旅行のキャンセル料の仕組み
旅行におけるキャンセル料にはどのような決まりがあるのでしょうか。標準旅行業約款に触れながら見てみましょう。
キャンセル料とは?
キャンセル料とは、旅行商品などの予約解除にかかる料金のことです。キャンセル料のほか、取消料と呼ばれることもあります。
商品によりキャンセル料が発生する期間や金額が定められ、該当期間に入ってからの取消しが対象です。キャンセル料の規定は、旅行パンフレットや予約サイトの「旅行業約款」に記載があります。
標準旅行業約款とは?
標準旅行業約款とは、旅行業法に基づき、旅行会社と旅行者が交わす旅行の契約に関して、観光庁および消費者庁が定めた約款のモデルのことをいいます。
旅行会社は旅行業約款を定め、観光庁長官の認可を受けなければなりませんが、標準旅行業約款と同一の約款を定めるときは、個別の認可を受ける義務を免除されます。
旅行業法において、旅行業者は旅行業約款を定め、観光庁長官の認可を受けなければなりません。旅行業者はどのようなルールで顧客と契約を結ぶのか、役所の認可をもらわねばならないとされています。
ただし、観光庁長官が定める標準旅行業約款を使用するときは、その都度認可をもらわなくても良いとされており、この標準旅行業約款を使用している旅行業者が多いようです。
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旅行のキャンセル料はなぜ発生するの?
旅行会社は旅行者との契約後、旅行予定日までに時間や人件費をかけて契約内容の用意をします。それまでに様々なコストがかかっているため、契約者にはその金額を支払う義務があります。
旅行会社側や宿泊施設側からすると、利益を約束されていたはずのものが急なキャンセルによりなくなってしまうので、損失の補償としてキャンセル料が設けられているのです。
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旅行内容によるキャンセル規定の違い
キャンセル規定は、旅行のタイプにより異なります。旅行会社で契約する旅行のタイプ別に特徴を見ていきましょう。
募集型企画旅行
募集型企画旅行は、旅行会社があらかじめ旅行内容を計画し、参加者を募集して実施するものです。一般的にパッケージツアーと呼ばれています。
募集型企画旅行を企画した旅行会社には、旅行が予定通りに実施するための責任があるので、「旅程保証」が義務付けられ、旅行中の事故などに対して補償金が支払われる「特別補償」があります。
受注型企画旅行
旅行者の依頼に応じて、旅行会社が旅行を企画するのが受注型企画旅行です。
旅行代金には企画料が含まれ、企画料金を明示した場合には契約成立後のキャンセルの際、旅行会社は企画料を受け取ることができます。また、募集型企画旅行と同様、旅程保証や特別補償の対象となります。
手配旅行
旅行者の要望に基づいて旅行会社が旅行手配を請け負うものが手配旅行です。旅行会社は消費者の代理で旅行の取り次ぎ作業を行い、旅行者は手配に必要な実費と手数料を旅行会社に支払います。
手配旅行の場合、旅行中に起きた事故や旅程の変更等も、あくまで個人のオーダーメイド旅行なので、旅行会社の責任はありません。手配手数料およびキャンセル料はキャンセル時に請求されます。
国内旅行と海外旅行のキャンセル料
ほとんどのパッケージツアーは、観光庁の定めている約款に基づきキャンセル料を設定しています。国内旅行ツアーと海外旅行ツアーのキャンセル料に違いはあるのでしょうか。それぞれの規定について見てみましょう。
国内旅行ツアーのキャンセル料
国内旅行ツアーでは、旅行開始日の前日から起算して20日前からキャンセル料が発生します。詳細は以下の通りです。
- 出発の20日~8日前までは旅行代金の20%
- 出発の7日~2日前までは旅行代金の30%
- 旅行開始日前日は旅行代金の40%
- 旅行開始日当日は旅行代金の50%
- 旅行開始後または無連絡不参加の場合は旅行代金の100%
日帰り旅行の場合、11日前まではキャンセル料が無料ですが、以降は上記と同じです。
海外旅行ツアーのキャンセル料
海外旅行ツアーでは、基本的に旅行開始日の前日から起算して30日前からキャンセル料が発生します。詳細は以下の通りです。
- 出発の30日~3日前までは旅行代金の20%
- 出発の2日前~当日の旅行開始までは旅行代金の50%
- 旅行開始後または無連絡不参加の場合は旅行代金の100%
年末年始やゴールデンウィークなどのピーク期は、早い時期からキャンセル料の対象となり、出発の40日~31日前までで旅行代金の10%となります。
旅行の予約をする際はキャンセルに関する規定をしっかり確認しよう
旅行のキャンセルは旅行会社にとって大きな損失となります。そのため、各会社ではしっかりと規定を設けているのです。
旅行において最もトラブルになりやすいといわれるキャンセル料ですが、消費者側が事前に確認すること、また旅行会社が明確に提示することでトラブルを回避できるのではないでしょうか。
消費者はもちろん、旅行会社側も旅行のキャンセル料を支払う状況にならずに旅行を楽しんでもらうのが一番です。申し込みの際には、双方が万が一の場合を考えて詳細を確かめることが大切でしょう。