後継者を募集したい旅館は多い!
厚生労働省が2014年に発表したデータによると、旅館業全体の経営者は60歳以上が約6割という結果も出ているほど、経営者の高齢化が進んでいます。
また、中小企業基盤整備機構が2017年に行った旅館業の経営実態調査でも、「後継者が決まっていない」と回答した中小規模の旅館・ホテルの経営者は50.6%と、約半数が後継者不足を含めた事業継承に悩みを抱えていました。
経営者の高齢化も相まって、多くの旅館が後継者不足に悩みを抱えているようですが、後継者を募集したいと思っても、募集方法がわからないという経営者の方もいらっしゃることでしょう。
旅館後継者の募集方法を覚えておけば、いざ事業継承を本格的に考え出した時に安心です。具体的な旅館後継者の募集方法をみていきましょう。
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旅館後継者の募集方法
親族や従業員の中で、後継者候補がいる旅館は悩みも少ないはずですが、全く後継者候補が見当たらないという場合は、悩みも大きいものです。中には、後継者の募集方法が全く見当もつかないという経営者の方もいることでしょう。
そんな経営者の方へ向け、6つの旅館後継者の募集方法をご紹介します。
事業引継ぎ支援センターでのマッチング
事業引継ぎ支援センターとは、国が運営する従業員承継・第三者承継の公的相談窓口です。全国の各都道府県ごとにセンターが設置してあり、相談が無料のほか、「後継者人材バンク」という事業主と起業家をマッチングする事業も行っています。
2018年度には、約11,000社が相談をし、設置された2013年からこの期間で累計約37,000件の豊富な相談実績がありますので、後継者不足に悩むホテル・旅館はまず事業引継ぎ支援センターに相談をしてみるのがよいでしょう。
一般社団法人・NPO法人など非営利法人でのマッチング
一般社団法人やNPO法人などの非営利法人に相談をするのも一つの手です。セミナーや会議を行っている法人も多いため、遠く事業継承を検討しているという経営者の方は、非営利法人と繋がりを持っておくのもよいでしょう。
特に、NPO法人であれば、地域活性化のために活動を行うことも多く、優秀な人材のUターン・Iターンを支援するようなイベントを積極的に行っている場合も多いようです。
地域の後継者探しの強い味方となってくれるはずですので、相談してみるのもよいかも知れません。
ホームページでの募集
規模が小さい旅館を中心に、公式ホームページ上で後継者募集がされている様子もちらほら見かけるようになりました。
ホームページ上での後継者募集は、大きな費用をかけずに募集が行えるというメリットがありますが、特に小さな旅館のホームページであれば、該当ページまで辿り着くユーザーが少ないというネックがあります。
しかし、一度掲載をしてしまえば、日本のみならず、世界中どこからでも情報を見つけることができ、掲載費用特段もかからないため、後継者募集を検討している経営者の方は情報を公開しておくのがよいでしょう。
求人サイトでの募集
求人サイトで旅館後継者を募集することも可能です。ただし、事業譲渡のみを目的に求人サイトへ掲載することは不可能ですので、条件として「次期後継者候補」というような形で、求人を掲載する必要があります。
後継者は一朝一夕で育ちません。最低でも3年、多くの企業で5~10年の時間はかかると考えられています。企業への事業譲渡ではなく、個人の後継者を探す場合には、後継者候補の目に触れる機会は6つの募集方法の中で最も多いであろう求人サイトに登録するのもよいでしょう。
移住系・M&Aマッチングサイトでの募集
昨今、「地方創生」や「多極集中」という言葉に注目が集まっています。2015年に国連で採択されたSDGsでも持続可能な経済や街づくりが求められているように、都市の一極集中では今後社会を持続をさせることが難しいという認識が、日本でも広く普及されるようになりました。
そのため、敏感な企業は地方への移住系のサイトや、M&Aのサービスに力を入れるようになり、実際にそのようなサイトを見かける機会も増えてきています。
移住系のサイトで自旅館の記事を公開し後継者を募集するということや、事業を企業に継承をするという道もありますので、覚えておきましょう。
SNSでの募集
「母の店が潰れてしまいそうなので、お近くの方はぜひお越しください!」というように、自身の両親・祖父母のお店をSNSで紹介したことで注目が集まり、客数増・経営難を逃れるという現代らしい経営持続の方法も見られるようになりました。
SNS利用者の大きな共感を呼ぶことができれば、情報が拡散され、後継者候補が直接連絡をくれる、後継者候補の推薦をもらえるということも考えられます。
ただし、SNSで注目を集めるのは至難の業です。意図的に注目を集めるのは不可能に近いと言ってもよいでしょう。「後継者候補を見つけるにはSNSを使えばいいんでしょ?」というような軽い考えは持たず、奇策であることを念頭に置くようにしてくださいね。
