面接で残業の多さを転職理由にすることは、伝え方を工夫すれば「効率的に働きたい」という前向きなアピールになります。
不満を漏らすのではなく、長く働き続けるために必要な環境を求めていると理解してもらえるからです。
ひとつの目安は、月40時間というラインです。これは毎日2時間の残業が続いている状態であり、個人の我慢が足りないのではなく、会社の仕組みに無理があると判断される数字です。
この事実をもとに話せば、わがままではなく、正当な理由として受け止めてもらえます。
この記事では、残業への不安を「仕事の質を高めたい」という意欲に変換するコツと、職種別の具体的な回答例を紹介します。
転職理由「残業が多い」は伝えてOK!不満を前向きな意欲へ変える
事実として長時間労働が続いているのであれば、それを隠す必要はありません。
大切なのは、現状への不満をただ吐き出すのではなく、よりよい仕事をするための環境を求めているという、改善への意欲として伝えることです。
単に「辛かった」と伝えるだけでは、マイナス評価のリスクがある
たとえば月40時間程度の残業は、業界によっては標準的だと捉えられるケースも少なくありません。
そのため、時間の長さだけを訴えても「忍耐力がない」と判断されてしまうことがあるからです。
また、上司や職場のせいにする言葉選びも避けるべきです。
たとえ事実であっても、「自分では状況を変えようとしない人」という印象を与えてしまうおそれがあります。
採用担当者が見ているのは環境を変えてどう貢献するか
企業が求めているのは、労働時間を減らしてラクをしたい人材ではなく、限られた時間の中で密度の高い成果を出せる生産性のある人材です。
残業への拒否感ではなく、「無駄をなくして、本来注力すべき業務に時間を使いたい」という前向きな意思を伝えてください。
そうすることで、入社後に活躍する姿をイメージしてもらいやすくなります。

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転職理由「残業が多い」を言い換えるための3つのポイント
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転職理由として残業を取り上げる際は、ただ事実を伝えるだけでなく、その背景にある自身の考え方や行動をセットで示す必要があります。
採用担当者に納得してもらい、プラスの評価を得るための具体的なポイントを解説します。
1.主観ではなく「月40時間」など客観的な数字で伝える
残業が多いという感覚は人によって基準が異なります。
感情的な不満と受け取られないよう、「月平均40時間」「毎日21時まで」といった具体的な数値を用いて事実を共有することが大切です。
特に月40時間前後の場合、激務かどうかの判断が分かれやすい傾向にあります。
物理的に終わらない業務量なのか、あるいは慣習的な付き合い残業なのか、その内訳もあわせて説明することで、置かれていた状況を正しく理解してもらえます。
2.不満を言う前に業務改善のために行動した事実を添える
いきなり会社の批判をするのではなく、まずは現状を変えるために自分なりに動いたプロセスを伝えましょう。
「自身の業務フローを見直した」「チームへの改善提案を行った」といった事実を挟むことが重要です。
そのうえで、「個人の努力では変えられない構造的な問題があったため転職を決意した」という流れで話します。
そうすることで、単なる不満ではなく、課題に対して責任を持って向き合おうとする姿勢をアピールできます。
3.「残業を減らしたい」を「仕事の質を高めたい」に変換する
転職の目的が、単に「自分の時間を確保したい」という個人的なメリットだけで終わらないように意識しましょう。
企業が求めているのは、定時で帰ることそのものではなく、成果を出すことだからです。
「ダラダラと長く働くのではなく、限られた時間で最大の成果を出したい」と伝え、浮いた時間を本来注力すべき顧客対応や提案業務に使いたいと説明します。
労働時間の量ではなく、仕事の質で貢献したいというプロとしての意欲を示すことが、企業側へのメリットとして響きます。
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転職理由「残業が多い」の好印象な伝え方!職種・状況別の例文集
