連休が取れないサービス業で従業員が感じていること
2019年のゴールデンウィーク10連休は、大きな波紋を呼びました。
一般的な会社員が長期休みを喜ぶ一方で、世間の休日が書き入れ時となるサービス業に従事する人々からの、不満の声が上がり、職種による休日格差が浮き彫りとなったのです。
土日や祝日に休みにくい仕事であることを理解した上での入社とはいえ、まったく連休が取れないのではメリハリが無く、辛いものでしょう。しかしその一方で、カレンダー通りの休日よりも土日祝に関係のないシフト制勤務の方が良いと思っている人もいます。
連休の取得が難しいサービス業の従業員は、勤務体制にどのような不満やメリットを感じているのかを把握し、不満を解消するためにやるべきことを考えましょう。
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連休なしのサービス業はここが辛い!
サービス業を選ぶ人は、基本的に接客が好きな人でしょう。それでも世間の人々が楽しんでいる日に仕事というのは、肉体的にも精神的にも辛い部分があります。具体的に辛さを感じるのはどのうようなことなのか、見ていきましょう。
年間休日数が少ない
サービス業の勤務体制は多くの場合、カレンダーとは無関係のシフト制です。カレンダー通りに休めばだいたい、120日くらいが年間休日数となります。
一方、完全週休二日制のシフトの場合の年間休日数は106日から108日程度。10日以上も差があるのですね。休日数が少なければ、自分のための時間の確保は難しいでしょう。趣味や勉強に打ち込めないことでストレスが生じます。
大型連休の忙しさ
世間と同じタイミングで休めないのは仕方がないと割り切れても、大型連休中の忙しさにうんざりする従業員は多いでしょう。
客足の増加に比例して業務量が増える上に、連休でハメを外したお客様がトラブルを起こしたり、行列や待ち時間にイライラしたお客様から八つ当たりをされることもあります。
また、学生アルバイト・パート主婦などが帰省や家族サービスのために休んで人手が足りず、従業員同士もピリピリするなど、まるで戦場のような空気になります。
旅行に行けない
カレンダー通りの休みであれば、土日祝と有給休暇を合わせればある程度まとまった休みを作って旅行に行けます。
しかし、シフト制のサービス業ではなかなかそうも行きません。休みの希望を出せるのが月に2回まで、有給休暇も思うように取得できないなど、遠出がしにくい環境であることが多いのではないでしょうか。
家族や友人との時間を作れない
自分はシフト制のサービス業、家族や友人はカレンダー通りの仕事の場合、一緒に過ごす時間の確保が困難です。
また、子供の学校はカレンダー通り、運動会や親子遠足は土日に開催されることが多く、子供と過ごす時間が犠牲になりがちです。
世間の連休がうらやましい
年末年始やお盆休み、シルバーウィークやゴールデンウィークなどは、サービス業が最も忙しくなる時です。場合によっては雇い主から「連休中は休ませられない」などと言われ、大型連休の間は1日の休暇も得ることができないこともあるのではないでしょうか。
お正月ののんびりとした雰囲気や、春・秋の行楽気分を味わえないのがさみしく、連休を楽しんでいるお客様がうらやましくなるかもしれません。
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シフト制の仕事のメリットは?
まとまった連休が取りにくく、何かと辛い思いをすることが多いシフト制の仕事。しかし、シフト制ならではのメリットに、以下のような魅力を感じて働いている人もいます。
役所や銀行に行きやすい
カレンダー通りの休みで働いている場合、役所などに行こうと思ったら遅刻・早退・欠勤か有給休暇を使う必要がありますよね。
一方、シフト制のサービス業では、平日に休みが割り当てられることが多ため、平日しか開いていない役所や銀行などに行きやすい点がメリットです。
お得な値段でサービスを受けられる
美容室やレストラン、日帰り温泉などでは割安の平日プランが提供されていることがあります。
土日祝に比べてかなりお得な値段で、同じサービスを受けることができるのは、シフト制で働く人ならではの特典ではないでしょうか。
お店や施設が空いている
平日はさまざまなお店や施設で、お値段で得をすることがありますが、それだけではありません。どこにいっても空いており、温泉や映画館をほぼ貸し切り状態で楽しめることが少なからずあるのです。
特に、2020年11月現在は新型コロナウイルスの影響で人の多い場所は何かと不安ですよね。平日休みであれば、無理なく3密を回避しながら楽しむことができるでしょう。
カレンダーによる給与の変動がない
時給制・日給制で休日がでカレンダー通りの場合、祝日が多い月は収入が減ることになります。しかし、カレンダーとは無関係のシフト制であれば、祝日数による給与の変動はありません。
月々のやりくり計画が立てやすい点も、シフト制の良いところではないでしょうか。
連休なしのサービス業で従業員の不満を解消するには?
