旅館を辞めたいと思う理由は?
旅館の仕事を辞めたい人は、どのような理由からそう感じることになってしまったのでしょうか。旅館を辞めたいと思う理由をまとめました。
拘束時間が長い
旅館の仕事は朝食の用意から夕食の片づけまで、朝から晩まで続きます。旅館によっては、ピークタイムの朝と夕~夜だけ勤務して、余裕のある昼間は休憩とする「中抜けシフト」が採用されていることも珍しくありません。
うまく息抜きができれば良いですが、1日に2回出勤しなければならない中抜けシフトに対し、「数時間後にはまた出勤しなければならない」と思いあまりゆっくりできなかったり、一日中拘束されているように感じたりという人も多いようです。
年収が低い
宿泊業の年収は、他の業種と比較して低いことで知られています。
厚生労働省が例年行っている令和5年賃金構造基本統計調査によると、「宿泊業・飲食サービス業」の1カ月の平均所定内給与額は28万6000円ということが明らかになっています。
ただ、これはあくまで全国平均の情報である上に、ホテル業界以外に旅館業や飲食サービス業に携わる人たちが含まれていることも理解しておく必要があります。
しかしながら、「激務のわりに給料が少ない」という理由から離職する人も少なくないようです。
休みが少ない・不定期
大型連休やお盆、年末年始といった時期に繁忙期を迎える旅館の仕事には、「あらかじめ決まった休み」がありません。従業員はシフトを組み、交代で休みを取ることになります。
例えば家族や恋人、友達と予定を合わせたくても、土日に休みを取るのが難しい。旅行に行きたくても、連休がない。このように、プライベートを犠牲にしなければいけない職場にいる人は、旅館の仕事はつらくなってしまうでしょう。
クレームによるストレスが大きい
接客業と切っても切れない関係にあるのが、クレームです。「クレームは『宝の山』ととらえ、今後のサービス改善に生かせばよい」と言われることもありますが、中にはそういった建設的な意見でない苦情もあるでしょう。
フロントや客室係としてお客様の近いところで接客する仲居は、とくにクレームを受けやすい立場です。自分の責任でない、自分ではどうしようもないクレームを聞かされ続けた結果、ストレスで「辞めたい」と感じるようになります。
人間関係が複雑
旅館で働く人には女性が多いため、職場によっては、女性特有の人間関係の難しさがあるようです。都心部のホテルと比べると従業員の年齢層が幅広いので、価値観の違いからすれ違ったり、ぶつかったりすることもあります。
また、旅館はアクセス的に不便な立地であることが多いため、寮で生活する従業員も多いもの。従業員同士の仲が良いか否かで、居心地の良さは大きく変わるでしょう。
担当する仕事が多い
宿泊業界は慢性的な人手不足に陥っており、旅館についても同じことが言えます。さらに旅館はホテルよりも小規模な経営が多いため、少ない従業員数で業務を回していることも少なくありません。
結果的に1人当たりの業務量が増え、体力的・精神的な負担が大きくなってしまうのです。さらに、男性の少ない職場だと力仕事や深夜の業務が一人に集中することもしばしば。
そのため、必然的に仕事が増えてしまい、気付かないうちにキャパオーバーになっていることもあるでしょう。
また、「接客がやりたい」と旅館で働くことを決めたのに、事務仕事やバックヤードでの仕事に忙殺され、肝心のやりたい仕事に注力できないといった事態もごくまれに起こるようです。
キャリアアップが難しい
旅館で仲居として働く場合、キャリアとしては仲居のまとめ役か女将になるでしょう。しかしまとめ役は何人も必要ありませんし、女将は親族から選ばれることが多いので、どちらにしても狭き門です。
ひとつの旅館に長く勤めて貢献したとしても、さほどキャリアアップが見込めないため、働く側としてはモチベーションが保つことが難しくなってしまいます。それが原因で辞めたいと感じる人も少なくないようです。
体力的な負担が大きい
お客様の前では常に立ちっぱなしですし、人手不足の旅館では、業務が落ち着くまで満足に休憩も取れないなんてこともあるようです。そうした中で体力的な限界を感じ、離職してしまう人がいます。
このように、旅館の仕事は業務内容が濃いため、体力やメンタルに自信がない方にとっては「きつい」と感じることが多いかもしれません。
もし、退職や転職を考えている場合は、退職手続きや転職に向けての事前準備をしっかりおこなってから進めていきましょう。
旅館を辞める前に試したい具体的な対策とは?

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日々の業務や職場の環境に疲れ、思わず「もう辞めたい……」と心がくじけそうになる瞬間があるかもしれません。でも、せっかく志を持って始めた旅館の仕事。できることなら辞めずに頑張りたい。そんな気持ちが残っている方に試していただきたい対策をご紹介します。
休日や勤務時間を調整してもらう
「希望した休みが取れない」「長時間労働がつらすぎる」など、可能であればそういった不満を一度、上司に相談してみましょう。
もしかしたら、上司もそこまであなたの働き方について詳細まで把握していないかもしれません。そこまで追い詰められていると知れば、力になってくれる可能性は十分あります。
配置換えを希望する
「もっと接客がしたいからフロントに」「立ち仕事が多くてつらいので管理部に」など、配置換え、部署異動を申し出るのもひとつの手です。人間関係で悩んでいる場合にも使えますね。
もちろん100%希望を受け入れてもらえるわけではありませんが、できる範囲で配慮してくれるはずです。「叶わないなら辞めたい」とつけ加えれば、それほど悩んでいるのだとわかってもらえるでしょう。
どうしても旅館を辞めたい!と思ったら何をすべき?

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考えられる対策は全部した、でも思うように改善されないので旅館を辞めたい!そうなってしまったら、転職を検討するほかありません。転職を考える前に、転職を成功させるコツを押さえておきましょう。
今後のキャリアについて考える
同じ宿泊業への転職を検討するなら、もっと条件の良い旅館かホテルを狙いましょう。接客は好きだけれど宿泊業にこだわらないなら、飲食店などより広い範囲のサービス業も選択肢として考えることができます。
今の旅館の問題点や不安をしっかりと考え抜き、後悔のない転職ができるようしっかりと準備を整えてくださいね。旅館業界で働き続けたい方は、改めて旅館で働く楽しさを整理するのもおすすめです。
転職を見据えて資格の勉強を始める
本音ではすぐに辞めたいかもしれませんが、できることなら準備をしてからの転職がおすすめです。
例えば、次の仕事で役立つ資格を取得しておくと転職時にも実務が始まってからも役に立ちます。旅館やホテルなどの宿泊業を続けるなら、語学力を磨くのも有効でしょう。
転職サービスに登録する
転職は1人でするより、専門のアドバイザーと二人三脚で進めた方が効率的です。
辞める前に登録だけでも済ませておき、求人を見たりアドバイザーと話をしたりして情報を集めておきましょう。
より良い条件の旅館探しはおもてなしHR!
非日常な空間でお客様に心づくしのおもてなしを提供する旅館業。お客様の笑顔や、「ありがとう」の言葉は何よりのモチベーションになりますし、とてもやりがいのある仕事です。
しかしその一方で、激務だったり労働環境の整備が十分でないことなどから、辞めたいと考える人も。無理をしてまで続ける必要はありませんが、まずは今の旅館でできることがないかを改めて考えてみてください。
それでも「旅館を辞めたい!」と感じたときは、より良い条件で働ける新しい職場を探してみましょう。