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面接では、職種ごとの業務特性に合わせて、残業を減らすことが成果につながるという論理で話す必要があります。
それぞれの職種で使いやすい具体的な回答例と、そのポイントを解説します。
- 営業・事務職の例文:顧客と向き合う時間を増やしたい
- 販売・サービス職の例文:整ったチーム体制で接客に集中したい
- サービス残業の例文:正当な評価制度のもとで成果を出したい
- 【注意】マイナス評価につながるNG例文の共通点
営業・事務職の例文:顧客と向き合う時間を増やしたい
例文
「現職では、社内向けの報告資料作成や会議が長時間化しており、本来もっとも優先すべき顧客への提案時間が削られているのが実情です。自身の業務効率化には努めてまいりましたが、構造的な改善が難しいため、より効率的な環境を求めて転職を決意しました。社内業務に費やしていた時間を、お客様との対話や新規開拓の時間に充てることで、より高い営業成果を上げたいと考えています」
この回答のポイントは、残業の原因を内向きの社内業務にあると特定し、それを削減する目的を売上貢献に置いている点です。
単に自分がラクをしたいわけではなく、会社の利益を最優先に考えているビジネス視点が伝わるため、合理的な改善意欲として高く評価されます。
販売・サービス職の例文:整ったチーム体制で接客に集中したい
例文
「現職では慢性的な人員不足により、個人の負担が大きく、接客の質を維持することが困難な状況が続いていました。バックヤード業務やシフトの穴埋めに追われ、お客様一人ひとりに十分なサービスを提供できないことに課題を感じています。チーム体制が整った環境で、互いに連携を取りながら業務にあたることで、お客様へのサービス品質を最大化したいと考え、転職を希望いたしました」
人員不足や業務過多への不満を、そのまま伝えるのではなく、顧客サービスの品質低下への懸念として変換しているのがポイントです。
自分自身の疲弊よりも、お客様に良いサービスを提供できないことへの悔しさを強調することで、サービス職としてのプロ意識と責任感の強さを印象付けられます。
サービス残業の例文:正当な評価制度のもとで成果を出したい
例文
「現職では労働時間の管理が曖昧で、成果と労働時間が正しく評価に結びつかない環境でした。時間を意識せずに働く風土よりも、限られた時間の中で規律を持って成果を出し、それが正当に評価される環境に身を置きたいと考えています。時間管理が徹底された御社でこそ、メリハリを持って業務に取り組み、高いモチベーションを維持して貢献できると確信しております」
給与が出ないことへの金銭的な不満ではなく、規律と公正な評価を求めているという姿勢を示すことが重要です。
時間を守る意識が高いこと、そして成果に対してシビアに向き合いたいという向上心を伝えることで、健全な野心を持った人材として受け入れられやすくなります。
【注意】マイナス評価につながるNG例文の共通点
残業の多さを伝える際に、採用担当者がもっとも警戒するのは定着性と性格的な懸念です。
以下のような伝え方をしてしまうと、どれだけ優秀なスキルがあっても不採用になる可能性が高まります。
感情的な不満だけを伝えている
「毎日疲れて限界だった」「とにかく辛かった」といった主観的な感情をそのまま言葉にするのは避けるべきです。
採用担当者は、事実ベースではなく感情で動く人物だと判断し、ストレス耐性の低さや、入社後の早期離職を懸念する材料にしてしまいます。
人や環境のせいにしている
「上司が帰らないから自分も帰れなかった」「会社がいわゆるブラック企業だった」といった批判は、たとえ事実であっても口にしてはいけません。
組織の課題に対して、自分なりに働きかけようとせず、すべてを周りのせいにして諦めてしまう人だと判断され、敬遠される原因になります。
逃げの姿勢しか見えない
仕事の内容や貢献意欲を語らず、残業さえなければ何でもいいという受け身な態度も禁物です。権利ばかりを主張して、仕事への熱意がない人だとみなされます。
労働条件はあくまでいい仕事をするための土台であり、働く目的そのものではないことを忘れてはいけません。
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無料で面接対策をする転職理由「残業が多い」への質問対策!面接での適切な答え方
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面接官から「うちは繁忙期になると残業が発生しますが、大丈夫ですか?」と聞かれることがあります。
