競争激化で差別化が求められるホテル業界

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訪日外国人客の増加が進むと同時に、ホテル業界のあり方も変革の一途を辿っています。2020年開催予定の東京オリンピックを見据え、都心部を中心にホテルの建設ラッシュが続き、外資系ホテルの進出や新規参入が相次いでいます。
インバウンド需要の拡大、東京オリンピックの開催などの大型イベントを控え、宿泊業界は大きく変化しています。各地でさまざまな宿泊施設が開発・展開されており、地域によっては供給過多の時代に突入していると言われてるほどです。
2002年以降、各地で外資系高級ホテルの進出が相次いでいます。中心部にあるオフィスビル複合型や、大型宴会会場施設を持たない、宿泊中心型高級ホテルの業態が多く、客室単価が4万円以上に設定されることもあります。また、新な宿泊特化型ホテルのチェーン展開も進んでいます。宿泊と朝食の提供だけを行うビジネスホテルとは異なり、低価格でありながら、内装設備やサービスはシティホテルに劣らないと言われています。ホテル業界は、ラグジュアリーホテルと宿泊特化型ホテルに二極化する流れが進み、業態が曖昧なホテルや低価格化に巻き込まれた既存ホテルでは、休業や倒産といったケースも増えています。
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宿泊客のニーズ変化に合わせホテルは差別化が必要

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ホテルの二極化の背景には、宿泊客がサービスの質や満足度、設備の充実を優先する立場と、値ごろ感を優先する立ち場に分かれる傾向にあることが起因しています。ホテルの増加に伴い、ホテルを選別する宿用者の目も厳しくなっています。宿泊客は「豪華なホテルでゆったりと滞在をしたい」「ホテルを拠点に観光地をめぐりたい」などのニーズに合わせてホテルを選択します。さらに、ホテルに対して食体験や、共同体験の場を求めるなど、ホテル自体が旅の目的地となるケースも増加しています。ラグジュアリーホテルと宿泊特化型ホテルの二極化とともに、多様化するニーズに合わせた個性的なホテルも生まれています。
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ホテルを差別化し勝ち残るためには?

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国内の既存ホテルが生き残るためには、宿泊単価や稼働率の維持、料飲部門や宴会部門の競争力強化が必須です。
全国各地で、外資系高級ホテルの進出、ホテルの高級化が進んでいます。お金や時間に余裕のある、富裕層をターゲットにしたマーケティングが進められ、非日常が作りこまれたホテルの開業が続々と開業しました。それらのホテルは、宿泊料金が数万円と高い設定でありながら、高い稼働率を保持しています。高級ホテルを好む宿泊客は、ホテルの設備やホテルスタッフによるおもてなしなど、特別感を求める傾向にあります。外資系高級ホテルの進出は、日本の老舗高級ホテル市場に影響を与える考えられました。目新しさや知名度の高さが集客につながり、憧れやステータスが満たされることで、外資系高級ホテルに流れる可能性があるためです。そこで、老舗高級ホテルは客室や大規模改修、ジムやサロンなどのサービス施設を新設するなど、積極的なリノベーションを進めています。大規模な改修に着手することで新しい姿を見せながらも、変わらない老舗ならではのおもてなしを提供し、リピーターの流出防止に努めています。
選ばれるためのホテルの差別化とは?

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インターネットの普及により、宿泊客獲得の方法が変化しています。ホテルの情報発信や予約受付もインターネットが主流になりつつある中、選ばれるための工夫も必要です。
差別化が求められる背景には、宿泊予約サイトの普及も挙げられます。宿泊予約サイトは、ホテルの検索から決済まで簡単に進めることができるため、多くの宿泊者が利用しています。ホテルの比較が簡単であることから、価格を重視する宿泊客の多くは、宿泊予約サイトを利用しています。
ホテルにとって、室数の限定や、朝食サービスや清掃サービスを省くことによる低価格プランの策定など、低価格帯へのシフトは比較的容易な策です。低価格プランは、一時的な増客には効果を出すことが可能です。しかしながら、低価格を好む宿泊客は価格で逃げていくと言われています。サイト上にある、他ホテルの価格を参考にした価格変更を進めてしまうと、低価格競争に陥る危険があります。リピーターの獲得が稼働率の高さに繋がると言われているホテル業界です。過度の価格競争は、長期的な視点から見ても、得策と言えません。質の高いサービスや、非日常体験といった、ホテルならではの付加価値の提供による差別化を目指し、価格競争に捕らわれない差別化の意識はホテル経営の観点からも重要でしょう。
ホテルは差別化でお客様の心を掴み続ける

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インバウンド需要の拡大、東京オリンピック開催を見据えた建設ラッシュですが、過剰共有を懸念する声もあります。相次ぐホテルの開業で、生き残りための差別化は、どのホテルも注力している課題です。市場の変化や多様化するニーズに合わせて、迅速に対応する必要はありますが、「特別なホテルサービスの提供」が根源であることには変わりありません。差別化に伴う変化や進化とだけでなく、変わらないおもてなしの心を併せ持ち、お客様の心を掴み続けるホテル、ホテルスタッフを目指しましょう。