社用車で事故を起こしたら減給処分になる?
社用車の運転が必須となる職業に携わっている方も、多くいらっしゃることでしょう。
頻繁に運転をするということで、事故を起こしたり、事故に遭遇する確率はどうしても高くなってしまいますよね。
万が一、従業員が社用車で事故を起こした場合、社内規定によっては減給処分が下ることもあるようです。
ただし、「会社の被った被害をすべて賠償する」「〇ヶ月分の給料を支給しない」というような内容ではなく、労働基準法に則った金額が減給されることになります。
では、企業が従業員にペナルティを与える場合の基準は、どのように定められているのでしょうか。次の項目でご説明していきます。
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会社が従業員にペナルティを与える際の規定
従業員の減給に関する定めは、労働基準法第91条に記載されています。
(制裁規定の制限)
第九十一条 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。
つまり、損害額に関わらず、上記で定められている以上の金額を減給してはならないということです。
従って、仮に月の総支給額が30万円だった場合、日給は1万円なので、その半額の5,000円が減給されます。
なお、事故や損害を起こす前から減給額を定め、それを実行することも、労働基準法第16条により禁じられています。
(賠償予定の禁止)
第十六条 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
このように、社用車による事故で減給をされるとしても、その金額はあまり大きくないケースが多いことが分かります。
もちろん、あまりに損害の大きい事故を起こした場合などは、損害賠償を求められる可能性もゼロではないので注意しましょう。
また、減給によるダメージが少ないとしても、事故が原因で人事考課に悪い影響が及んだり、降格を言い渡されるリスクもあります。
一番大切なのは、やはり心してハンドルを握ることではないでしょうか。
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社用車で事故を起こしても、すべての損害を従業員が賠償することにはならない
もし社用車で事故を起こしたとしても、すべての損害を従業員が賠償することにはまずならないと考えていいでしょう。
なぜなら、「会社は従業員によって利益を得ているため、損失が発生した場合には、会社もその損失を負担をするのが公平」という報償責任の法理が働くから。
かと言って、これは事故を起こしてもいい理由には到底なり得ません。
社用車での事故による減給の心配をしてしまう気持ちは分かりますが、何よりも重要なのは、事故を起こしたせいで相手にケガをさせたり、最悪の場合は命を奪ってしまう恐れがあるという点です。
通勤や勤務時間に車を使用することにより、事故を起こす可能性が高まっていることを肝に銘じ、絶対に事故を起こさないという覚悟で運転を行いましょう。
社用車による事故で減給処分が下るか否かは就業規則による
社用車で事故を起こしても必ず減給処分が下ることはなく、すべては就業規則によって決まります。
また、就業規則に減給による定めがあったとしても、その金額はあまり大きくありません。しかし、人事考課に響いたり、降格処分を言い渡されるリスクがあります。
大切なのは減給処分の有無ではなく、いかに事故を起こさず運転をするかという点です。安全運転を心がけ、業務にあたるようにしましょう。