所得税がかからない扶養内パート。103万円の壁は本当に壁になる?

所得がある人には必ず課せられる所得税。全員に納付の義務があるものですが、年間所得103万円以下の場合は所得税はかかりません。扶養内パートとして働く人の中には、この103万円をボーダーラインとして、働き方を調整する人もいます。所得税と扶養内パートの関係についてご紹介します。

給与から引かれる税金

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ある一定の収入がある場合に課せられる所得税。本来であれば、給与所得者本人が税務署に納付するべきものですが、自動的に毎月の給与から天引きされることで納付が完了しています。これを源泉徴収と言います。

給与明細を見て、所得税が引かれていることで損をしているように感じる事もあるかもしれませんが、そもそも納税は義務なのです。

個人による申告では、申告漏れや計算ミスのリスクがあることから、会社が源泉徴収を行うという方法がとられています。これは所得税法で決まっているもので、守られなければ、加算税や延滞税を課税されるなどの罰則もあるものです。

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給与に関係する税金の種類

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日本国内には「税」の文字が付くものは多数存在しています。買い物をすると発生する消費税、車を所有する人には自動車税、土地を所有する人は固定資産税。個人での納税が求められている税の場合は、納付の実感があるものですが、給与所得から自動的に天引きされる税は、納付している感覚が薄いかもしれません。これから給与に関する税の紹介をしていきますので、参考にしてみてください。

所得税

所得税とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間のすべての所得から所得控除を差し引いた残りの金額に税率を適用して算出される税金です。所得のある全ての人が、必ず納めることになる税金です。

所得税の税率は課税対象となる所得金額に応じて、5%から45%の7段階に区分され、段階的に高くなる「超過累進税率」を採用しています。

  • ・195万円以下:5%
  • ・195万円~330万円以下:10%
  • ・330万円~695万円以下:20%
  • ・695万円~900万円以下:23%
  • ・900万円~1800万円以下:33%
  • ・1800万円~4000万円以下:40%
  • ・4000万円超:45%

税率は上記のように段階的に上がり、所得の少ない人よりも、所得の多い人のほうが、多くの税金を納める仕組みとなっています。

住民税

住民税は、1月1日時点で住所のあった市区町村に納付する税金です。国に納めるのが所得税で、自分の居住地に納めるのが住民税になります。都道府県や市区町村が行っている行政サービスの費用を、住民にも負担してもらう目的をもっており、この住民税のおかげで地方自治体の行政サービスが維持されています。

住民税は前年分の所得に応じて、税額が決まり、決まった税額は、翌年の6月から支払いが始まり、所得税と同様に会社が給料から天引きして代わりに納付します。住民税も本来は従業員が自分で手続きして支払うものです。

所得税は当年の所得をもとに計算した税額を当年に納付しているのに対して、住民税は前年の所得をもとに計算した税額を当年に納付しています。

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税法上の扶養とは

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扶養内での働き方には「税法上の扶養」と「健康保険上の扶養」の二種類が存在しています。それぞれ、扶養内で働く場合の収入の基準額というものが設けれらています。収入の算定金も異なり、扶養家族の範囲も違っています。

所得税法上の扶養親族は「生計を一にする親族で、所得金額が一定以下の者」が対象で「その年の1月1日から12月31日の実際の年間収入」で判断します。

所得税法上の扶養親族の判定における「収入」「所得」には、障害年金や遺族年金など、社会保障目的のものや、一定以下の金額の通勤手当など、非課税のものは含まれません。

所得税法上の扶養親族は「6親等内の血族と3親等内の姻族」とされており、「戸籍上の親族である」ことが必要ですが、同居は必ずしも要件とはなっていません。

扶養内パートと所得税の関係

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所得税は所得のある全ての人が支払いの対象になります。扶養内パートで働いた場合の所得税はどうなるのでしょうか。

所得税のかからない所得ライン

所得税には、全ての納税義務者が無条件で課税標準額から差し引くことのできる48万円の「基礎控除」があります。その他、給与所得にも最55万円の「給与所得控除」が認められています。

つまり、扶養内パートの年間の給与所得が、「基礎控除」の38万円と「給与所得控除」の65万を合算した103万円以下であれば、実質的に所得がゼロとみなされるため、所得税はかかりません。俗に、103万の壁と言われる扶養内パートの働き方です。

また、年間所得が103万円以下の扶養内パートの場合、扶養者の所得税を計算する場合にも「配偶者控除」が適用されます。自分自身の税金がかからないうえに、扶養者の税金も抑えられるというメリットもあります。

参考:国税庁HP

所得税がかかる扶養内パートでも負担は少ない

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扶養内パートの働き方の年間所得を103万円に抑えるというのは一つの選択肢です。働いた分の金額からは一円も引かれるものを無くしたいのであれば、ベストでしょう。

とはいえ、そもそも所得税は「超過累進税率」。さらに、所得税は103万円を超えた金額に対してかかるものです。仮に年間所得が105万円になった場合、所得税がかかるのは2万円に対してです。適用される税率は5%であるため所得税額は1,000円になります。

また、配偶者控除も、105万円未満であれば103万円と同額の38万円。2万円の収入増に対して、所得税などで増額されるのは数千円です。

つまり、103万円は一つの基準ではありますが、働き損を気にする必要はなさそうです。ただし、扶養者の会社によっては、被扶養者の年間所得が103万円以内を条件に扶養手当が支給するといったこともあるので、注意は必要かもしれません。

扶養内パートを検討する場合には、所得税が引かれることばかりでなく、さまざまな制度との関係を総合的に検討する必要がありそうです。

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