失業手当の受給条件のひとつ「求職活動実績」とは?
失業手当は、離職すれば誰でも受給できるというものではありません。ハローワークが認める「失業状態」に該当し、一定の雇用保険の加入期間が必要です。「ハローワークインターネットサービス」には、失業手当の受給条件について次のように記載されています。
1.ハローワークに来所し、求職の申し込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない「失業の状態」にあること
2.離職の日以前2年間に、「被保険者期間」が通算して12カ月以上あること
ただし、倒産・解雇などにより離職した方(「特定受給資格者」または「特定理由離職者」)については、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6カ月以上ある場合でも可
この条件を満たした上で継続的に「求職活動実績」を証明していかなければ、失業手当を受給できません。
それでは、失業認定日に求職活動実績として認められるのは、どのような活動なのでしょうか。離職理由ごとの必要な実績の回数や、注意ポイントと併せて解説します。
簡単に実績を作る方法も紹介するので、参考にしてください!
また、現在転職中・これから始める方は以下の記事も併せてご参照ください。
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失業認定日のタイミングと必要な求職活動実績の回数は?
失業認定日は、失業手当の受給開始前と受給開始後の4週間ごとに訪れます。失業手当を受給する条件のひとつは「就職しようとする積極的な意思」があることでしたよね。その意思を確認するために、「求職活動実績」を見るのが失業認定日なのです。
失業認定日のタイミングと必要な求職活動実績は、離職の理由によって異なります。
しかし、7日間の待機期間の後、雇用保険受給説明会に参加して初回の失業認定を受けるところまでは同じです。
初回の失業認定日で必要な求職活動実績は1回ですが、雇用保険受給説明会への参加が1回にカウントされるので、この段階では他の活動は必須ではありません。
では、失業認定日のタイミングや、必要となる求職活動実績には、離職の理由によってどのような違いがあるのでしょうか。解説いたします。
会社都合/正当な理由のある自己都合での離職の場合
会社都合や正当な理由のある自己都合での離職の場合は、間もなく失業手当の受給が始まります。
その後は4週間ごとに訪れる失業認定日までに、最低2回の求職活動実績を作って失業認定を受ける、というサイクルを繰り返して失業手当を受給します。
正当な理由のない自己都合による離職の場合
一方、正当な理由のない自己都合による離職の場合は、2カ月間の給付制限期間があります。そのため、2回目の失業認定日は給付制限期間が終わる2カ月後。
2回目の失業認定日で必要な求職活動実績は3回ですが、1回目の失業認定の前に参加している雇用保険受給説明回への参加は、ここでも1回分にカウントされます。
そのため、実質的には2回の求職活動実績を作れば問題ありません。
その後は、会社都合などで離職した場合と同様、4週間ごとの失業認定日までに2回以上の求職活動実績が必要とされます。
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求職活動実績として認められる活動の条件とは
「求職活動」は通常、仕事探しにかかわる全般的な活動を指す言葉ですよね。しかし、ハローワークは求職活動実績として認められる活動と、認められない活動があります。注意事項と併せて見ていきましょう。
求職活動実績として認められるもの
求職活動実績として認められるのは、以下のような活動です。
- ・企業の求人に応募する
- ・ハローワークの窓口で就職相談する
- ・ハローワークや公的機関による就職セミナーなどに参加する
- ・許可や届け出のある民間のセミナーなどに参加する
- ・職業訓練に応募する
- ・資格試験を受ける
民間のセミナーや資格試験を受けた場合は、参加証や受験票といった証明書類の提出が必要です。紛失に注意してくださいね。
実績を作るためだけに求人に応募してすぐに辞退したり、わざと落とされるような履歴書を提出したりすることはやめましょう。企業に迷惑がかかる上に、やり過ぎると「求職活動実績を作るためだけの活動である」と見抜かれて失業認定を受けられなくなる恐れがあります。
なお、再就職手当・就業手当については以下の記事をご参照ください。
失業認定日に求職活動実績が足りなかった場合はどうなる?
