「地方へ移住したら仕事が見つからないかも……」とお悩みの方へ
地方に移住する際、心配なことの1つが「移住先で仕事を見つけられるの?」という点。
たとえ移住によって理想的な生活環境を手に入れたとしても、収入がなければそれを成り立たせることはできませんよね。
確かに、首都圏に比べると地方の求人は少ない傾向がありますが、決してゼロではありません。
地元企業への就職、フリーランス、自営業など働き方はさまざまですが、仕事探しにご不安を抱えている方は、行政のサービスを利用してみるといいでしょう。
では、どのような移住支援サービスがあるのか、次の項目から詳しくご紹介していきます。
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地方移住者向けの就労支援サービス:国が行っている移住支援
行政では、地方移住者に向けてさまざまな就労支援サービスを行っています。その支援内容について、まずは国が行っている移住支援からご説明していきましょう。
地域おこし協力隊
国は移住者に対し、「地域おこし協力隊」という取り組みを行っています。なお、地域おこし協力隊の定義は以下の通りです。
地域おこし協力隊は、都市地域から過疎地域等の条件不利地域に移住して、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR等の地域おこし支援や、農林水産業への従事、住民支援などの「地域協力活動」を行いながら、その地域への定住・定着を図る取組です。
つまり、移住者が地域おこし協力隊に所属し、地域に貢献する活動を担うことで、就労と同時に地方への定着を促すという取り組みということ。
活動期間は1年から3年で、総務省からは隊員一人当たりに470万円を上限とした、活動に要する経費が支給されます。
なお、月々の給料は16万6千円をベースとし、地域によってはおよそ20万円ほど支払われることもあるのだとか。
注意が必要なのが、地域おこし協力隊の待遇が地方ごとに異なるという点。入隊を検討している方は、給料や副業に関する取り決めなどについて事前に調べておきましょう。
データ参照:総務省|地域力の創造・地方の再生|地域おこし協力隊
起業支援金
起業支援金とは、都道府県が地域の課題解決へと繋がる社会的事業を起業する方に対し、交付金を支給する事業です。
起業のための伴走支援と事業費への助成を通じて効果的な起業を促進し、地方創生を実現することを目的としています。
事業分野は幅広く想定されており、
・子育て支援
・地域産品を活用する飲食店
・買い物弱者支援
・まちづくり推進
など、地域の課題に応じた事業の起業が対象となります。
都道府県が選定した執行団体が、計画の審査や事業立ち上げへの支援を行うとともに、起業に必要な経費の2分の1に相当する額を交付します。
なお、地方へ移住して社会的事業を起業した場合には、移住支援金と起業支援金の両方が受けられるケースがあるようです。
金額は最大200万円支給されますので、地方での起業をお考えの方は、ご自身が対象になっていないかチェックをしておきましょう。
データ参照:起業支援金・移住支援金 – 地方創生
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地方移住者向けの就労支援サービス:各自治体が行っている移住支援
各自治体でも、地方移住者に向けて就労支援サービスが行われています。いくつかの例をご紹介していきましょう。
北海道U・Iターンサポートデスク/北海道
道内の求人企業及び道外在住のU・Iターン就職希望者に対し、求人・求職情報を提供しています。
就職の相談だけでなく、 U・Iターン求人情報の閲覧や、面接したい企業への応募など、幅広い支援を受けることができますよ。
データ参照:北海道で働こう|北海道への移住・定住を応援 北海道で暮らそう!
漁業就業者確保育成対策事業/長崎県雲仙市
新規に漁業就業を希望する45歳未満の新規漁業研修者に対し、月額最大15万円を支援しています。給付期間は最長3年間です。
データ参照:【雲仙市で漁業を始めませんか!】 – 雲仙市
UIターン支援奨励金/群馬県館林市
若者の就職・定住を支援する目的で、事業者と労働者に奨励金を支給しています。支給金額は以下の通りです。
・新規学卒者で市外から市内に転入した場合……15万円
・新規学卒者で市内に住民登録がある場合……5万円
・新規学卒者以外で市外から市内に転入した場合……5万円
支給対象者の条件など、館林市のWEBサイトに詳しい情報の記載があります。
データ参照:UIターン支援奨励金|館林市
地方に移住をして仕事をするメリット
地方へ移住して仕事をすることには、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。まずはメリットから見ていきましょう。
地方ならでは働き方ができる
首都圏でないと難しい仕事がある一方で、地方には地方ならではの仕事があります。その代表格が、農業や漁業などの一次産業でしょう。
企業に所属するのではなく、自然を相手にした仕事に携わりたいと思っている人にとって、地方への移住はまさにうってつけです。
加えて、企業に所属しながら農業も営む「兼業農家」など、地方での働き方は多様化が進みつつありますよ。
また、カフェやベーカリー、ペンションなど、地方移住をきっかけに開業し、個人事業主になるケースも多いようです。
もちろん、企業に就職するという選択肢もありますが、地方の特性を利用した仕事を始めることを検討してみるのもいいかもしれませんね。
満員電車に乗らなくていいので通勤が楽
首都圏の企業に務める上で、満員電車を避けることはかなり難しいでしょう。しかし、地方ならば首都圏レベルの乗車率になることはほぼ無いため、通勤が格段に楽になります。
毎日必ず座れるとは限りませんが、押し合いへし合いで出勤前に疲弊するレベルの混み具合にはなりませんので、通勤ラッシュにうんざりしている方におすすめです。
国や自治体の支援制度を受けられる
先ほどご紹介したように、地方へ移住して就労する際には、さまざまな支援制度を受けることができます。
慣れない地で心細さを感じるかもしれませんが、行政からの手助けを受けることで、不安を解消できるかもしれませんよ。
自治体によって支援内容は異なりますので、移住先を検討する時点で調べておくといいでしょう。
地方に移住をして仕事をするデメリット
続いて、地方に移住をして仕事をするデメリットをご説明します。メリットと比較し、移住をすべきか否かの判断材料にしましょう。
首都圏に比べると求人数が少ない
地方で企業勤めをしようとすると、就労の幅は首都圏に比べてかなり狭まります。業種によっては、地方で仕事することが難しいケースも考えられるでしょう。
どうしてもやりたい仕事がある方は、それが地方でも実現可能なのかを、移住に踏み切る前に十分調査しておく必要がありますよ。
収入が減るケースが多い
地方は首都圏よりも物価が安いですが、多くの場合収入もダウンしてしまうことが考えられます。
また、地域によっては車の所持が必須となるため、想定よりも生活費の削減がうまくいかない場合もあるでしょう。
「絶対に収入額を落としたくない!」という方は、まず地方へ移住しても収入が落ち込まない方法を模索し、難しいようなら移住について再度検討し直した方がよさそうです。
地方ならではの空気感に馴染めない人も
良くも悪くも、地方での人間関係には「近さ」があります。首都圏から移住してきた人の中には、その独特の近さが肌に合わず、ストレスを抱えてしまうケースもあるのだそう。
人とのコミュニケーションに苦痛を感じない方なら、あまり心配することはありません。
しかし、少し言葉を交わすだけでドッと気疲れしてしまう、人の目が気になって仕方がないというタイプの方は、地方の空気感に馴染めない恐れがあるので注意しましょう。
理想の働き方と地方移住が合致しているか考えよう
自身の理想とする働き方と、地方移住の相性が良ければ、移住が成功する可能性は高まります。
移住先の環境やご自身の性格、自治体の支援など、さまざまな点に考慮しながら、移住について検討しなければなりません。
情報を十分に収集・精査することが、良い結果を導くためには必要不可欠ではないでしょうか。