ホテルのレベニューマネジメントとは?実施のメリットや注意点を把握しよう

「観光シーズンはホテルの宿泊費が高くなる」といった話題を耳にしたことがあるでしょう。ホテルの宿泊料金は季節や曜日、イベントの有無などによって変動することが一般的。こうした販売手法を「レベニューマネジメント」と呼びます。ホテルにおけるレベニューマネジメントの進め方や実施のメリット、注意点などを見ていきましょう。

目次

    ホテル業界におけるレベニューマネジメントとは

    宿泊費の支払い

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    レベニューマネジメント(Revenue Management)は、「繰り越せない在庫」を持つビジネスにおいて用いられる販売手法です。

     

    1970年代に行われたアメリカ航空業界の規制緩和がきっかけで生まれたもので、航空機の座席と同じように、ホテルの客室も「繰り越せない在庫」であるため、ホテル業界でもレベニューマネジメントが用いられるようになりました。

     

    ホテル業界におけるレベニューマネジメントは、顧客の需要に合わせて宿泊料金を変動させることを指します。ゴールデンウィークや夏休みといった観光シーズンに宿泊料金を高く設定するホテルは多いものですが、それは「料金が高くても宿泊したい」という需要があるため成立するのです。

     

    市場の需要をしっかりとつかみ、ホテル側の収益を拡大する。これがレベニューマネジメントを行う目的といえるでしょう。

     

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    ホテルにおけるレベニューマネジメントの進め方

     

    ホテルで「レベニューマネジメントをしよう」と思ったら、どのように取り組めばよいのでしょうか。適切な進め方を見ていきましょう。

     

    お客様の行動を分析し需要を予測する

     

    お客様の需要をいかに正確に把握・予測できるか。これがレベニューマネジメントの成果を左右します。

     

    例えば、連休中に家族旅行の計画を立てているファミリー世帯と、急に出張が入ったビジネスマンを比較してみましょう。

     

    ファミリー世帯は早めに宿泊日を決められるので、複数のホテルをじっくりと比較し、より条件の良い施設を探す余裕があります。利便性や設備の充実度に大きな差がなければ「早期予約で割引」などの特典のあるホテルを選ぼうとするでしょう。

     

    一方でビジネスマンの場合、ゆっくり選んでいる余裕はありません。「多少高くてもいいから、とにかく泊まるところを確保したい」と考えるはずです。

     

    このように、お客様をタイプ別に分類し、どう在庫(客室)を割り振れば収益を拡大できるかを決めていきます。

     

    需要に応じた料金と予約受入数の設定

     

    ホテル側としては、なるべく早期に予約を入れてもらった方が運営が安定します。前出のファミリー層とビジネスマンの例でいえば、早期予約では正規料金よりも割り引いた料金で予約を受け付け、ファミリー層の獲得を狙います。

     

    しかし、割引料金で客室を埋めてしまっては、宿泊日近くになって予約を取ろうとするビジネスマンを受け入れられません。このビジネスマンにあたるタイプのお客様は、多少料金が高くても泊まってくれるので、収益拡大のためには販売できる客室を残しておくべきでしょう。

     

    レベニューマネジメントでは、それを見越して早期にどれくらいの予約を受け入れるかを判断する必要があります。

     

    実際の収益と予測を比較し、検証する

     

    実際の現場では、予測通りに予約が埋まっていくとは限りません。そこで重要なのは、目標とした収益と結果を比較して、目標達成しなかった場合は原因を分析し、次に活かすことです。

     

    「設定した料金が低すぎたり、高すぎたりしたのではないか?」「キャンセル分を考慮して予約を取っていたか?」など、さまざまな点を検証し、改善していく必要があります。

     

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    ホテルでレベニューマネジメントを行うメリット

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    細かな分析や検証が必要となるレベニューマネジメント。「難しそうだな」と感じるかもしれませんが、適切なレベニューマネジメントを行うことで、ホテルにさまざまなメリットをもたらします。

     

    代表的なメリットの例を見ていきましょう。

     

    収益性の向上が期待できる

     

