VFR観光とは
VFR観光は、友人や親族を訪問することを目的とした旅行を指す言葉です。
VFRは「Visiting friends and relatives」の略で、インバウンド用語として使われています。
インバウンドは、観光や仕事を目的に来日する人が多いと思われがちですが、友人や家族に会うために日本を訪れることも少なくありません。
これまでVFR観光は、一般的な観光として扱われていたことも多く、ニーズが見逃されていたとも言われています。
最近になって、友人や親族に会うという目的が含まれている旅行であると定義されたことにより、インバウンドの観光として注目を集めるようになりました。
新型コロナウィルスの影響によって低迷した、インバウンド需要の新たなカギになると考えられており、その貢献度にも期待が高まっています。
宿泊業界に詳しいアドバイザーが、あなたに合う職場をいっしょにお探しします。
宿泊業界での職務経験はありますか?
VFR観光の特徴
VFR観光の大きな特徴は、友人や親族に会うことが旅行の主たる目的であることです。
目的地は有名観光地ではなく、友人や親族が暮らす土地。そのため、観光地から外れた地域への訪問や、同じ土地でじっくりと時間を過ごす傾向があるのも、VFR観光ならではです。
遠方で暮らす友人に会う際に、最も大切にしたいのは「共に過ごす時間」ではないでしょうか。
VFR観光で日本を訪れるインバウンドも、同様の思いを持っています。
限られた時間を有効に使いたいという気持ちが強いことや、友人や親族の暮らしを知りたいという気持ちもあるため、一緒に充実した時間を過ごそうと努めます。
複数の観光地を巡ったり、大量に買い物をしたりする、一般的なインバウンド観光のイメージとは異なるスタイルの旅行と言えるでしょう。
友人や親族による案内で観光を楽しむため、インターネットやガイドブックにはない旅行体験ができるのも、VFR観光の特徴です。
ホテル&旅館業界の就職・転職についての記事
VFR観光のメリット
VFR観光が注目されるのは、国内にさまざまな効果をもたらすと考えられているからです。VFR観光のメリットについて見てみましょう。
消費額が大きい
VFR観光と一般的な観光の大きな違いは、日本にいる友人や親族がホストとなり、インバウンドをもてなすところにあります。
以前は、VFR観光はホストの自宅に宿泊することが多く、宿泊施設や飲食店の利用が少ないため、消費額が少ないと言われることがありました。
しかし実際は、ホストとなる友人や親族が、インバウンドをもてなそうと歓迎の準備をしたり、近隣での旅行を計画したりするため、経済効果があると考えられています。
また、国内での買い物や観光にはホストが共に行動するため、インバウンドとホスト、両者からの消費が見込めます。そのため、VFR観光による消費は大きいと言えるのです。
リピーターが獲得できる
宿泊に関する費用負担が少ないことや、言語や文化に対するハードルが低くなるため、海外旅行の地として友人・親族がいる国は選ばれやすくなります。
ホストが国内に滞在している限り、繰り返し来日する機会があったり、季節に左右されることがなかったりするため、VFR観光はリピーターが獲得しやすいと言われています。
日本の文化に触れたいというインバウンドは多いものの、時間や移動に制限のあるツアー旅行では充足できないことがあります。
VFR観光は主体的な行動が取りやすく、思い思いの時間が過ごせるため、日本への関心をさらに高めることにもつながるはずです。日本のファンになってもらうことは、リピーター獲得には欠かせません。
また、地元住民との交流が生まれたり、友人・親族の知人と遊んだりできるのも、VFR観光の魅力の1つと言えます。
「また会いにくるね!」そういった会話が生まれることで、もう一度訪れたいという気持ちを強くさせることもあるでしょう。
地域再生につながる
VFR観光で注目されているのは、ホスト側の動きも関係しています。期待されているのは、消費についてだけではありません。
遠方から来る友人、久しぶりに会う親族が訪ねて来る。そのような場合、一緒に楽しい時間を過ごしたいという気持ちが湧いてきますよね。
VFR観光では、そういったホスト側の心理による行動にも期待がかけられています。
来日する友人・親族をもてなそうと、普段は外出をしなかったり、旅行する機会がなかったりする人が、出かける理由を作りやすくなるのです。
訪れることのなかった近隣の観光スポットに出向いたり、地元の飲食店で食事をしたり。ホストが地域を知るきっかけになるかもしれません。地域への愛着が増すということもあるでしょう。
また、普段の生活では見逃してしまうような何気ない景色が、インバウンドには魅力的に映ることもあります。新しい観光スポットの発掘につながれば、地域再生への効果も期待できます。
VFR観光誘致への取り組み
注目度は高まっているものの、国内のVFR観光誘致に対する目立った取り組みは見られません。
新たな市場と考えられているため、市場を拡大させる可能性は大いにあります。
VFR観光の増加の足がかりとして注目されているのは、外国人労働者の存在です。
国内の外国人労働者の数は増加傾向にあります。彼らに対してVFR観光をプロモーションすることで、VFR観光誘致につながるのではないかと考えられているのです。
VFR観光の割合が大きい国では、親族を自国に呼ぶための割引として、鉄道料金の割引や施設のサービス券などが用意されていることもあるようです。
こういった、ホストがインバウンドを呼びやすくするための施策は、VFR観光誘致に必要な材料ではないでしょうか。
宿泊施設にできるVFR観光のためのサービスを考えよう!
VFR観光では、滞在のために近隣の宿泊施設を利用することがあります。
地元の魅力を知っている宿泊施設だからこそできる情報発信や、外国人労働者の協力を得ながら情報発信するなど、VFR観光誘致への取り組みはすぐにでも取りかかれます。
外国人労働者や留学生が多い地域では、VFR観客へのサービスを考えてみるのも良いかもしれませんね。