過重労働とは?過重労働による労災認定の基準を紹介

過剰な労働時間が原因となり、さまざまな健康被害を引き起こす危険性があります。過重労働によるリスクを知ることで、従業員の労働環境を良好に保とうとする意識も高まるはず。過重労働による労災認定基準についても、詳しくご紹介していきます。

過重労働とは

疲労

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過重労働とは、残業や休日出勤の慢性化などで、労働者の心身に大きな負担を与えることを指します。

「一定の期間で〇時間以上働いたら過重労働」というような明確な定めはありませんが、時間外労働時間が月100時間、または2~6ヶ月の平均が80時間を超える場合、健康被害が発生するリスクがあるとされています。

従業員に時間外労働をさせる際には、時間外・休日労働に関する協定(36協定)を労使間で結ぶ必要があり、月45時間、または年間360時間以上の時間外労働は認められていません。

もし、上記の時間を超える残業や休日出勤を従業員に課した場合、法令違反として企業は罰則の対象となります。

また、従業員の健康管理の一環として、企業は労働時間の削減だけでなく、産業医の選任や健康診断の実施などにも取り組む必要があります。

過重労働が原因で死亡する例が後を絶たない昨今、より多くの企業が時間外・休日労働時間の削減や従業員の健康管理を徹底すべく、努力を惜しまないことが求められるのではないでしょうか。

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過重労働による労災認定基準は?

過重労働

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過重労働による労災認定は、どのような基準で行われるのでしょうか。まずは「過労死等」についてご紹介していきましょう。

「過労死等」について

過重労働には従業員の心身の健康に被害をもたらす危険性がありますが、その最たるものが「過労死等」です。

過労死等とは、

業務における過重な負荷による脳・心臓疾患や業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする死亡やこれらの疾患

を指し、具体的には、

・業務における過重な負荷による脳血管疾患・心臓疾患を原因とする死亡
・業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡
・死亡には至らないが、これらの脳血管疾患・心臓疾患、精神障害

と定義されています。

データ参照:「STOP! 過労死」(厚生労働省)

過重労働による労災認定基準

過重労働により過労死等が起こったとされる場合、どのような判断基準で労災認定がされるのでしょうか。

脳血管疾患・心臓疾患の労災認定要件は、

1.<異常な出来事>
発症直前から前日までの間において、発生状態を時間的及び場所的に明確にし得る異常な出来事に遭遇したこと
2.<短時間の過重業務>
発症に近接した時期において、特に過重な業務に就労したこと
3.<長期間の過重業務>
発症前の長期間にわたって、著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したこと

の3点です。

なお、対象となる疾病は以下の通り。

【脳血管疾患】
・脳内出血(脳出血)
・くも膜下出血
・脳梗塞
・高血圧性脳症
【虚血性心疾患】
・心筋梗塞
・狭心症
・心停止(心臓性突然死を含む)
・解離性段動脈瘤

業務による明らかな過重負荷によって上記の疾病を発症した場合、労災認定されるようです。

一方、精神障害の労災認定要件は、

1.認定準対象精神障害を発病
2.認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること
3.業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと

なお、「認定準対象精神障害」とは、下記の10点を指します。

・症状性を含む器質性精神障害
・精神作用物質使用による精神および行動の障害
・統合失調症、統合失調症型障害および妄想性障害
・気分(感情)障害
・神経症性障害、ストレス関連障害および身体表現性障害
・生理的障害および身体的要因に関連した行動症候群
・成人のパーソナリティおよび行動の障害
・精神遅滞(知的障害)
・心理的発達の障害
・小児期および青年期に通常発症する行動および情緒の障害、特定不能の精神障害

従業員を過労死等から守るため、労働時間の管理やヘルスケア、メンタルケアの制度を整える努力が企業には求められていますよ。

データ参照①:「脳・心臓疾患の労災認定」(厚生労働省)

データ参照②:「精神障害の労災認定」(厚生労働省)

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過重労働により心身に障害が発生し、命を落としてしまう例が後を絶ちません。

違法な長時間労働が常態化していると法的な責任を問われる可能性がある上、世間からの信頼も失いかねませんよ。

社員に過重労働を課し、結果的に健康を損なってしまわないよう、企業は労働環境の改善に努める必要があるでしょう。

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