ホテルの利益率とは?利益構造を理解して経営課題を改善する方法を徹底解説

ホテル経営において重要である「利益率」。自社ホテルの売上と費用のバランスを把握しておかないと、利益率が水準を下回り改善策を講じても手遅れになる恐れがあります。それを防ぐためには、ホテルの利益構造を理解して経営課題を洗い出すことです。当記事では、利益構造の算出方法や利益率の向上について紹介します。

ホテル経営において利益率の把握は重要!

ホテルで働く女性

iStock.com/dima_sidelnikov

「最近、空室が増えてきたかも」と、自社のホテル経営に不安を感じている方はいませんか?

近年、無人ホテルや日帰りホテルなど宿泊施設の多様化が進んだことで、「好立地で安く泊まれるのは当たり前」という傾向に変わりつつあります。

単純に宿泊料金を安くするだけでは競合施設に勝つことは難しいので、自社ホテルのマーケティング強化が重要です。

そのためには、まず自社ホテルの売上の仕組みやホテル運営に必要な費用、つまり利益構造を理解しましょう

次の項目より、ホテルの利益構造について詳しく解説します。

円滑なホテル運営をするためにも、ぜひ参考にしてくださいね。

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ホテルの利益構造を見てみよう

天秤にのせられたコイン

iStock.com/sommart

【ベッドが利用された割合と客単価から算出】売上

まず、自社ホテルの売上を把握することから始めましょう。

ルームサービスなどを利用せず、宿泊のみの売上は「定員稼働率×客単価」で算出します。

定員稼働率とは、ホテルのベッド数が実際に利用されている割合を指し、客単価は一人あたりの宿泊料金のことです。

下記に一例を挙げているので、実際にイメージを膨らませてみましょう。

例)
ベッドの定員数が12名、稼働率は50%、宿泊料金が3,500円の場合、ひと月あたりの売上金額を知りたい
12×0.5×3,500×30=63万円

【ホテル運営に必要不可欠】費用

ひと月あたりの売上が分かったら、次はホテル運営に欠かせない費用を調べましょう。

費用の算出方法は、「原価+販売費および一般管理費」です。

以下に原価と販売費、一般管理費の特徴を挙げてみました。

【原価】

  • 施設の取得費用や維持費用のこと
  • 毎月の家賃や光熱費、消耗品、リネンなど

【販売費】

  • 広告宣伝費や販売手数料のこと
  • 販売手数料=予約サイトを利用したときに発生する手数料
  • 広告宣伝費=紙媒体やウェブで宣伝するときの費用

【一般管理費】

  • 従業員の人件費や交通費などのこと

上記のとおり、費用はホテル運営を滞りなく進めるために必要なものばかりだと言えるでしょう。

ただ、閑散期は広告宣伝費を抑えるなど、時期に合わせて調整することも大切ですね。

では、ここでも費用の算出例を参考に計算方法をマスターしましょう。

例)
原価:家賃15万円+光熱費7万円+リネン&消耗品2万円=24万円
販売費:自社ホームページの維持費2万円
一般管理費:人件費15万円
24+17=41万円

【高ければ経営は安定しやすい】利益率

売上と費用を算出できたら、最後に自社ホテルの利益率を把握しましょう。

利益率とは、実際の売上に対し利益がどれくらい出るかを表す割合を指し、利益率の計算式は「利益÷売上×100」です。

利益率が高ければ高いほど、安定したホテル経営をおこなえると言っても過言ではありません。

逆に、利益率が水準を下回っていたら、ホテル経営の改善点を解消できていないと言えます。

算出された利益率をもとに、経営課題を洗い出して改善する努力が必要でしょう。

以下に、先ほど計算した売上と費用をいかして利益率を出してみました。

ここまで紹介した計算式を今後の活動にいかしてくださいね。

例)
利益:売上63万円-費用41万円=22万円
22÷63×100=34.9%
※利益:売上から費用を引いたもの

ホテル&旅館業界の就職・転職についての記事

ホテルの利益率を改善する2つの方法とは?

打ち合わせをしている様子

iStock.com/EmirMemedovski

ここでは、ホテルの利益率を改善する方法を売上・費用別で解説します。

利益の向上に悩んでいる方は、最後まで読んでみてください。

売上を上げる方法

まず、売上を上げる方法を以下に挙げてみました。

  • ベッド数を増やす
  • 稼働率を上げる
  • 宿泊料金の値上げ

ホテルのベッド数を増やすと同時に、シーズンに合わせた限定プランなどを用意して稼働率を上げる方法があります。

さらに、競合施設の販売単価を把握したり、繁忙期に合わせて宿泊料金を値上げしたりなど、相場と時期を意識して価格の見直しをしましょう。

このような取り組みをおこなうことで、必然的に空室が目立たなくなり、利益率の改善につながりますよ。

なお、以下の関連記事ではホテル運営に必要なADRについて解説しています。

さまざまな指標を紹介しているのでご参照ください。

費用を抑える方法

売上を上げるのと同時に、費用を抑える方法も把握しておきましょう。

  • 物件費用(賃料)などを抑える
  • 光熱費の節約
  • 人件費や広告費などを抑える

賃貸物件の場合、毎月賃料が発生するので、可能であれば物件費用が安く立地の良い場所に移転することを検討してみましょう。

加えて、使わない部屋の電気を消したり、館内の温度調節をしたりなど、小さな積み重ねが光熱費の節約につながりますよ。

また、宿泊業界は人材不足として知られるため、できれば人件費はこれ以上削減したくないというのが本音でしょう。

ただ、前述したように無人ホテルの普及で、セルフチェックインなどが注目されています。

必要な機器の導入には初期費用が発生しますが、必要最低限の人件費に抑えることができますよ。

人件費と同時に、広告宣伝費の削減も検討することで効率的に費用を抑えられるでしょう。

なお、以下の関連記事では無人ホテルについて詳しく解説しています。

導入を検討している方は、ご参照ください。

ホテルの利益率を把握して経営課題を見出そう!

ホテルの外観

iStock.com/BrianAJackson

ホテルの利益率は、ホテル経営の課題を見出すのに必要不可欠な項目です。

売上と費用のバランスを意識して、無理のないホテル運営をおこないましょう。

当社「おもてなしHR」は、宿泊業界に特化した転職エージェントサービスです。

ホテル経営に必要な知識を身につけてキャリアアップしたい方、今後転職を視野に入れている方など、転職に関するお悩みがあればぜひご活用ください。

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