グリーンツーリズムとは?メリットや事例も合わせて説明

誰もが知るリゾートへ行き、立派なテーマパークで遊び、豪華なホテルに宿泊する。それだけが理想の旅行、余暇の過ごし方でしょうか?そんなことはありませんよね。ここ数年、古民家や移住がブームになっているように、人々の興味は多様化しています。そうした中で注目を集めているのがグリーンツーリズムです。当記事では、グリーンツーリズムとはどんなものなのか、また地域でグリーンツーリズムを推進することでどんなメリットがあるのか、などについて解説します。実際の成功事例も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

グリーンツーリズムとは

農作業するおじいさんとパソコンをいじる女性

iStock/tdub303

グリーンツーリズムとは、主に農村や漁村地域において自然・文化・人々との交流を楽しむことを目的とした余暇活動です。「日帰り型」と「宿泊・滞在型」があります。

主に海外で親しまれてきたもので、イギリスではルーラル・ツーリズム、フランスではツーリズム・ベール(緑の旅行)と呼ばれています。

近年の日本では、東京と地方で二極化が進んでいることが問題視されています。そうした背景の中で、地方の活性化・にぎわい作り・観光客誘致を目指す手段として、グリーンツーリズムが注目されているのです。

参考:

農林水産省「グリーン・ツーリズムとは」

農林水産省「国際グリーン・ツーリズム推進の手引き 」

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グリーンツーリズムの歴史

畑仕事する家族

iStock/kokouu

グリーンツーリズムは今から約50年も前、ヨーロッパで始まりました。「農村や漁村に滞在しながら休暇をエンジョイする」という過ごし方が長期バカンスを楽しむ国民性にマッチし、そこから広まったようです。

それからだいぶ遅れて、1994年に日本でもグリーンツーリズムの振興を支援する法律「農山漁村余暇法」が制定されます。

それをきっかけとして、さまざまな地域でグリーンツーリズムを推進する動きが活発化。観光客が宿泊する農家民宿の開業、体験・交流プログラムの作成などが進められました。

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グリーンツーリズムによるメリット

そば打ち

iStock/luigi-giordano

グリーンツーリズムを推進することで地域が得られるメリットは、大きく次の3点です。

  • ・魅力の再発見
  • ・経済活性化
  • ・雇用の創出など、にぎわいづくり

一つひとつ、詳しく見ていきましょう。

魅力の再発見

観光客を受け入れ、楽しんでもらうためには、提供する『何か』がなくてはいけませんよね。では『何か』とはなんでしょうか?

ここで地方の人は、観光客を呼ぶために新しく施設を作らなければならないと考えがちです。しかし、グリーンツーリズムの本質はそこにはありません。

グリーンツーリズムは、観光客にその土地ならではの特色を味わい、楽しんでもらうもの。それは昔からある田園風景かもしれませんし、田植え体験かもしれません。伝統的な食文化を学んだ後に実際に作ってみる、なんてのも楽しそうですね。

これらは、もともとその地にあったものです。住む人にとって田植えは毎年の作業、ルーティンワークでしょうし、どこまでも続く田んぼは見飽きた風景でしょう。

しかしグリーンツーリズムで訪れる人にとって、それこそが魅力であり旅の目的となり得るのです。グリーンツーリズムを推進することで、こうした地域に眠っている魅力を再発見できます。

経済活性化

地域に観光客がたくさん来るようになると、遊ぶ人、買い物する人、宿泊する人が増えますよね。すると当然、各施設の売上が上がるので経済が活性化されます。

地域内のお金のめぐりが良くなると、利益を活用してさらにまちの魅力をブラッシュアップしたり、新しいプロジェクトを始めたりといった試みができるようになります。

結果的に、地域全体が元気になる好循環が生まれるのです。

雇用の創出ほか、にぎわいづくり

経済が活性化すると、おのずと雇用の創出にもつながります。

地方の少子高齢化事情は深刻で、若年層を中心に人口流出が続いているのが実情です。しかしある程度の雇用を確保できれば、減少のペースを緩やかにすることが可能でしょう。近隣の市町村からの通勤者や、都市部からの移住者が増える可能性もあります。

人が増えれば、地域が活気づきます。グリーンツーリズムの推進は、地域のにぎわい増加にもつながるはずです。

日本のグリーンツーリズム事例紹介

古民家の前で野菜を持つ男性

iStock/sakai000

日本のさまざまな自治体がグリーンツーリズムを進めている中で、グリーンツーリズムのモデルケースと言われるほど成果をあげている事例を紹介します。

とある企業が「地域を農業から活性化したい」という思いのもと、農家民泊を核とした事業をスタートさせました。

同社が目をつけたのは『自然』。住民にとっては「何もない田舎」でしかなかったそれに価値を見出し、都心部や海外の人向けの「自然を満喫する企画」を作って見事、黒字化させたのです。

同社がモデルケースと言われる所以はここにあります。グリーンツーリズムは自治体が主体となって行うケースが少なくなく、利益が度外視されがちです。また「地域を売り込みたい」気持ちが先んじてしまい、観光客側のニーズを汲み取るところまで意識が向いていない場合も多いようです。

グリーンツーリズムは訪日外国人観光客との相性も良いため、観光立国・日本を目指すうえでも、今後の動向が期待されています。

グリーンツーリズムとは、地方のにぎわいづくりに欠かせないもの

野原でジャンプする人々

iStock/Shoko-Shimabukuro

日本では、まちづくりや地域振興の重要性が叫ばれて久しいです。グリーンツーリズムは地域が抱える課題を解消し、にぎわいを増すための大きな手段として期待されています。

都心部から離れた土地に住む人の多くは「こんな田舎に、観光客が喜ぶものなんてない」と考えていますが、成功事例を見てもそれが間違っているのは明らか。少し視点を変え、国内外からの観光客が過ごしやすい仕組みを整えてあげさえすれば、その地域ならではの特色が人を惹きつける魅力となるのです。

グリーンツーリズムは、日本における新しい観光のかたちであるとともに、地方を元気にする重要なトリガーだといえるでしょう。また、グリーンツーリズム以外にもさまざまなテーマを持ったニューツーリズムが注目を集めています。ニューツーリズムについての詳細は、以下の記事をご参照ください。

ニューツーリズムで実現する体験型旅行とは?

エコツーリズムとは?日本の事例や今後の課題も

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