ホテル総合職は、ホテル運営のさまざまな業務を担う司令塔のような存在です。表には出にくい仕事ながら、現場と経営を支える役割には大きなやりがいがあるといわれています。この記事では、ホテル総合職の仕事内容から、やりがいを感じる理由、向いている人の特徴までをわかりやすくご紹介。やりがいのある仕事に就きたいと考えている方は、ぜひ参考にしてくださいね。
ホテルの総合職の仕事内容
ホテルの総合職は、ホテル運営のさまざまな業務を担う司令塔のような存在です。現場を支えるバックオフィス業務から、経営に直結する戦略づくりまで、幅広く関わります。
具体的には、以下のような業務を行います。
- 事務・庶務:書類作成やデータ入力、備品管理、電話対応など
- 労務・経理:給与計算、社会保険手続き、売上管理など
- 企画・マーケティング:宿泊プランやイベントの企画、プロモーション戦略の立案、マーケットリサーチなど
- 営業:法人・団体へのセールス活動や提案営業、会議室や宴会場の利用促進など
- 人事・教育:採用活動、研修・配属、面談など
なお、これらの業務内容は、ホテルの規模や方針によって担当範囲が異なることもあります。
規模が大きいホテルでは部門ごとの専任制が多く、比較的小規模なホテルでは複数の業務を兼任することもあるようです。
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ホテル総合職のやりがい7選
ホテル総合職は、直接お客様と関わる機会が少ない分、「やりがいを感じにくいのでは?」と思われることも少なくありません。ここでは、ホテル総合職のやりがいを紹介します。
ホテル全体の流れを設計できる
ホテル総合職は、現場だけでなく運営全体を見渡しながら、宿泊プランや料金設定などを考える機会もあります。
たとえば、「この価格帯なら週末の稼働率が上がるかも」「このプランならカップル層に響きそう」など、自分のアイデアが直接お客様に届くのが大きな魅力です。
売上や稼働率といった数字に成果があらわれたときには、実力が評価される実感を得られるでしょう。
現場と本部の橋渡し役になれる
ホテル運営において、フロントやレストラン、清掃などの現場スタッフと経営層との橋渡しはとても重要な役割です。
現場の声を吸い上げて改善提案を行ったり、逆に経営方針を現場に落とし込んだりするのも総合職の仕事といえます。
たとえば、清掃スタッフから「最近備品の管理がスムーズになって、準備の時間が短くなったよ」と言われたとき。
それは、総合職が裏で行った在庫管理や発注ルールの見直しが、現場の負担を減らした証でもあります。目立たなくても、現場にちゃんと貢献できていると実感できる瞬間です。
ホテル全体を裏側から支えられる
1日を何事もなく終えるために、実は多くの調整と準備が行われています。
予約システムの調整、会議やイベントの裏方サポートなど、総合職は現場スタッフが気持ちよく働けるよう舞台裏から支える存在です。
自分が整えた仕組みが現場で役立っていると実感できたとき、表には出なくても、欠かせない存在であることに気づけるでしょう。
部署をまたいで活躍できる
ホテル総合職の魅力は1つの業務にとどまらず、営業・企画・人事・庶務・経理などさまざまな部門で経験を積めることです。
労働政策研究・研修機構の「企業の転勤の実態に関する調査」によると、人事異動の頻度として最も多いのは「3年ごと」で27.9%、次いで「5年ごと」が18.8%という結果が出ています。
このように、数年単位で部署を異動しながら経験を広げていく働き方は、決して特別なものではありません。
ホテル業界でも、総合職を対象に複数の部署で経験を重ねさせ、将来のマネジメント候補として育てる動きが見られます。
一方、小規模なホテルでは、1人が複数の業務を兼任しながら現場を支えるスタイルも一般的です。
どちらの環境でも、ホテル全体の動きや部門間のつながりを理解できるようになるため、全体をわかる人材として信頼される存在になれる可能性があります。
経営視点が身につく
総合職は、売上や稼働率、コストなど数字に関わる仕事を担うこともあります。
たとえば、「このプランがどれだけ売れたか」「季節によってどの層の利用が多いか」といったデータを見ながら、改善策を考えるような場面も。
こうした経験を重ねることで、自然とホテル全体を経営の視点で見られるようになっていきます。
業務を通じて分析力や計画力が磨かれるため、将来的に支配人やマネージャーなどを目指す上でも大きな武器となるでしょう。
チームで成果を出せる
ホテルは、部署ごとの分業体制ではありながら、連携が欠かせない仕事です。
たとえば、団体利用やイベント開催時には、フロント・レストラン・清掃などの各チームと細かく連携しながら、スムーズな受け入れを進めていきます。
その調整役となるのが総合職。全体を見渡して段取りを組み、トラブルを未然に防ぐのも大切な役割です。
大きな山場をみんなで乗り越えたときの一体感や達成感は、総合職ならではの醍醐味といえるでしょう。
現場の課題に対して柔軟に対応できる
現場では、日々さまざまな予期せぬ対応や調整が求められる場面があります。
たとえば、繁忙期に人手が足りなくなったフロントに臨時スタッフを手配したり、清掃部門から「備品が足りない」と言われてすぐに手配を整えたり。
こうした対応は、総合職としての判断力や調整力が活きる場面です。
すばやく動いた結果、「本当に助かりました!」と感謝の言葉をもらえることもあり、現場との信頼関係が深まっていくことが実感できるでしょう。
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幅広く経験できるホテル総合職、その先に見えるキャリアとは?