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旅館の後継者募集のポイント
6つの後継者募集の方法をご紹介しましたが、旅館ではどのようなことに気を付けて後継者募集を行えばよいのでしょうか。旅館の後継者募集の際に気を付けて欲しいポイントをご紹介します。
費用の有無を確認する
前項でご紹介した「求人サイト」や「移住系サイト」などは、民間企業が運営していることが多いため、掲載するにも費用がかかります。
大きく黒字経営である場合はそこまで深く考える必要はないかも知れませんが、経営がギリギリという状態の旅館である場合、費用負担の有無は大きなポイントでしょう。
相談自体は無料ということが多いため、相談時に総額でどのぐらいの費用が発生するのかを確認しておくのがベターです。
サポートの有無を確認する
「求人サイト」や「移住系サイト」などは基本的には掲載までのサポートを行い、後継者候補が見つかった後は事業主と応募者本人でやり取りを行って事業継承に関する手続きを進める必要があるため、0から100までのサポートは期待しない方が無難でしょう。
近くに相談ができる方がいれば話は別ですが、相談できる相手がいない場合には、後継者募集のために発生する費用と合わせ、どの程度のサポートまでを行ってもらえるのかということを確認するようにしましょう。
自旅館と地域の魅力を発信する
どの募集方法をとることになっても、自旅館の魅力、あわせて地域の魅力を発信することは大切です。表現方法ひとつで魅力的にも、そうでなくも見えてしまいます。架空の旅館を例にみてみましょう。
・観光地〇〇エリアにある温泉旅館。長い歴史を守るために後継者を募集。
・創業100年を超える温泉旅館。伝統工芸〇〇の人気は高く、観光地としても手堅い収益が見込めるエリアにある。外国人観光客も多い旅館だが、子供が県外企業に就職し、従業員の高齢化も進んだため、世代交代のため後継者を募集中。
上記はいずれも同じ旅館の紹介文ですが、どちらの旅館が魅力的に見えるかの差は歴然ですよね。
情報を掲載する際には、具体的且つ後継者候補の胸に響くような情報を提供するように心がけましょう。
事業継承から時間を逆算する
事業継承には時間がかかるものです。経営者本人が高齢である場合や、早急に事業譲渡を行いたいと考えている場合は、悠長なことは言ってはいられません。
すぐの事業譲渡なのか、あと5年・10年かけて後継者を探そうと考えているのかなど、未来から時間を逆算し、動いていくことが大切です。
旅館の後継者募集に応募が集まらなかったらどうする?
旅館の後継者募集を行うものの、なかなか応募が集まらないということもあるでしょう。後継者の募集を行っても、応募が集まらない場合はどのような未来が待っているのでしょうか。みていきましょう。
廃業や倒産
後継者不足による廃業も増えてきました。経営が上手くいかなくなってしまった旅館では、倒産という道を選ぶこともあるようです。
もちろん、廃業には「前向きな廃業」もあるようですが、せっかくの事業を畳んでしまうということは、従業員が失業してしまうなど少なからず心的負担はあるものですよね。かと言って、廃業を避け悩みを抱えたまま経営を続けたことで、経営者が倒れてしまっては元も子もありません。
自旅館の状況、または経営者自身の状況を鑑みて、後継者募集を続けるのかどうかを検討してみてください。ホテル・旅館などの宿泊業の廃業に関する下記記事も、参考にしてみてくださいね。
売却・M&A
旅館自体を売却したり、第三者の企業に事業継承を行うという事例も増えています。
売却やM&Aは、どうしても経営が上手くいかなくなった企業の逃げ道のようなマイナスイメージがつきまとってしまうものですが、近年では戦略的に売却やM&Aを行う企業も増えているようです。
売却・M&Aのメリットは、なんといっても従業員の雇用が確保できることでしょう。旅館の廃業コストがかからず、引退後の生活資金を確保できるということもメリットの一つです。
ただし、今までの経営ががらっと変わってしまい、取引先や従業員から手を切られてしまうということも考えられますので、メリットばかりではありません。
売却やM&Aを検討する際は、まず「事業引継ぎ支援センター」で相談をするのがよいでしょう。
後継者不足でお悩みの旅館は「おもてなしHR」で募集しよう!
旅館の後継者不足は、年々深刻化しています。蔓延的な人手不足もあり、事業の存続自体もどうしようかと迷っている旅館もあるでしょう。
しかし、悩み続けていても解決はしません。そんな時は、関係者ではない外部へと相談し、客観的な意見をもらうのがおすすめです。
国の運営する「事業引継ぎ支援センター」での相談はもちろんですが、人手不足から解消をしたいという場合には、「おもてなしHR」へとお気軽にご相談ください。
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