「パート」という働き方
パートという働き方の特徴は、フルタイム勤務よりも短い時間で働く業務形態という点です。
主に、
「家計の補助をしたい」
「家事や育児などと無理なく両立できる働き方をしたい」
などの理由で、特に主婦(主夫)の中でパートを選ぶ方が多いのだとか。
家庭の事情に合わせて出勤日や勤務時間を調整することができ、また未経験でも採用の対象となるため、正社員として働くよりもハードルが低く感じられるという意見もあるようです。
ただし、正社員よりも給料がかなり低いケースも多く、賞与などもありません。
また、責任のある仕事を任されることはあまりないため、仕事にやりがいを求める方にとっては少し物足りなさを感じるかもしれません。
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パートの労働時間も労働基準法によって定められている
正社員と同様に、パートの労働時間も労働基準法によって定められています。
この時間を過ぎて労働をさせる際は、企業は36協定の締結を行う必要があります。
また、休憩時間についても法令で決められており、
・6時間以下……不要
・6時間以上8時間以下……45分以上
・8時間以上……1時間以上
という具合に、労働時間に応じて休憩時間を確保することが義務付けられています。
上記のルールを守らない場合、法令違反として罰則の対象になり得ますので、管理者は十分に注意を払わなければなりません。
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パートの労働時間で気をつけること
パートとして働く際、気をつけなければならないのが「扶養範囲」です。
ある一定の年収を超えることで税金の額や社会保険料が変化しますので、事前に確認してからパートの労働時間の目安を決めましょう。
扶養する人を夫、扶養される人を妻と仮定して、扶養範囲に関するご解説をしていきますのでご参考にしてみてくださいね。
103万の壁
年収が103万円以下に抑えた場合の特徴として、
・夫が配偶者控除(38万円)を受けられる
・妻の所得税がかからない
・夫の所得税と住民税が軽減される
という点が挙げられます。
また、会社によっては、妻の年収が103万円以下なら扶養(家族)手当が支給される場合もあります。
そのため、103万円を中途半端に超える年収だとかえって損をしてしまうことも。まずは夫婦間でよく話し合い、103万円の壁を超えるか否かを判断しましょう。
106万の壁
106万円以上の年収が発生すると、勤務先には労働者を社会保険(健康保険、厚生年金)に加入させる義務が生じます。
なお、社会保険が適用される条件は以下の5点です。
1.所定労働時間が週20時間以上
2.1年以上の勤務期間見込みがある
3.月の賃金が8.8万円以上
4.従業員が501人以上の企業である
5.学生以外
社会保険に加入した場合、給料から社会保険料が差し引かれるのでご留意ください。
130万の壁
年収が130万円を超えると、妻は夫の扶養から抜けることになります。
国民年金と国民健康保険を自分で払わなければならないため、中途半端に130万円を超えてしまうと、手取りが減る可能性がかなり高いです。
年収130万円を超えて働くなら、まずは社会保険料と国民年金・国民健康保険の額を算出し、手取りが減らない収入の目安を割り出して働くと、損失を抑えられますよ。
150万の壁
妻の年収が150万円以上になると、夫の「配偶者特別控除」の金額が段階的に減っていきます。控除額の減額段階を、以下の表にまとめました。
このように、徐々に控除額が減っていくため、「年収が150万円を1円でも超えたら控除額はゼロ」という事態にはなりません。
年収が150万円を超える見込みがある方は、夫の合計所得額と照らし合わせながら、金額にどれほどの変化があるかご確認してみるといいでしょう。
パートの労働時間にまつわるトラブル
パートは正社員に比べると比較的自由度の高い働き方ですが、労働時間が固定されていないからこそのトラブルが起こってしまいます。
例をいくつか挙げていきましょう。
【例①】
1日4時間、週3日働く条件で採用されたのに、人手不足を理由に1日6時間、週5日の勤務形態になってしまっている。出勤日を減らしてほしいと申し出ても、「新しい人が入ったらね」とはぐらかされてしまった。
【例②】
扶養の範囲内ギリギリで働きたいのに、なかなかシフトに入れる日がない。出勤しても労働時間が短く、当初想定していた収入に届かないので出勤日数を増やしてほしいが、ベテランのパートが多くシフトに入ってしまうため手の打ちようがないのが現状だ。
面接時に提示された条件とは異なる実態に、困っている方は少なくないのだそう。
とはいえ、職場の労働環境を変えようとしても、パートの立場では困難を極めてしまうのが現実です。
ある程度不安定でも仕方がないと割り切ってしまうか、どうしても辛い時は転職を考えるのも一つの手ですよ。
パートとして働く際は労働時間に気をつけて
パートは、正社員よりも比較的気軽に始められる働き方である一方、考えなければならない点も非常に多いです。
特に、労働基準法を守ることと扶養の範囲を考えながら働くことは、パート勤務を選んだ方にとって重要なポイント。
ご自身にとって適切な労働時間を知り、無理のない範囲で勤務にあたりましょう。