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ホテル総合職は、さまざまな業務に関わるゼネラリストとしてスタートするケースが多いポジションです。
ここでは、総合職としての経験の先にどんな未来があるのか、その代表的なキャリアパスを紹介します。
マネジメント職へのステップアップ
総合職として現場の動きやスタッフの状況、数字の動きなどを総合的に把握できるようになると、マネージャーや支配人といった管理職を目指せるポジションが見えてきます。
- スタッフのマネジメント
- 売上や予算の管理
- 部門間の連携や方針の立案
これらを担うことで、ホテルの中枢として活躍できるようになります。責任は大きくなりますが、ホテル全体を動かしているという手応えが得られるかもしれません。
専門分野に特化していく道もある
「企画が好き」「人事に興味がある」など、経験を通じて得意分野が見えてきたら、得意な領域にフォーカスして働く選択肢もあります。
- 商品企画やイベント運営の担当として活躍する
- 人事・労務の専門職として本社で活躍する
- マーケティングや業務改善の分野で運営を支える存在として活躍する
幅広い業務を経験してきたからこそ、自分に合った分野が見つかりやすくなります。
得意なことにフォーカスして働くことで、より深い専門性を身につけながら、自分らしいキャリアを築いていくことができるでしょう。
あなたは当てはまる?ホテル総合職に向いている人の特徴
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ホテル総合職は、裏方としてホテル全体を支える立場ですが、その分、求められる素質や働き方への向き合い方も幅広くなります。
ここでは、ホテル総合職に向いている人の特徴を確認しておきましょう。
人を支えることにやりがいを感じる人
誰かのフォローに回ったり、チームがうまく動くように裏から支えることに喜びを感じられる人は、総合職向きといえるでしょう。
たとえば、困っているスタッフをさりげなくサポートしたり、陰で準備を整えて現場がスムーズに回るように動けたりする人は、そうした人を支える力をホテル総合職の仕事でしっかりと活かせるはずです。
チームでの連携が得意な人
部署ごとに役割が異なるホテルでは、調整力や連携力が不可欠です。
「人と協力して何かをやり遂げるのが好き」「みんなが気持ちよく働けるように立ち回るのが得意」と感じる人は、総合職として周囲をまとめ、現場を支える存在として重宝されるでしょう。
決められた業務よりも、考えて動く仕事が好きな人
ホテルの現場では、マニュアルどおりでは回らない場面に遭遇することも少なくありません。状況を見ながら、臨機応変に動く力を求められる場面が意外と多いからです。
「もっといい方法はないかな?」「現場をラクにするには?」と考えるのが好きな人は、自分の発想や行動がチームを助けている実感を得られるでしょう。
変化に柔軟に対応できる人
ホテルの現場では、予定通りにいかないことも珍しくありません。
「急に団体の予約が入った」「清掃スタッフが欠勤した」など、突然の変化に対応する場面は日常的に起こります。
そんなときも慌てずに状況を見て動ける人は、周囲から頼りにされる存在になれるでしょう。
ホスピタリティ精神がある人
お客様との接点が少なくても、おもてなしの心は総合職の仕事にも欠かせません。裏方として働く中でも、その思いやりが活きる場面はたくさんあります。
たとえば、「この備品は早めに補充しておこう」「現場が混みそうだから、先に声をかけておこう」など、先回りの気配りができる人は現場にとって大きな支えとなるでしょう。
数字や計画にも興味がある人
総合職では、ホテルの売上や稼働率、コスト削減など、数字をもとに動く業務も多くあります。
「分析するのが好き」「結果を数字で見られると燃える」というタイプの人は、企画や改善提案の場面で強みを発揮することができるでしょう。
出典:企業の転勤の実態に関する調査/労働政策研究・研修機構やりがいのある仕事に就きたいなら、ホテル総合職を選択肢に入れてみよう
ホテル総合職の働き方に、少しでも魅力を感じた方は、就職・転職の選択肢として考えてみるのもいいかもしれません。
表には出にくい仕事ながら、現場を支え、ホテル全体を動かしていくポジションだからこそ、数字に表れる成果やスタッフからの感謝、1日がスムーズに終わったときの達成感など、実感できるやりがいがあります。
未経験で不安を感じることがあっても、「人を支えたい」「誰かの役に立ちたい」という気持ちがあれば、ホテル総合職の仕事にも少しずつ自分らしい強みを見つけていけるはずです。
やりがいのある仕事を探している今だからこそ、ホテル総合職という働き方に、少し目を向けてみてはいかがでしょうか。
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