人手不足が旅館にもたらす悪影響
少子高齢化が進む日本において、多くの企業が人手不足に頭を悩ませているのではないでしょうか。旅館などの宿泊業界は、特に人手不足が深刻な傾向にあります。
帝国データバンクの調査によると、2023年1月時点で旅館・ホテルの8割が人手不足の状態であることを感じているという結果が出ています。
施設のタイプや経営方針にもよりますが、旅館は一般的に「人」によるおもてなしを提供する場所です。人手不足はさまざまな悪影響を及ぼします。
人手不足によって起こり得る悪影響の例を見ていきましょう。
参考:特別企画: 人手不足に対する企業の動向調査(2023年1月)/帝国データバンク
客室に空きがあっても販売できなくなる
仲居などの接客スタッフは客室を受け持っておもてなしを提供することが多いですが、従業員1名が対応できるお客様の数には限度があります。
人手不足に陥っている旅館では「対応できる従業員がいない」という理由で、客室が空いていても販売できなくなるリスクがあるでしょう。
利益を出す機会を逃し続けていれば、いずれ経営が傾くかもしれません。
サービスの質が低下する
人手不足が続いている旅館の中には、お客様に対応できるギリギリの人数で営業しているというところもあるでしょう。
チェックアウトからチェックインまでの間に客室清掃を終わらせたり時間に間に合うように食事を用意したりと、旅館の業務は常に時間との戦いです。
従業員の数が少なければ、ひとつひとつの業務をさらにスピーディーにこなさなければなりません。その結果、清掃の不備が頻発したり手作りの料理からインスタント食品に変更したりと、サービスの質が低下するおそれがあります。
また、チェックインや問い合わせなどに対応できる人数が少ないことで、お客様の待ち時間が長引くことも。
人手不足がさらに深刻化する
人手不足は労働環境の悪化に直結します。
旅館などの宿泊施設では、24時間誰かが働いていなければなりません。人手不足の旅館において、常に必要な人数をそろえようとすると従業員の労働時間が長くなるでしょう。また、ひとりあたりの業務量が増加することも考えられます。
このように過酷な労働が続けば離職者が増え、人手不足がさらに深刻化するのではないでしょうか。
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旅館の人手不足が深刻化する原因
旅館における人手不足は、早急に対処すべき問題です。適切な対策を考えるためにも、旅館の人手不足が深刻化する原因を探っていきましょう。
給与水準が低い
旅館などの宿泊業は、レベルの高い接客マナーが求められる上に体力も使う仕事ですが、給与水準は低い傾向にあります。
2023年における全産業の平均賃金は、月31万8300円でした。これに対して宿泊業・飲食サービス業の平均賃金は、月25万9500円。全産業でもっとも低い平均賃金という結果が出ています。
「業務の大変さを考えると割に合わない」というイメージを持たれやすいのではないでしょうか。そのため、求職者から避けられて応募者が集まりにくいということもあるでしょう。
離職率が高い
他の産業と比較して離職率が著しく高いことは、宿泊業が抱える大きな課題のひとつです。
2023年上半期の、全産業における離職率の平均は8.7%でした。これに対して宿泊業・飲食サービス業の離職率は14.8%。生活関連サービス業・娯楽業に次いで2番目に高い離職率です。
前述のとおり、旅館の仕事はハードワークになりがちです。仕事のきつさについていけず、辞める人が多いのではないでしょうか。
社会情勢に左右されやすい
宿泊業界は社会情勢に強い影響を受ける業界ですが、人材確保の観点でも同じことがいえるでしょう。
例えば新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が出されていた時期には、多くの宿泊施設が休業したり受け入れるお客様の数を減らしたりしていました。こうした措置を取れば、従業員が過多になることがほとんどです。ひとりあたりのシフトを減らすほか、やむを得ず解雇した施設もあるでしょう。
しかし、新型コロナウイルスによる行動制限が解除された2024年時点では、多くの旅館が人手不足に悩んでいます。再び自由な旅行を楽しめる世の中になったことで観光業はさらに盛り上がり、オーバーツーリズムに対処できないという施設もあるのでは。
世の中の動きに応じて、従業員の数を適切にそろえるのは容易なことではないでしょう。
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旅館の人手不足を解消するには
深刻な人手不足が続けば、旅館の営業を続けられなくなるおそれがあります。人手不足を解消するための方法を見ていきましょう。
採用活動を見直す
人材を確保するためには、採用活動の見直しが不可欠です。例えば、求人情報は働くイメージがわくような内容になっているでしょうか。
この点をクリアしていなければ、宿泊業に興味を持って求人情報を探している求職者の目に止まっても「どんな仕事をするのか分からないからこの旅館はやめておこう……」と考えるかもしれません。働くイメージを伝えるためには、1日の業務の流れやセクションごとの業務内容を具体的に掲載するとよいでしょう。
また、寮やまかないがあったり無料で温泉に入れたりといった旅館ならではの福利厚生があれば、ぜひアピールしてください。まずは応募者を増やすことが人手不足解消の第一歩です。
そして求人広告を掲載するメディア選びも重要です。若手の人材が欲しいなら20代のユーザーが多いSNSを活用するなど、ターゲットに合わせたメディアを選びましょう。
また、専門性の高いサービスを活用することもおすすめです。「おもてなしHR」は宿泊業界に特化した採用支援サービスで、求人広告の掲載や人材の紹介などを提供しています。宿泊業界に関心の高い求職者の目に入るため、ぜひ活用をご検討ください。
業務の効率化
業務を効率化することも、人手不足対策として有効です。
例えば自動チェックイン機を導入すれば、フロントスタッフの業務負担が大幅に軽減される可能性があります。これまで5名体制だったチェックイン対応を2名体制にするなど、少ない人数で業務を遂行できるようになるでしょう。
また、アメニティの提供をセルフサービスにしたり客室の備品を変えて清掃の負担を減らしたりといった工夫も可能ではないでしょうか。
以下の記事では、宿泊施設における業務の効率化について解説しています。併せてご一読ください。
労働環境や待遇面を見直す
人手不足を解消するためには、離職者を減らす努力も必要です。新たな人材を採用しても、離職率が高いままでは状況はよくならないでしょう。
離職を防ぐためには、労働環境や待遇面を見直す必要があります。旅館を辞める理由として特に多いのは「シフトが不規則で心身の負担が大きい」ということではないでしょうか。
拘束時間が長くなりがちな「中抜けシフト」を廃止するなど、改善に向けての取り組みを始めている旅館もあるようです。また、負担が大きいシフトに入る従業員には手当を支給するといったやり方もあるでしょう。
こうした取り組みをすることで、従業員はやりがいをもって仕事を続けられるのではないでしょうか。
旅館の人手不足を解消するには根本的な問題に対処しよう
新たな人材を採用するだけでは、人手不足は解消しないでしょう。労働環境や待遇面といった根本的な問題を解決しなければ、入社してもすぐに辞めてしまったり既存スタッフの退職が続いたりするのではないでしょうか。
人材を定着させ、円滑に旅館の業務を進めるためには、人手不足の根本的な原因に対処する必要があります。現在抱えている問題を洗い出し、効果的な解決策を検討してくださいね。
なお、旅館の採用活動で悩んだ際には、おもてなしHRにご相談ください。おもてなしHRは宿泊業界に特化した採用支援サービスです。求人広告の掲載や、宿泊業界に特化した人材紹介サービス、合同説明会の開催などを通して、宿泊業界の企業様の採用活動をサポートしております。
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