モノ消費からコト消費へ。変化するコト消費ニーズへの宿泊業界の対策は?

最近「コト消費」という言葉を見かけることが多くなりました。近年の消費傾向は「モノ消費」から「コト消費」へ変化しているといわています。宿泊業界でも、さまざまな工夫や取り組みがなされています。時代とともに変わる消費者のニーズと、今後についてをご紹介します。

コト消費とモノ消費

観光地で食べ歩き

iStock/fotoVoyager

コト消費とモノ消費のそれぞれの違いと、変化の背景についてご紹介します。

コト消費とは

商品・サービスによって得られる経験や、体験の価値を重視する消費行動を指しています。
多くの人が比較的簡単にモノを手に入れられるようになり、商品そのものの価値は相対的に弱まりました。近年では、経験や人との繋がりに軸を置いた、モノより体験にお金使いたいという考え方が、若者を中心に広まっています。

モノ消費とは

商品・サービスの所有する機能の価値を重視する消費行動を指しています。
モノがまだ少なかった時代は、生活者の暮らしを豊かにするテレビや冷蔵庫、洗濯機、自動車などは、市場に出ればすぐに売れていました。
商品・サービスそのものの機能に価値があると捉えられ、特に高度経済成長期からバブル期は「モノ消費」の全盛期でした。多くのモノを所有することこそ、幸せや成功の証と考えられていました。

モノ消費からコト消費への需要の変化

今の生活者はモノやサービス、情報などあらゆるものが過剰供給状態にあり、すでに多くのモノを持っている状態です。「欲しいモノが特にない」「欲しいモノが分からない」、さらには「いかにモノを増やさないか」といった考え方が広まり、モノ消費需要そのものが減少しています。機能的な価値を提供するだけでは消費者に選ばれにくくなっています。
また、変化の背景には、SNSの普及が関係しているとも言われています。体験がシェアできる環境が整備され、消費の背景やストーリーを付加することが増えたために、モノ消費からコト消費への需要が高まったと考えられています。

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コト消費の事例

ショッピングモール

iStock/Alexander-Pyatenko

「コト消費」では、顧客の心が動く機会が多いため、印象に長く残りやすい特徴があります。ただ消費するための商品ではなく、思い出として印象付けることで、リピート利用や新規顧客の紹介などにもつなげやすくなります。コト消費には具体的にどのような事例があるのかご紹介します。

動物カフェ

モノ消費からコト消費への変化は、飲食店でも見られます。その例として、動物カフェがあります。カフェの中で、猫や犬だけでなく、最近はフクロウといった動物と触れ合うことができます。来店機会を、カフェの本来の機能では無い「ふれあい」というところで与えているのが特徴です。

文化体験

旅行者向けに、日本全国の伝統文化を発信し、おもてなしの一環として文化体験サービスを提供することがあります。特に外国人観光客に人気で、和服の着付け・書道・陶芸といった日本特有の文化を実際に体験できる施設や店舗が増えています。それらの体験を目的とした観光客を誘致する動きが、各地で行われています。

複合商業施設

大型ショッピングモールの中に、映画館やアトラクション施設、ホールの設置されることが増えてきました。施設内でイベント開催や、モノを買うことが楽しくなるような仕掛けや、店舗設計がされています。スタンプラリーや、福引などもその一環です。

体験型福袋

福袋にもコト消費への変化がみられます。福袋は、百貨店を中心としたさまざまな業態の店で販売され、年始の名物といえます。購入価格より高価な品物が入っている場合も多く、豪華な内容を期待した購入者が行列を作ることもあります。
この福袋の内容も「モノ」から「コト」へ広がりを見せています。ディナークルーズ、プロスポーツ選手によるレッスンといった、普段でできない体験を福袋にしています。「お得感」ではなく「なかなかできない体験」に重きがおかれた内容が特徴です。

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コト消費を目的とした旅行客の増加

着物を着た観光客

iStock/ablokhinjpg

モノ消費からコト消費への変化は、国内消費のほかにも、外国人観光客による消費にも影響があるといわれています。

変化するインバウンドの消費傾向

インバウンドの市場も、モノ消費からコト消費に変化しているといわれています。
2015年に「爆買い」という言葉が流行語になりました。特にアジア圏からの外国人観光客が、一度に大量の日本製品を購入する姿が、ニュースなどでも多く取り上げられました。
そのため、モノ消費ばかりが注目されがちですが、コト消費は外国人観光客の訪日目的として定着しつつあります。特に欧米諸国からの旅行客は、日本の文化や歴史を理解できるよう な体験を好む傾向にあります。

さらに、外国人観光客が、家電や生活雑貨のようなモノではなく、温泉巡りや着物体験などのコトを楽しむようになった背景には、リピーター客の増加やネット通販の普及が、消費傾向の変化に影響を及ぼしていると言われています。
最近では、そういった外国人観光客のニーズに併せた工夫をしている宿泊施設が増えてきています。着物のレンタルや、観光地を描いた撮影スポットを用意している施設も。日本らしさを体感することを目的に、日本旅館への宿泊を希望してる外国人観光客も多くいます。

地方旅行者の増加

自然景観、歴史的建造物、旅館や温泉。地方にこそある、文化や歴史が「体験」ができる環境を整備し、魅力があるものとして訴求できれば、コト 消費は地方誘客の大きなきっかけとなり得ます。コト消費はモノ消費を促す効果があるといわれています。旅行先で、実際に体験した内容に関わるモノに興味 を持ち購入するケース。地元の人からの推薦をきっかけにモノを購入するケ ース。コト消費はモノ消費を活性化する効果を持ち合わせています。特産品や特産物の消費を活性化することで、 観光地の活性化や経済的な発展も期待することができます。

宿泊施設が、地域で人気のある店舗と連携をとり、パンや漬物などの食材を宿泊施設の料理として提供することもあります。

「モノ消費」から「コト消費」に変化するニーズ

茶道体験

iStock/oluolu3

「モノ消費」から「コト消費」への変化の背景には、日本国内における消費の成熟化が挙げられます。モノ自体への意欲の低下が、コトを重視する消費動向への変化につながっていると言えます。すでに物理的な豊かさは得ているなか、さらに充実した生活のために精神的な豊かさを求める消費者感情がコト消費へとつながっているのでしょう。コト消費で体験した記憶は大切な思い出となり、人生の資産になり得ます。消費者はが求めているのは、心の豊かさです。今後も変化する消費者ニーズを理解し、新しい消費スタイルの提供を目指してく必要がありそうです。

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