「テレワークで減給」は認められる?
勤務形態がテレワークに切り替わったことにより、減給を言い渡されてしまうケースが多々あるそうです。
しかし、出社をしていないだけで仕事は通常通りこなしているのに、給料が減らされるというのはおかしな話ですよね。
結論から言うと、大半の場合、テレワークを理由に減給をすることは法律で認められていません。
業績不振などでやむを得ず減給する、というケースもありますが、その場合は従業員に対し丁寧な説明を行い、理解を求める必要があります。
従って、「テレワーク=減給」というように、短絡的に従業員の給料を引き下げることは不当だと考えていいでしょう。
そもそも、減給とはどのような場面で行われ、差し引かれる金額はいかなる基準で定められているでしょうか。次の項目では、減給のルールについてご説明していきます。
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減給に関するルール
企業が行う減給は、大きく分けて2種類あります。それぞれについてご紹介していきましょう。
従業員との合意による減給
一つ目は、従業員との合意による減給です。
業績不振、人事降格、配置転換などにより減給となるケースもありますが、これを従業員が認めると、減給は適切な処置としてみなされます。
なお、減給目的の人事降格や配置転換は認められていません。また、減給の理由が不当だと判断された場合は減給をすることはできません。
十分な理由と従業員の合意があった上で、減給が認められます。
つまり、テレワークによる減給を従業員が認めない限り、企業が行う減給処置は不当なものだと扱われるということです。
減給をする合意的な理由があるために行う処置としての減給
二つ目は、減給をする合意的な理由があるために行う処置としての減給です。
例えば、勤務態度が著しく悪かったり、会社に大きな損害をもたらしたりした従業員に対し、懲戒処分として減給を行う場合があります。
減給に関する定めは、労働基準法第91条に記載されています。
(制裁規定の制限)
第九十一条 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。
つまり、損害額に関わらず、上記で定められている以上の金額を減給してはならないということです。
従って、仮に月の総支給額が30万円だった場合、日給は1万円なので、その半額の5,000円が減給されます。
「テレワークに切り替わったことを理由に従業員へ懲戒処分を下す」ということは当然ながらできないため、やはりテレワークによる減給は不当だと考えられます。
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テレワークを理由に減給されそうになったら、まずは社員が団結しよう
テレワークによって勤務時間や労働量が著しく減ったことで減給が検討されている、といったケースなら、減給が認められるかもしれません。
しかし、働く場所が自宅に切り替わっただけで、出社時と変わらない成果を出しているのなら、減給が不当だと感じるのは当然です。
従業員が適切な労働を行っているなら、会社は給料を全額支払う義務があります。
もしテレワークを理由に減給されそうになった場合、会社を相手に裁判を起こすことも不可能ではありませんが、これには多大な労力が伴います。
そのため、まずは社員同士が団結し、会社に対し減給は不当だと訴えることをおすすめします。
テレワークでの勤務態度が著しく悪い場合は減給処分が下るケースも
テレワークを理由に減給をすることは基本的に認められないとご紹介しましたが、一部例外もあります。それは、テレワーク中の勤務態度が著しく悪い場合です。
例えば、勤務中に飲酒をしていたり、明らかに業務以外のことに気を取られ、仕事を放棄していたりするような場合に減給されたとしても、不当だと主張するのは難しいでしょう。
減給だけならまだしも、降格処分や解雇をされてしまっては、かなりのダメージを受けることになってしまいます。
いくら自宅とはいえ、リラックスしすぎるのは好ましくありません。気を引き締めて業務にあたりましょう。
テレワークによる減給は原則認められない
テレワークによる減給は、原則認められていません。従って、減給に対し安易に合意をしないことが大切です。
また、減給されてしまいそうになった場合には、社員同士が結託して意義を申し立てることも考えましょう。
もし社員だけの力では対処できないと感じたら、裁判を起こすことも視野に入れてみてください。