カレンダー通りの連休がない、サービス業のシフト制には辛い面も良い面もあります。サービスの現場を円滑に回しながら、従業員の不満をできるだけ解消するためは、どのような工夫が必要なのでしょうか。
インターネット上で見受けられたサービス業従事者の声を参考に、改善が望まれている点をまとめました。
代休を作る
国民の祝日によってカレンダー上での休日が増える月は、代わりの休日を作ってほしいという声があります。
一部のサービス業従事者からは「祝日分の代休を取らせることを義務付ける法律を作ってほしい」という意見も上がっており、切実な望みであることがうかがい知れます。
ただし、時給・日給のシフト制においては休みの分だけ収入が減るため、一律での導入よりも、希望者には代休を与える方が適切かもしれません。
従業員の希望をヒアリングしたうえで、代休制度を検討してみてはいかがでしょうか。
大型連休には中間休みを
世間が大型連休で客足が増える中、毎日仕事に出ずっぱりでは疲れてしまいます。連休半ばで一休みできるように、シフトを上手く調整しましょう。
そのためには、従業員数にある程度の余裕が必要です。サービス業は離職率が高く人手不足に陥りがちな業界ですが、いざという時困らないためにも、日ごろから人材確保に努めましょう。
人手不足の解消方法については以下の記事をご参照ください。
公平なシフトを組む
子供の都合などで毎回同じパート主婦にだけ祝日の休みを与えたり、辞められたくないベテランだからといって優先的に土日を休みにするなど、不公平なシフトを組むことは避けましょう。
プライベートの事情は人それぞれですが、たまには世間と同じ日に休みたいと思うのは誰でも同じでです。譲り合いの精神を啓発しつつ、土日祝の休みは公平に割り振りましょう。
閑散期には連休を与える
繁忙期に連休が取れない分、閑散期には特別休暇を設けたり、有給休暇の取得を促すなどでメリハリをつけましょう。
また、特別休暇は世間の連休が終わった直後に設定するのも良い方法。「この忙しさを乗り越えれば私にも連休が待っている!」と思って頑張れます。
割り増し賃金を支払う
客足の増加に比例して業務量も増えるのであれば、割増賃金を支払っても良いのではないでしょうか。普段と同じ賃金で業務量だけ増えるのと、それに見合った賃金を貰えるのとでは、仕事に対するモチベーションがまったく異なるものになるでしょう。
実際に、1月2日から開けているあるコールセンターにおいては、割増賃金を支払うことで喜んでシフトに入る人が多かったそうです。世間が休んでいるときに働いてくれる感謝の気持ちを込めて、割増賃金を奮発しましょう!
大型連休は従業員の様子に注意
大型連休中はお客様が増える分、トラブルの発生率も上がります。
お客様からきつい言葉をぶつけられたり、余裕を無くした従業員同士の摩擦によって心が折れ「もう辞めよう!」と思う従業員は少なからずいるでしょう。
多忙の中、かんたんなことではありませんが、繁忙期には普段以上に従業員への目配りとフォローが必要です。
現場の視点でモチベーションとメリハリを考えよう
1年を通して連中が取れず、ハードな仕事が続くと「わたしは何のためにこんな仕事をしているのだろうか」という疑問が沸いてきます。
そしてそのまま仕事に行くのが嫌なって退職、現場は人手不足が悪化して残る人はますます連休が取れない、という悪循環が生まれることも少なくありません。
ぜひ、現場で働く人の目線でモチベーションを保ち、メリハリをつけて働くには何が必要なのかを考えてみてください。