旅行会社からの報酬を受けて、旅行者の交通手段や宿泊先などを手配する旅行サービス手配業には、旅行サービス手配業務取扱管理者の資格を持つ従業員の配置が必要です。
2018年に新設された制度ですが、どのような背景があったのでしょうか。旅行サービス手配業務取扱管理者の資格を取得する方法や、難易度・合格率と併せて解説します。
旅行サービス手配業に必要な資格「旅行サービス手配業務取扱管理者」
旅行における交通機関や宿泊先、通訳案内士やお土産品の購入などを手配する、ランドオペレーターと呼ばれる業務を行う事業者は「旅行サービス手配業」として各都道府県への登録が必要です。
登録するためには、ひとつの営業所につき1名、従業員が10名以上いる場合には複数名の「旅行サービス手配業務取扱管理者」の資格保持者を配置しなければなりません。

宿泊業界に詳しいアドバイザーが、あなたに合う職場をいっしょにお探しします。
宿泊業界での職務経験はありますか?
旅行サービス手配業の登録が必要になった背景

BullRun – stock.adobe.com
かつてランドオペレーターは、登録不要で事業を営むことができました。
誰もが参入できる旅行関連の事業でしたが、その自由さが裏目に出て、悪質な業者によるトラブルが社会問題化していました。
具体的には、外国人観光客を高額キックバックのために特定の免税店に連れ回したり、車内で健康食品の効果を誇大に宣伝して購入させたりするなど、公正とはいえない手法が横行していたのです。
さらに2016年1月には、下限割れ運賃で運行を受託したスキーバスが事故を起こし、多くの犠牲者が出る悲惨な事態が発生。
この事故を契機に、旅行業法が改正され、2018年に「旅行サービス手配業」の登録制度が新設されました。
この制度により、禁止行為が明確化され、違反した場合は処分・罰則が科せられるようになったため、ランドオペレーターは適切で公正かつ安全なツアーを手配する責任を負うことになりました。
また、登録なしで業務を行うことは旅行業法違反となります。
ホテル&旅館業界の就職・転職についての記事
旅行サービス手配業務取扱管理者の資格を取得するには?
Trickster / stock.adobe.com
旅行サービス手配業務取扱管理者の資格は、取得が難しいものではありません。まず2日間の講習を受講し、その後に行われる修了試験に合格すれば取得可能です。
修了試験の難易度はそれほど高くなく、講習内容をきちんと理解していれば合格できます。受験窓口はいくつかありますが、合格率はどこも90%以上で、まじめに取り組めば落ちることはほとんどありません。
なお、ランドオペレーターの業務は、国内旅行業務取扱管理者や総合旅行業務取扱管理者の資格でも可能です。
ただし、これらは旅行商品の販売に関する国家資格であり、取得の難易度は高めです。そのため、ランドオペレーターとして働きたい場合は、旅行サービス手配業務取扱管理者の資格の方が現実的で適切といえます。
講習や修了試験は、日本旅行業協会で年に数回開催されるほか、申込みに応じて随時受講できるスクールもあります。
出典:旅行業法概要/観光庁旅行サービス手配業務取扱管理者の資格は信頼の証
これまで自由にできたランドオペレーター業務に、資格・登録が必要になったことで窮屈さを感じる人もいるかもしれません。
しかし、旅行サービス手配業の登録を行うことは、やましいことのない経営をしている証拠。不透明だった部分が明確になり、お客様からの信頼度が高まれば、旅行業界全体が発展していくことが期待できます。
また、資格取得後の旅行サービス業への登録には営業保証金などの旅行業登録に必要なお金は掛かりません。かんたんな資格と少ない資金で、誰もが観光・旅行の業界に参入できるのです。
興味のある方はまず、資格だけでも取得してみてはいかがでしょうか。
資格を活かせる仕事を探す記事を読み終えた方へ
\1秒アンケートにご協力ください/















Facebookでシェア
X(Twitter)で投稿







































































































































