観光DXの推進によるメリット・デメリットとは?
DX(デジタルトランスフォーメーション)は、デジタル技術を使って社会の在り方を変える取り組みのことを指す言葉。観光業でもすでに取り入れられています。
例えばホテルのチェックインについて考えてみましょう。従来、チェックインはフロントスタッフが対面で案内するものでした。宿泊者名簿への記入や、ルームキーの受け渡しも直接行われていましたよね。
しかし最近では「人によるサービス」を重んじる高級ホテルを除けば、自動チェックイン機でのチェックインが当たり前になっています。ルームキーもカード式で、自動チェックイン機から発行されることがほとんどではないでしょうか。
こうしたDX化は、さまざまなメリットをもたらします。そしてその一方でデメリットとなる要素があることも、理解しなければなりません。観光業におけるDX化推進のメリットとデメリットを、詳しく見ていきましょう。
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観光DXがもたらすメリット4選
観光DXの推進によるメリットとして、代表的な例を紹介します。
人件費を削減できる
観光DXの推進は、人件費の削減に有効です。観光業において、人件費は特に重い負担です。機械やロボット、AIに仕事を任せられる部分は任せることで、運営コストを大幅にカットできるかもしれません。
LCC(格安航空会社)などでは、搭乗券の販売をオンラインのみするなどの工夫で人件費を削減し、驚くほど安い値段で空の旅を提供しています。人件費の削減は、低価格のサービスを実現することにもつながるでしょう。
また、労働人口が減少している今、少人数での運営を実現できるかどうかは死活問題かもしれません。人件費をカットできるという点だけでなく、少ない人数で現場を回せるようになる点もDX化のメリットです。
ミスやトラブルを防げる
観光施設やコンサートなどの入場券は、電子チケットが主流になりつつあります。紙のチケットに比べて紛失などのトラブルは少ないでしょう。
また、人による対応にありがちなミスを防げることも、観光DXが持つ利点のひとつ。例えば電話予約の場合、言い間違い・聞き間違いといったことが起こるおそれがあります。
一方、オンライン予約であれば正確な情報を共有できるため、予約間違いによるトラブルや訂正のための手間を防げます。お客様にとっても施設側にとってもスムーズに利用できることは、大きなメリットではないでしょうか。
スタッフが仕事に集中できる
業務をDX化することによって、スタッフは自分の仕事に集中できます。
例えばホテルスタッフは、お客様から「周辺観光施設を教えてほしい」「英語で案内してほしい」といったリクエストを受けることが多いもの。作業を中断して対応しなければならないこともあるでしょう。
しかし、デジタルサイネージや自動翻訳機といったDX機器を導入すれば、お客様はスタッフに声を掛けなくても知りたい情報を得られるのではないでしょうか。
また、人によるサービスが必要な場面においても、DX機器を用いることで雑務の負担を減らし、その分サービスの質を高めることができます。「機械任せにする」のではなく「メリハリをつけて活用する」ことがDX化成功の鍵と言えるでしょう。
新しい体験を提供できる
AIやロボットによる案内や、人感センサーで混雑状況を把握できるシステムなどは、お客様にとって新しい体験です。DXは単なるツールではなく、一種のエンターテイメントになり得るのではないでしょうか。
また、DXを活用したサービス・施設はポストコロナの「新しい観光」と親和性が高い点もポイントです。人同士の接触を最小限に留め、安心・安全の旅を提供することにも役立つでしょう。
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観光DXにおけるデメリット3選
観光業に多くのメリットをもたらすDX化ですが、無視できないデメリットもあります。代表的なデメリットの例を見ていきましょう。
導入コスト・手間がかかる
運用が始まれば大きな助けになるDXですが、導入にはコストや手間がかかります。導入するシステムを選ぶ、エンジニアに来てもらうといった対応が必要な他、機材の購入やレンタルに多額の予算を使うケースもあるでしょう。
しかし、DX化の推進には公的な補助金を活用できる場合があります。上手に活用し、無理なく導入を進めてくださいね。
停電・機械のトラブルに弱い
DX機器は、電気がなければ動きません。また、サーバーなどのトラブルによって正常に動作しなくなるリスクもあるでしょう。DX化を推進するのであれば、停電やトラブルが起きても、スムーズに対応できるように備えなければなりません。
例えば自動チェックイン機が突然動かなくなったとしても、スタッフの対応によって滞りなく手続きを進められるように、日頃からオペレーションを周知しておくことが重要です。
デジタルに苦手意識を持つ人もいる
テクノロジーが身近な存在になった現代でも、デジタルに苦手意識を持つ人は少なくありません。
「機械」というだけで「自分には使いこなせない」と感じ、触ってみようとすらしない人もいるでしょう。また、スタッフが直接対応しない事に対して「冷たい」「不親切」と感じ、不満につながることも考えられます。
その一方で、猫の姿を模した配膳ロボットは「かわいい」という理由で人気があり、頭をなでたりする人もいるそう。お客様が「触れてみたい」と思えるように工夫すれば、敬遠している層にも受け入れてもらえるかもしれません。
観光DXを上手に取り入れよう!
観光DXを上手に取り入れれば、人件費を削減できたり、スムーズにサービスを提供できたりといったメリットがもたらされます。しかし、デメリットについてもよく理解し、カバーするための工夫を施すことが必要。今回の記事を参考に、適切な観光DXを実現してくださいね!
なお、ホテル・旅館の仕事を探す際にはおもてなしHRが力になります。