがあります。チェックアウトから次のお客様のチェックインまでの間に、複数の部屋をスムーズに仕上げなければなりません。
マニュアルは、無駄な動きを減らし、もっとも効率よく作業できる手順に基づいて作られています。
清掃の順番や方法がスタッフごとにバラバラだと、チーム内での連携も取りづらく、作業時間のロスにつながるでしょう。
決められた流れで作業を進めることで、時間内に質の高い清掃を行うことが可能になります。
清掃方法をわかりやすく伝えるため
多くの客室清掃スタッフが関わる現場では、共通のルールや手順をわかりやすく共有することが重要です。
口頭や実演だけでは伝わりきらない部分も、マニュアルを使えば正確に説明できるようになります。
写真やイラストを活用したマニュアルなら、未経験の新人スタッフや外国籍スタッフにも理解しやすく、教える側・学ぶ側双方の負担を減らせます。
全員が同じ基準で作業できるよう、わかりやすいマニュアルは欠かせない存在です。
スタッフ全員の意識をそろえるため
客室清掃は、個人作業の積み重ねではなく、チームで協力しながら進める仕事です。
そのため、ただ作業をこなすだけでなく、スタッフ全員が「どのような状態を目指すのか」という意識を共有しておくことが大切です。
マニュアルがあることで、「なぜこの順番なのか」「なぜこの方法なのか」という理由を理解しながら作業ができるようになります。
結果として、チーム内での連携やフォローもしやすくなり、職場全体のサービスレベル向上にもつながるでしょう。
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ホテルの客室清掃マニュアルの基本的な流れを紹介
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ホテルの客室清掃では、スムーズに作業を進め、均一な品質を保つために、作業の手順や順番が細かく決められています。
ここでは、実際のホテルで使われている客室清掃マニュアルの一例として、基本的な作業の流れをご紹介します。業務のイメージをつかみながら、ひとつひとつの工程を確認していきましょう。
ただし、実際の清掃の流れはホテルによって異なるので、あくまで参考程度に留めておきましょう。
1.作業前の準備を整える
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客室清掃をスムーズに行うためには、作業を始める前の準備が欠かせません。
必要な道具や備品、清掃用ワゴンの中身をしっかり確認し、足りないものがあれば補充しておきましょう。
清掃用具(ウエス、洗剤、掃除機など)だけでなく、補充用のアメニティや交換用リネン類の準備も重要です。
作業中に取りに戻る手間を省くことで、時間を無駄にせず効率よく清掃が進められます。
2.目立つゴミや忘れ物をチェックする
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清掃に取りかかる前に、まずは客室全体を見渡し、目立つゴミや忘れ物がないかを確認します。
ゴミ箱以外に置かれている物については、ゴミか忘れ物かの判断が難しい場合もあるため、基本的には忘れ物として一時保管することが多いでしょう。
冷蔵庫、クローゼット、引き出し、ベッドサイドなど、見落としやすい場所もしっかり確認することが大切です。
3.客室内を順番に清掃し、汚れ物を回収する
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忘れ物のチェックが終わったら、客室内の清掃に入ります。
まずは窓を開けて換気をし、テーブルの上、ベッド周り、カーテン、バスルーム、トイレ、洗面所と、決められた順番で進めていきます。
家具や窓ガラスの拭き掃除はこの段階で行いましょう。通常の汚れはから拭きで対応し、汚れがひどい場合は水拭きのあとにから拭きで仕上げます。
清掃とあわせて、使用済みのシーツやタオル、ルームサービスで使われた食器なども回収し、客室外のワゴンへ積み込みます。
4.ベッドメイキングとアメニティの補充を行う
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清掃と汚れ物の回収が終わったら、ベッドメイキングに取りかかります。
多くのホテルでは、スプレッドタイプやデュベスタイルなど、統一された方法でベッドを整えています。
このタイミングで新しいタオルをセットし、シャンプーや歯ブラシなどのアメニティ類も補充します。
お客様が気持ちよく利用できるよう、アメニティの向きや配置にも気を配りましょう。
5.掃除機をかけて仕上げる
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すべての拭き掃除やベッドメイキングが終わったら、最後に掃除機をかけます。
ベッドメイクや机まわりの清掃を行うと、どうしてもほこりが舞い上がるため、掃除機がけは仕上げとして行うのが基本です。
家具の下や隅まで丁寧に掃除機をかけ、見落としがないよう心がけましょう。
6.作業後の最終確認を行う
清掃が完了したら、客室全体をもう一度見回し、仕上がりを確認します。
清掃のし忘れやアメニティの補充漏れがないか、設備の不具合がないかをチェックすることが大切です。
お客様が安心して気持ちよく過ごせる空間になっているか、最後まで丁寧に確認してから作業を終了しましょう。
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ホテルの客室清掃マニュアルを理解して、質の高い仕事をめざそう
客室清掃マニュアルの内容はホテルごとに異なりますが、どの現場でも「安全に、効率よく、均一な品質で客室を仕上げる」ために作られています。
マニュアルの手順や意図をしっかりと理解し、一つひとつの作業に丁寧に取り組むことが、信頼される清掃スタッフへの第一歩となるでしょう。
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