失業手当の受給中は扶養に入れない?
家庭と無理なく両立できる仕事に転職したい、配偶者の転勤について行くなど、結婚生活がきっかけで失業手当を頼りにする人は多いでしょう。
そこでしっかり押さえておきたいのは、失業手当の受給中は家族の扶養に入れない場合があることです(待機期間・給付制限期間中は可)。
失業手当は再就職を支援するための制度です。一方、扶養は専業主婦/主夫や16歳以上の子どもなどを一家の大黒柱が養う分、さまざまな控除が受けられるというもの。
たとえば、夫が会社員で妻が専業主婦の場合、妻が夫の扶養に入れば社会保険の被扶養者として認められます。その分、夫の社会保険料が上乗せされるわけでもありません。
また、配偶者の年収が103万円以下であれば、納税者の税金が軽減されるなどの制度もあります。トータルで考えると結構な額の控除になるでしょう。
しかし、失業手当を受給して扶養に入らないとなると当然、扶養控除の対象にならないのです。この点を理解せずに失業手当を受給してしまうと、国民年金・国民健康保険料の支払いで慌ててしまうかもしれません。
ただし、健康保険組合によっては基本手当日額が3612円未満であれば、失業手当受給中でも扶養に入れる場合もあります。加入している健康保険組合のルールを確認しましょう。
この記事では、家族の扶養に入る条件や、失業手当を受給して扶養に入らないことによるメリット・デメリットについて解説します。生計をともにする家族がいて離職を考えている人は、この記事を参考に、ベストな方法を探ってみてくださいね。
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そもそも扶養控除とは?
扶養には「税制上の扶養」と「社会保険上の扶養」があります。それぞれがどのようなものなのかを見てきましょう。
税制上の扶養
税制上の扶養は、配偶者が対象の「配偶者控除・配偶者特別控除」と配偶者以外の親族(6親等以内の血族・3親等以内の婚姻による親族)が対象の「扶養控除」があります。
生計をともにしている、給与所得が103万円以下といった条件を満たす被扶養者の人数に応じて、納税者(一家の大黒柱)の所得税が控除されます。
また、扶養控除に入れるにはその年の12月31日時点で16歳に達していることも条件。16歳未満の子どもや親族を養育しているに人は「子ども手当」があるためです。
なお、税制上の扶養についての詳細は、国税庁のホームページをご確認ください。
社会保険上の扶養
社会保険上の扶養とは、保険料を払わなくても一家の大黒柱の社会保険に加入できる仕組みのことです。
扶養に入ることができるのは、75歳未満で生計をともにしている配偶者(内縁もOK)と、3親等内の親族です。75歳以上は後期高齢者医療制度に移行するため、自分自身で国民健康保険に入らなければならないからです。
通常、社会保険に加入していない人は国民健康保険に加入しますが、扶養に入ればその必要はありません。
また、以下の条件に当てはまる場合は、国民年金の納付が免除されます。
- ・厚生年金を収めている人の配偶者である
- ・20歳以上60歳未満である
- ・年間収入が130万円未満である
国民年金は扶養に入ることで納付がなくなっても、将来の受給がなくなるわけではないのでこちらも大きなメリットでしょう。ただし、厚生年金は自分自身が加入して納付した分しか受け取れません。扶養に入る場合は特に、老後の生活をよく考えましょう。
社会保険上の扶養についての詳細も、国税庁のホームページで確認できます。
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失業手当を受給するのと扶養に入るのはどちらが得か考えよう
扶養に入らず失業手当を受給して各種控除をあきらめるのか、失業手当をあきらめて各種控除を受けるのか、どちらが得かは状況によりけりです。
失業手当は再就職が大前提なので、働く意思がなければそもそも受給できませんが、先の生活方針が固まっていない段階では大いに迷うところではないでしょうか。
そのような時は、具体的な数字を出して考えてみることをおすすめします。扶養の控除で浮くお金と、失業手当を受給した場合の収支を試算してみましょう。
また、扶養に入るにしても失業手当を受給するにしても、制限の範囲内で働くことは可能です。最大限働いた場合に得られる収入も加味してくださいね。
扶養の範囲内で働きたい!という方は以下の記事が参考になるはずです。
働き方で迷ったら転職エージェントに相談しよう
適切な労働時間や給料が分からない!など働き方で迷った時は、転職エージェントに相談するのも良い方法です。転職のプロである担当者が、一緒にベストな働き方を探してくれるでしょう。