ホテルの防災管理
ホテルで災害が起きた場合、知らない土地で起きた突然の出来事に、お客様がパニックになることもあります。従業員はそれらを沈静化させるとともに、適切な指示や誘導を行わなければなりません。ホテルにおける災害の対処法で最も重要なことは、災害発生時における初動の措置です。火災や事故を未然に防ぐ努力をしていても、災害は起きてしまいます。防災管理は、ホテルの義務であり責務です。必ず起きることを前提とした危機管理、防災体制の整備・強化の徹底は、ホテル経営の土台ともなるでしょう。
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ホテルの防災対策
安心、安全はホテルの商品です。お客様が快適に滞在できるように、マニュアルの整備や防災活動を積極的に推進しています。
防災訓練
消火訓練、避難誘導訓練といった防災訓練が定期的に行われます。実際に起こりうるシチュエーションを想定した、シナリオに沿って実施します。客室からの出火、地震によるエレベーターの停止、それらの非常事態にどのような行動をとるべきか、訓練を通して従業員の意識を高めています。
防火対象物に係る表示制度
2014年4月から、施設の防火安全体制を情報提供することを目的とした、防火対象物に係る表示制度の運用が開始されました。ホテルは、消防本部に表示マークの交付申請を行い、審査の結果、防火基準に適合していると認められた場合、表示マークが交付されます。表示マークを建物内やホームページなどに提示することで、一定の防火基準に適合していることをお客様に情報提供し、安心して泊まってもらえる施設であることをアピールする手段にもなります。
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ホテルで火災が起きたら
過去には、ホテルで起きた火災によって、多くの犠牲者が出る。悲しい事故がありました。ホテル火災の件数はそれほど多くはありませんが、起きてしまうと大惨事になりかねません。ホテルは、「消防法」と「建築基準法」により、防火規定などを守ることが義務付けられています。
過去に起きたホテル火災では、消防設備の不備や初動の遅れが原因で被害が大きくなっているものがほとんどです。消火器の操作方法や、避難経路の確認など、いざという時の冷静な行動ためには、ホテルは定期的な消防訓練を欠かすことはできません。
ホテルで地震が起きたら
日本は地震大国と言われています。大地震はは、いつどこで起こってもおかしくありません。地震によって、建物の倒壊や、破損が起こり得ます。また、巨大地震が起こると、ライフラインやインフラにも影響が及び、二次災害を招きます。ホテルに宿泊をしているお客様が帰宅できなくなど、地震による二次災害が大きく広がれば、被害は長期化することがあります。断水や停電に備えた代替設備の設備など、想定される二次災害への備えも必要でしょう。
災害時のホテル従業員とホテルの役割
災害時にお客様の安全を確保することは、ホテル従業員の重要な役割です。また、過去にはホテルが災害時の避難所として使われたことがありました。
宿泊客への対応
ホテル従業員は、お客様を安全に避難誘導する役割があります。お客様の安全確保、避難先への誘導は、ホテル従業員の業務の1つです。ホテルの正確な非難経路、安全な場所を知っているのはホテル従業員だけです。お客様にとっては見知らぬ土地であることがほとんどですから、ホテル従業員の誘導が頼りなのです。全館の避難誘導となれば、従業員同士が協力して、効率の良い対応が出来なければ、不要な人災が発生しかねません。日頃から部門や職種の枠を超えたコミュニケーションを取ることも、防災対策として必要なことでしょう。
宿泊客以外への対応
ホテルは、生活を営む場という面を持っています。そのため、避難所としての役割を持つことがあります。2011年に発生した東日本大震災では、ホテルには多くの帰宅困難者が館内に非難しました。ホテルは避難基地として、宴会場やロビーの解放、食事や飲み物の提供、交通状況の情報提供等を行いました。さらに、地震被害や台風被害によって住居の確保が困難になった場合は、客室を避難所として提供したり、お風呂の提供をするなど、ホテルは地域住民の拠り所になることもあります。
ホテルが災害に備えることはホスピタリティのひとつ
災害が起こると、多くの人は不安や恐怖を感じます。ホテルで災害が起きれば、お客様だけではなく、ホテル従業員も同様でしょう。日々の備えや訓練は、従業員が安心して働くためにも重要なものなのです。
近年、自治体と災害時応援協定を結ぶホテルが増えてきています。宿泊客、訪問客を迎え入れるだけでなく、地域に密着した存在として、災害に備えています。さらに、ホテルで災害が起きたときの、ホテル従業員の行動や言葉は、お客様にとっての拠り所です。災害時でも、安心で安全な環境を提供できるように、日頃から十分に備えておくことは、ホスピタリティのひとつと言えるでしょう。