ホテル業界は「長時間労働」「人手不足」「休みづらい」といった声が多く、「ブラックな業界」というイメージを持っている人も少なくありません。
しかし、すべてのホテルが過酷な環境というわけではなく、働きやすさに力を入れている職場も増えてきています。とはいえ、求人を見るだけでは「ブラックなのかどうか」の判断がつかず、不安を抱えながら転職活動をしている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、ホテル業界がブラックと思われやすい背景や、実際の働き方の差、ホワイトな職場の見極め方などをわかりやすく解説していきます。
ホテル業界はブラックな面もあるが、すべてがそうではない
ホテル業界は「ブラック」というイメージを持たれやすい業界です。確かに厳しい環境もありますが、すべてのホテルがそうとは限りません。
まずは、なぜそう思われやすいのか、そして実態はどうなのかを見ていきましょう。
ホテル業界がブラックと言われやすいのは、働き方が特殊だから
ホテル業界は、ほかの業種と比べても働き方が特殊と言われることが多く、それがブラックというイメージにつながることも少なくありません。
シフト制で早朝出勤や深夜の夜勤があったり、土日や祝日も出勤が当たり前だったりと、一般的な生活リズムとずれやすい勤務形態が背景にあります。
さらに、年中無休のホテルでは長期連休を取りづらかったり、繁忙期には業務量が集中したりすることもあるため、体力的にも精神的にも負担を感じやすい職場環境になりがちです。
接客の現場では、お客様からのクレーム対応など緊張を伴う場面も多く、知らず知らずのうちにストレスが蓄積してしまうケースもあります。
こうした事情が積み重なり、「ホテル業界=ブラック」という印象が根強く残ってしまっているのです。
すべてのホテルがブラックではないのは、企業ごとに働き方が違うから
ホテル業界すべてがブラックであるというわけではありません。実際には、企業ごとに経営スタイルや労働環境には大きな違いがあり、働きやすさに差が出るのが実情です。
たとえば、大手チェーン系や外資系ホテルでは、労働時間や残業管理に厳しく、有給休暇の取得推奨や産休・育休制度の整備など、働き方改革を積極的に進めているところも多くなっています。
一方で、古くからの個人経営のホテルなどでは、スタッフの裁量が広いぶん、柔軟に働ける職場も存在します。
つまり、一部の例だけで「ホテル業界=ブラック」と決めつけてしまうのは少し極端かもしれません。
重要なのは、自分に合った環境を選ぶ目を持つこと。ホテルごとの方針や文化を見極めれば、今よりもずっと働きやすい職場と出会える可能性があります。
働きやすいホテルを紹介してもらうホテル業界にやりがいを感じて働き続けている人もいる
「ホテル業界はきつい」という声がある一方で、やりがいを感じながら長く働いている人も少なくありません。
たとえば、フロントから予約、客室案内など、幅広い業務を通して総合的なスキルが身につくことにやりがいを見出す人もいれば、語学力やホスピタリティを活かせるから自分に合っていると前向きに働く人もいます。
つまり、環境や職場の方針次第では、ホテル業界でもやりがいを持って働き続けられるケースは十分にあるということです。
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ブラックなホテルにありがちな働き方や職場環境
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「ホテル業界=ブラック」という印象が生まれる背景には、実際に労働環境が厳しい職場が存在することも関係しています。ここでは、ブラックな傾向のあるホテルに共通する、働き方や職場の特徴を紹介します。
長時間労働や休みづらさが当たり前になっている
繁忙期には毎日のように残業が発生したり、シフトが詰まりすぎて休みの希望が通らなかったり。
こうした状態が慢性化している職場では、「忙しいのが当たり前」という空気が根強く残っていることもあります。
労働時間の管理がされておらず、サービス残業や持ち帰り仕事が暗黙の了解になっているホテルも少なくありません。
人が辞めやすく、残ったスタッフに負担が偏っている
離職率の高い職場では、人手不足が常態化しやすく、そのしわ寄せが今いるスタッフに及んでしまいます。
結果として、1人あたりの担当業務が膨れ上がり、物理的にも精神的にも余裕を失いやすくなります。
新しく入った人が続かないために「教育してもすぐ辞めてしまう」といった悪循環が生まれ、ますます現場が疲弊してしまうのです。
パワハラや精神論が職場に根強く残っている
「昔からこうだから」「甘えるな」「やる気が足りない」など、精神論がまかり通っている職場も少なくありません。
上司の立場を利用した叱責やプレッシャーが日常化している場合、働く側は萎縮し、適切な意見や相談もしづらくなります。
こうした職場では、安心して働くための心理的安全性が低く、結果的に人が育たずに辞めていく傾向が強くなりがちです。
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ホテル業界の働きやすさには企業・職種により差がある
ホテル業界には「きつい」「ブラック」という印象がつきまといがちですが、すべてのホテルが同じ環境というわけではありません。ここでは、ホテルタイプ別・職種別の特徴や、働きやすさにつながる要素を解説します。
