農泊の成功事例5選!農林水産省の資料をもとに具体的な取り組み内容を解説

2016年3月に政府に策定されて以降農林水産省が推進する農泊は、2023年度末時点で全国656の地域で実施されています。多くの地域で実施されている一方で、具体的にどのような取り組みが行われているのかはあまり知られていないかもしれません。そこで今回は、農林水産省が公表した資料をもとに農泊の成功事例をいくつか紹介します。実際に農泊に取り組む前にいろいろな地域の成功事例を確認しておきましょう。

農泊の概要

農泊とは、農山漁村に宿泊し、滞在中にその地域の資源を活用した食事や体験などを楽しむ農山漁村滞在型旅行のことです。

2016年3月に政府に策定されて以降、2023年度末時点で全国656の地域で実施されているようです。

農泊では、農山漁村ならではの農業や景観、食などの地域資源を活用したさまざまなコンテンツが提供されます。これは、長期滞在による消費を促すことを目的としています。

また、農山漁村を支える体制を作り、収益を確保することで地域の雇用を生み出すことで、将来的な移住や定住も見据えた関係人口を増やすというねらいもあるようです。

出典:農泊をめぐる状況について/農林水産省

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農泊の成功事例5選

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ここでは、農林水産省が公表した資料をもとに農泊の成功事例を5つ紹介します。

事例1:北海道八雲町

北海道南西部にある八雲町では、農産物の収穫などの体験観光事業や廃校を活用した交流拠点の整備などを展開しています。

具体的な取り組み

  • 農家・漁家と交流や体験活動を行う体験観光事業の実施
  • 廃業した施設のリノベーションを行い、カフェ兼ゲストハウスとして整備
  • 廃校をリノベーションし、キャンプ場兼レンタルスペースとして活用

これらの取り組みを行った結果、2022年度の町内への宿泊数が1000人を超え、移住者の増加に成功したようです。

事例2:宮城県登米市

宮城県北部に位置する登米市では、地域農産品の直売所、農家レストランの運営、食育や観光につながる体験教室、キャンプ場を活用した農泊を実施しています。

具体的な取り組み

  • 地元農家と連携して生産した農畜産物や加工品を直営の直売所やレストランで販売
  • 子どもが食品の生産過程を理解できる食農体験教室・ファームをオープン
  • 観光客向けに自然散策や地元農畜産物を使ったバーベキューを提供
  • 地元の高齢者がガイド・受け入れをする農村体験を提供

地元農家の生産物を直売所で販売したことにより、2022年度は約4.5億円の売り上げとなったそうです。

事例3:千葉県鴨川市

千葉県南東部に位置する鴨川市では、観光協会と連携して都市との交流を通した地域社会づくりを推進しています。

具体的な取り組み

  • 大山千枚田という棚田を活用したイベントを開催
  • 地元農産物の提供・加工品の販売をする古民家レストランを運営
  • 県内外小学校の宿泊学習の受け入れ

これらの取り組みを行ったことで、2019年には年間1万人以上の交流人口の創出に成功しています。

事例4:京都府伊根町

京都府の丹後半島の北東部に位置する伊根町では、宿泊施設や飲食店といった観光関連施設や生産者、金融機関など多分野の事業者と連携した農泊を推進しています。

具体的な取り組み

  • 舟屋を活用した宿泊施設と食事施設を整備
  • 個人宅を活用したかご網漁・もんどり体験を提供
  • 海の豊かさや魚介類の品質の良さを味わえる体験型観光を推進

さまざまな体験を推進し宿泊施設を整備したことにより、2017年に約8000万円だった宿泊施設の売り上げが2022年には約1.9億円になるなど大幅な増加につながっています。

事例5:徳島県美馬市、三好市、つるぎ町、東みよし町

徳島県の美馬市、三好市、つるぎ町、東みよし町の2市2町では、古民家や廃校などを整備してその地域の農業や伝統を体験できるプログラムを提供しています。

具体的な取り組み

  • 農山村のサステナブルな暮らしを体験する観光を提供
  • 都市部中学生・高校生への農作業体験、収穫物の共同調理などの農泊体験の提供
  • 農山村散策や農家での餅つきなどのツアープログラムを実施

これらの取り組みを行った結果、徳島県では一人当たりの観光消費額を3000円ほど増加させることにつながったようです。

出典:農山漁村発イノベーション事例集/農林水産省

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農泊を成功させるためのポイント

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前述したとおり、農泊の取り組みが成功している地域は多くありますが、実際に農泊を成功させるためには何をすればよいのでしょうか。ここでは、農泊を成功させるためのポイントを紹介します。

地域のニーズを把握する

農泊では地域の自然や文化、歴史を最大限に活かした体験プログラムを提供する必要があります。

そのため、観光客がその地域でしか体験できない特別な魅力を感じられるように、地域のニーズを把握しておくことが大切です。

マーケティングを徹底する

農泊を行う際は効果的なプロモーションの戦略を立てて、ターゲットとなる観光客にアプローチするようにしましょう。

そのためにもSNSやホームページを活用したり旅行代理店・観光協会などと連携したりするなど、あらゆるメディアを活用して情報発信を行うことが重要です。

持続可能性を意識する

農泊を成功させるには、地域の環境や文化を守りつつ持続可能な形で観光業を発展させる必要があります。

地域資源を大切にし、環境に配慮したプランを提供することで、その地域の未来を守ることにもつながるでしょう。

地域の協力や支援を受ける

農泊を成功させるためには、地域の協力や支援を受けることも大事な要素です。

地域協議会や観光協会などからの支援を受けることでできることが広がり、プロモーションに加え、体験プログラムを充実させられる可能性があります。

農泊に取り組むなら農山漁村振興交付金を活用しよう

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農泊を取り入れることを検討しているのであれば、農林水産省が実施する「農山漁村振興交付金」という補助金制度を活用しましょう。この交付金は以下のような取り組みを行う際に活用できます。

  • 地域経済の活性化
  • 雇用創出・定住促進
  • 地域資源の活用
  • 生活環境の改善
  • 地域コミュニティの維持

具体的な事業内容によって上限や交付率は異なりますが、農泊を実施するための費用を支援してもらえます

詳しい概要や申請の流れは以下の記事で解説していますので、気になる方はぜひ参考にしてくださいね。

いろいろな地域の成功事例を参考にして農泊に取り組もう

都市部に偏りがちな観光需要を地方創生につなげていくためには、地方の観光資源の魅力を高めていく農泊の取り組みが不可欠でしょう。

農泊を成功させるためには、宿泊に付帯する体験型コンテンツなどを充実させる必要があります。

実際に取り組む前にいろいろな地域の成功事例を確認して、具体的な取り組み内容を知っておくことは、農泊成功の近道かもしれません。

なお、おもてなしHRは地方創生を目的とした事業であり、宿泊業界に特化した転職・就職支援サービスです。

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