    季節や曜日、イベントの開催日といった要素から需要を把握し、それに合わせて宿泊料金を設定することで収益性の向上が期待できます。また、需要が低い日には宿泊料金を低く設定し、利用率の向上を促すこともできるでしょう。

     

    レベニューマネジメントによって「需要が高い日に見込まれる利益を逃さない・需要が低い日も可能な限り多くの客室を販売する」という姿勢を保てるのではないでしょうか。

     

    コスト削減に役立つ

     

    レベニューマネジメントは、ホテルの需要を先読みすることで実現できる販売手法です。

     

    需要に応じてスタッフの配置人数や食材の仕入れを調整し、ホテルの運営コストを減らすことにも役立つはずです。

     

    お客様の満足につながる

     

    適切な価格で宿泊を提供したり、必要なスタッフを配置したりすることは、お客様の満足につながる可能性があります。オフシーズンの宿泊料金を低く設定すれば、お客様は「お得感」を感じられるでしょう。また、スタッフの数が十分であれば、お客様の待ち時間を削減できるはずです。

     

    レベニューマネジメントによって削減できたコストを施設の修繕やより質の高い食材の仕入れに使うなど、ホテル全体のサービスレベルを上げてさらなる満足につなげることもできるのではないでしょうか。

     

    ホテルでレベニューマネジメントを行う際の注意点

     

    ホテルでレベニューマネジメントを行う際には、気をつけたいポイントもあります。以下の注意点を押さえておきましょう。

     

    お客様が不公平感を感じやすい

     

    レベニューマネジメントを実施すると、同じ日に宿泊する場合でも予約のタイミングによって客室料金が変わることがあります。具体的には早期割引や直前割引といった割引制度が挙げられます。

     

    こうした割引制度を設けることで、ホテルは収益を上げやすくなりますが、お客様によっては「不公平だ」と感じることもあるでしょう。

     

    不公平感を感じさせないためには、割引の適用条件などを分かりやすく案内することが重要です。

     

    オーバーブッキングが起こりやすい

     

    レベニューマネジメントでは直前にキャンセルが出ることを見越して、多めに予約を受け付けることが一般的。しかし、予想に反してキャンセルが少なく、オーバーブッキング(過剰予約)してしまう場合があります。

     

    この場合は他のホテルを案内する「リロケーション」という対応をすることが一般的ですが、送迎や上のランクのホテルを手配するなどのコストが発生します。そして何より、宿泊を楽しみにしていたお客様をがっかりさせ、信頼を失うことになるでしょう。

     

    しかし、それを恐れてオーバーブッキングの回避を優先すると、高確率で空室が発生します。長期的に見れば機会損失の方が大きくなるかもしれません。

     

    その日、その日の宿泊料金や予約数を適切に調整するだけでなく、後々の影響についても考慮してレベニューマネジメントを行うことが重要なのですね。

     

    ホテルのレベニューマネジメントにはシステムの導入も有効

     

    レベニューマネジメントを成功させるには、お客様の行動や世の中の需要といったことを細かく分析しなければなりません。レベニューマネジメントに苦慮するようであれば、パソコンなどで運用できるレベニューマネジメントシステムを使う方法もあります。

     

    レベニューマネジメントシステムでは、過去の予約情報や市場の動向などから適切な宿泊料金を割り出したり、日付や曜日を指定して客室平均単価などのデータを分析したりといったことができます。また、競合施設の価格を調査する、ホテル周辺のイベント情報を収集するなどの機能がついていることも。

     

    ヒューマンエラーや業務の属人化を防ぐ上でもプラスに働くのではないでしょうか。

     

    ホテル業界で広がるレベニューマネジメント

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    レベニューマネジメントは、顧客の需要を正確に見極めてそれに応じた価格を設定し、販売を制限する手法です。適切に行うことによってホテルの収益を拡大し、顧客満足度の向上も実現できるのではないでしょうか。

     

    レベニューマネジメントはホテルの収益に直結する、市場価値の高いスキルです。身につければキャリアアップや転職にも有利かもしれません。システムを活用する方法もあるので、積極的にスキルの習得をめざしてみてはいかがでしょうか。

     

    なお、ホテル業界への転職は、おもてなしHRにご相談ください。

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