このとき、過去の経験からくる不安から「残業は一切できません」と即答してしまうのは避けるべきです。
組織で働く以上、突発的なトラブルや季節ごとの繁忙期に協力できない人材は、採用リスクが高いと判断されてしまうからです。
「一切できません」はNG!メリハリをつけて働く意欲を伝える
正解は、柔軟性を見せつつ、自身の基本スタンスを伝えることです。
「繁忙期やトラブルの際には、チームの一員として責任を持って対応します」と協調性を示したうえで、「基本的には業務時間内に仕事を終わらせるよう、効率を意識して働きたいと考えています」と付け加えます。
こうすることで、単に残業を拒否するのではなく、メリハリをつけて成果を出すプロ意識の表れとして、好意的に受け取ってもらえます。
「皆様は何時頃に退社されますか?」と逆質問で実態を探る
「残業は多いですか?」と直球で聞くと、仕事内容よりも待遇ばかり気にしていると思われかねません。
角を立てずに実態を知るには、活躍している社員の方の1日のスケジュールを聞くのが有効です。
業務への関心を示しつつ、自然な流れで「何時頃に退社しているか」という事実を引き出せるため、意欲を疑われることなくリアルな働き方を確認できます。
残業が少ない企業へ転職するなら転職エージェントを活用しよう

自分一人で求人票を見るだけでは、本当に残業が少ない企業を見抜くことは困難です。記載内容と実態が異なるケースも多く、ミスマッチのリスクがあるからです。
確実なのは、企業の内部事情に詳しい転職エージェントを活用すること。第三者の視点によって、求人票には載っていないリアルな労働環境を事前に把握できます。
求人票の情報だけでは隠れ残業や実態は見抜けない
求人票に「残業少なめ」と書かれていても、実際にはみなし残業代が多く含まれていたり、持ち帰り仕事が当たり前だったりと、文字情報だけでは見えない落とし穴があります。
こうした実態を個人の力だけで完全に見極めるのは非常に難しく、再びミスマッチな企業を選んでしまうリスクがどうしても残ります。
エージェントなら労働環境の改善に取り組む企業を知っている
エージェントは企業の採用担当者と日常的にやり取りをしているため、実際に働き方改革が進んでいるかどうかの内部情報を詳しく把握しています。
ICTの導入や業務フローの改善によって、劇的に残業を減らしている隠れた優良企業に出会える確率も高まります。
入社前にリアルな残業時間や職場の雰囲気を確認できる
「実際のところ、何時に帰れますか?」といった質問は、面接の場では聞きにくいものです。
しかしエージェント経由であれば、角を立てずにリアルな退社時間を代わりに確認してもらえます。
繁忙期の忙しさや有給休暇の取得率など、入社してみないとわからない実態を事前に知ることができるため、納得感を持って応募することができます。
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残業月30時間以内の求人を見る転職理由と残業に関するよくある質問
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ここでは、転職理由と残業に関するよくある質問をまとめました。次の転職を考える際の参考にしてくださいね。
履歴書の本人希望記入欄に「残業なし」と書いてもいいですか?
前の会社を残業理由で短期離職していますが、不利になりますか?
求人票に「固定残業代(みなし残業)」がある企業は避けるべきですか?
転職理由は「残業が多い」でも大丈夫!転職のプロ・おもてなしHRと対策して理想の職場へ
残業の多さを理由に転職することは、決して悪いことではありません。無理なく働き続けられる環境を求めるのは、自分のキャリアを守るための自然な判断だからです。
大切なのは、その理由をどう伝えるかです。不満をただ並べるのではなく、仕事の質を高めるための前向きな意欲として伝えることができれば、採用担当者の評価は大きく変わります。
もし、自分一人で言葉を選ぶのが難しかったり、企業の本当の姿が見えなくて不安だったりする場合は、ぜひ転職のプロを頼ってください。
「おもてなしHR」があなたの希望を整理し、本当に納得して働ける職場を見つけるお手伝いをします。
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