地域おこし企業人とは
「地域おこし企業人」とは、民間企業に所属したまま地域に入って活動できる制度のことをいいます。総務省が、地方圏への人の流れを創出することを目指して、2014年度にスタートさせました。
地方自治体が民間企業などに勤める社員を、半年以上3年以内の期間、継続して受け入れ、地域おこし企業人は、地域独自の魅力や価 値の向上、安心・安全につながる業務に従事します。
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地域おこし企業人と地域おこし協力隊の違い
2009年度から総務省がスタートさせた制度に、「地域おこし協力隊」があります。地域おこし企業人は地域おこし協力隊の企業版のプログラムであるといわれています。
どちらも、人口減少や高齢化の進行への対策として、地域外の人材を受け入れ、地域協力活動を行ってもらうことで、地域力の維持・強化を図っていくことを目的としています。
任期
地域おこし企業人は半年~3年以下、地域おこし協力隊は、1〜3年以下という決まった期間、都市地域から過疎地域等の条件不利地域に住民票を移動し、生活の拠点を移します。
農林漁業の応援、水源保全・監視活動、住民の生活支援 などの各種の地域協力活動を行います。住民の生活支援などの地域協力活動を行うことで、その地域への定住・定着を図る取り組みです。任期終了後もその地域に定住する人もおり、地域活性化への貢献が期待されています。
活動内容
地域おこし協力隊の場合は、自治体の応募に公募に対して個人が応募し、自治体の一員として、自治体の求める地域活動に従事します。地方自治体に対する国の交付金措置として実行されるので地元自治体の負担はありません。
決められた業務をやりながら、改善提案していく「ミッション型」や、地域に必要な物を自分で探しながら活動する「フリーミッション型」といった働き方があります。
ほかに、任期終了後の起業サポートをするといった「起業型」として募集をする自治体もあります。基本的には期限付き公務員として、常勤公務員の下に配属される形式になります。
そのため、公務員的な働きを求められることがあり、地域おこし協力隊は思い通りの活動ができないといった声もあります。制度の設計方法は、自治体に委ねられている部分が多いため、協力隊の活用には地域差がありす。
一方、地域おこし企業人は、勤め先の企業に所属したまま活動します。地域活動に従事するのは、協力隊と同様ですが、自治体の公募に興味を持った企業が自治体と接点を持ち、対話を進めることから活動がスタートします。
自治体と企業が、共に何を成し遂げたいのかを明確にし、具現化する必要があります。地方への企業誘致や拠点誘致とは異なり、自治体と企業の間に新しい共通価値をつくり出すためのパートナーシップが必要になります。
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地域おこし企業人交流プログラム
地域おこし企業人交流プログラムでは、自治体が、民間企業等の社員を一定期間受け入れることで、 地域独自の魅力や価値の向上につなげようと取り組んでいます。
地域おこし企業人交流プログラムとは、以下のようなことをいいます。
「地方公共団体が、三大都市圏に所在する民間企業の社員を一定期間受け入れ、そのノウハウや知見を活かし、地域独自の魅力や価値の向上等につながる業務に従事してもらうプログラム」
(『「地域おこし企業人交流プログラム」の概要』より引用)
地域の課題解決といった自治体のニーズに対して、企業が持つ知識や資源を用いた事業を展開し、協力して地方圏へのひとの流れを創り出していけるような取り組みを行います。
企業、企業人にとっては、社会貢献と地域のニーズの架け橋になることで、人材育成やキャリアアップの効果も期待されます。
地域おこし企業人として働くには?
地域起こし企業人として活動するためには、企業と自治体に対してどのような要件が設けられているのでしょうか。
就労条件
エントリーには年齢制限はありません。三大都市圏(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、岐阜県、愛知県、三重県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県)に本社機能を有する企業に、二年以上勤務していることだけが条件です。
企業人は受入自治体の職員(地方公務員)とはならず、派遣元企業に籍があるまま地方で就労することになります。そのため、基本的な就労条件はそのままです。
期間中の職務内容や就業条件、給与支給、社会保険や年次有給休暇、災害補償などについては、あらかじめ派遣元企業と受入自治体が協議し、協定等を締結して運用しています。地域おこし企業人の中には、地方での活動をしながら企業の会議にも出席を続ける人います。
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活動地域
地域おこし企業人の活動地域は、定住自立圏に取り組む市町村、条件不利地域を有する市町村に限定されています。
特別交付税
自治体が地域おこし企業人交流プログラムに取り組む場合の財政措置として、特別交付税措置が講じられています。
企業人を受け入れた自治体に対しては、受入の期間前に要する経費、受入に要する経費及び企業人が発案、提案した事業に要する経費が算定対象となっています。
地域おこし企業人が未来をつくる
地域おこし企業人は、会社から与えられた仕事を行うのではありません。地方に滞在しながら、会社を通して地域社会、地方創生に何を提供できるのか。自ら 考えて活動する必要があります。
自治体は、都市部にある新しいものやアイデアが入ってくることで、新たな地方創生の一歩を踏み出すことができます。企業は、地域の潜在的資源を活かした新たな事業展開、地域の住民と協力することにより、新たなビジネスモデルを構築が可能です。
企業のノウハウを使って、社会に対して何を成したいのか、どのように貢献していくのか。新しい視点から生まれる、3者の相乗効果があります。地域おこし企業人は、自治体、企業の未来づくりに貢献できる、新しい働き方と言えるのではないでしょうか。