チェーン系・外資・個人経営…ホテルのタイプで働き方は変わる
同じ「ホテル業界」でも、運営母体によって働きやすさや職場の雰囲気は大きく異なります。
たとえば、大手チェーンホテルはマニュアルや分業体制が整っており、教育制度や福利厚生も充実している傾向があります。
外資系ホテルは、英語を使う機会が多かったり、成果主義でキャリアアップを狙いやすかったりするのが特徴です。
一方、個人経営のホテルは裁量が大きく、幅広い業務を経験できる反面、勤務条件や体制にバラつきがあることも。
このように、ホテルのタイプによって働き方は大きく変わるため、職場選びの際には運営形態もチェックポイントになります。
フロント・清掃・キッチンなど職種によってきつさの種類が違う
ホテルの仕事とひと言にいっても、フロント、清掃、キッチン、予約管理など職種はさまざま。
たとえば、フロントは対人対応が中心で、夜勤やイレギュラー対応も発生しやすい一方、清掃スタッフは早朝から昼過ぎにかけての勤務が多く、接客は最小限という違いがあります。
自分の得意・不得意やライフスタイルに合った職種を選ぶことで、感じるストレスは大きく変わるでしょう。
自分に合う職種を提案してもらう実は増えている!「ホワイトなホテル」の3つの共通点
近年では「ホワイト企業」と呼べるホテルも増えてきています。そうした職場には、共通する特徴があります。
- サービス残業なし・シフトも事前調整可など労働時間の管理が徹底されている
- 有給取得推進・育休復帰支援など福利厚生や制度が整っている
- 上司と話しやすい・改善提案が通るなど現場の声が反映される風通しの良さがある
こうした職場では定着率も高く、無理なく長く働き続けているスタッフも少なくありません。
「ホテル業界=ブラック」と決めつけず、こうした職場環境を見極める目を持つことが大切です。
ホテルの探し方を相談する【実践編】ブラック企業を回避する!求人票・面接チェックリスト
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ホテル業界の仕事にはやりがいを感じていても、「次こそは働きやすい職場を選びたい」と考えている方は多いのではないでしょうか。
ここでは、ブラック企業を避けるために求人票や面接でチェックしておきたいポイントを紹介します。
求人票
求人票には、企業の働き方や方針が端的に表れていることがあります。
一見似たような表記でも、細かく見ることでブラックな可能性を見抜けるポイントが隠れている場合も。応募を決める前に、次の点をチェックしてみましょう。
- 週休2日 or 月6日休みなど勤務時間や休日の表記が具体的か
- みなし残業の時間数が明記されているなど残業の扱いについて触れているか
- 産休・育休、資格支援制度、有給取得推奨など福利厚生や制度が充実しているか
- 離職率〇%以下・定着率〇%以上など具体的な言及があるか
- 月給18万~35万など給与条件の幅が広すぎないか
具体的な表現が多く、社員への配慮や制度面の説明がしっかりされている場合は、比較的ホワイトな職場である可能性が高いでしょう。
反対に曖昧な表記が多い場合は、注意を払って面接などで深掘りすることが大切です。
面接
面接は、企業の雰囲気や現場の実態に直接触れられる数少ない機会です。こちらが評価される場であると同時に、応募者が企業を見極める場でもあります。
限られた時間の中で、以下のようなポイントを意識してチェックしてみましょう。
- 面接官が誠実かつ丁寧に対応してくれるか
- 仕事内容や勤務条件が具体的に説明されるか
- 労働時間・休暇取得などの質問に明確に答えてくれるか
- 逆質問にしっかり対応してくれるか
面接中の雰囲気や受け答えは、その職場の人間関係や企業風土を映し出す鏡でもあります。
丁寧に説明してくれるか、こちらの話をしっかり聞いてくれるかといった基本的な姿勢から、その企業がスタッフをどう扱っているかを読み取る意識を持つことが重要です。
働きやすいホテルを紹介してもらうホテル業界がブラックか不安な人から寄せられるよくある質問
ホテル業界での転職を考える中で、多くの人が共通して抱く不安や疑問があります。ここでは、実際によくある質問を紹介します。
本当に「ホワイトなホテル」って存在するんでしょうか?
連勤や夜勤の負担がしんどいのは、どこのホテルも一緒ですか?
「やりがい搾取」って本当にあるんですか?
ブラックじゃないホテルを見つける方法ってありますか?
それでもホテル業界で働き続けるには、どんな選び方をすればいいですか?
ホテル専門の転職サービスを活用するホテル業界はブラックだけじゃない。働きやすい場所を見つけよう
ホテル業界には確かに厳しい環境の職場も存在しますが、一方で、働く人の声に耳を傾け、改善を重ねてきたホワイトな職場も増えてきています。
大切なのは、「ホテル=ブラック」というイメージにとらわれすぎず、自分に合った働き方ができる場所を丁寧に見つけていくことです。
企業の姿勢や制度、現場の雰囲気は求人票や面接を通じて見えてくる部分もありますが、それだけで判断するのは難しいこともあります。
「自分に合ったホテルがわからない」「また失敗したくない」と感じているなら、ホテル業界に詳しい転職のプロに相談してみましょう。
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