失業認定日までに十分な求職活動実績を作れなかった場合、その月は失業手当を受給できません。ただし、1回分の受給資格がなくなるわけではなく、次回以降の失業手当として先送りで受給できるので安心してください。
注意すべき点は失業手当の受給期間が離職日から1年間であること。受給の先送りが続いた状態で離職日から1年を迎えた場合は、受給資格が消滅してしまいます。やはり毎月しっかり実績を作って受給することがベストでしょう。
求職活動実績として認められないもの
「これも求職活動でしょう?」と考えられるものであっても、ハローワークでは実績として認めないものもあります。以下の活動は、求職活動実績回数にはカウントされないので注意してくださいね。
- ・求人情報を閲覧した(ハローワークの端末利用でも閲覧だけでは不可)
- ・就職・転職支援サービスに登録した
- ・知人に仕事の紹介を依頼した
- ・企業に求人の問い合わせをした
応募の下準備や問い合わせなどだけでは、認められないということです。勘違いによって失業認定が受けられない!といったことがないように、しっかり覚えておいてくださいね。
うその求職活動実績を申告するのは絶対にNG!
ハローワークを通さずに企業に応募したり、民間のセミナーに参加したりした場合の求職活動実績は自己申告です。失業認定報告書にどういった求職活動をしたのかを自分で記載することになりますが、適当にうそを書いて失業手当を受給しようなどと考えてはいけません。
うその求職活動実績を申告し、失業手当を受け取ることは不正受給。不正受給が発覚した場合、失業手当を受け取る権利がなくなる上に不正受給した金額の全額返還と、最大で2倍の金額の納付を求められるのです。
返還・納付ができない場合は財産を差し押さえられ、悪質な場合は詐欺罪に問われることもあるので、嘘の申告は絶対にNG。正しい方法で受給しましょう。
なお、以下の記事でも失業手当について詳しく解説しています。併せてご参照ください。
簡単に求職活動実績を作る方法
求職活動の実績を作る方法はいくつかありますが、失業認定日が目前に迫っていたり、他のことで忙しかったりする時は、手軽な方法を選びたいのではないでしょうか。
簡単に求職活動実績を作る方法を見てみましょう。
ハローワークで職業相談する
簡単に求職活動実績を作る方法としてポピュラーな方法は、ハローワークの窓口で就職の相談をするというもの。具体的な就職相談に限らず、自分に合った仕事を探す方法が分からない、職務経歴書をどのようにまとめればいいのか、といった内容でも求職活動実績として認めるハンコを押してもらえます。
ハローワークへ失業認定を受けに行った日に職業相談をすれば1回分のストックができるので、次回の認定日まで余裕を持って動けるでしょう。
就職支援セミナーを受講する
ハローワークで開催されている就職支援セミナーを受講する方法もおすすめです。
ハローワークでは履歴書・職務経歴書の書き方や、特定の業界について内容などを詳しく紹介するセミナーなどを実施しているので、都合が合う日に参加しましょう。
また、人材紹介会社などが開催する就職支援セミナーも、求職活動実績として認められます。
インターネットで求人に応募する
インターネット経由の応募は、履歴書・職務経歴書を郵送するよりも手軽です。求人情報サイトに登録しただけでは求職活動実績になりませんが、応募すればOKなのでぜひ利用しましょう。
ただし先述の通り、面接辞退を繰り返するなど、まったく入社するつもりがない企業へ応募することは避けてください。「話を聞いてみたい」「どんな会社か知りたい」と思える求人情報を選びましょう。
就職・転職フェアに参加する
民間企業が開催する就職・転職フェアへの参加もおすすめです。
また、就職・転職フェアは参加するだけでは求職活動実績として認められません。企業ブースに訪問し、個別に面談することで、1回分の実績にカウントされるということです。
就職・転職フェアへの参加を証明するためには、フェアの受付などで配られる「参加証明書」を提出することが一般的ですが、地域によって取扱いが異なる場合もある模様。
詳細は管轄のハローワークに確認してくださいね。
資格試験を受ける
最後に紹介するのは、資格試験の受験です。就職・転職を目指して資格試験を受けた場合は、「受験」が1回分の求職活動実績として認められます。試験勉強などはカウントされないので注意してくださいね。
資格を取るためには前もって申し込んだり、勉強したりといった準備が必要です。手軽に実績数を稼げる方法とは言えませんが、試験当月は1回分の活動実績が作れるので、この機会にチャレンジしてはいかがでしょうか。
なお、以下の記事では宿泊業界で役立つ資格について解説しています。併せてご参照ください。
失業手当受給中の求職活動におもてなしHRを活用しよう!
ここ最近は、オンラインですぐに応募できる就職・転職サービスが増えています。失業認定日の直前になっても、求職活動実績を作れるのは便利でしょう。
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