「日本のおもてなし」とはどのようなものなのか
海外に日本をアピールするために「おもてなし」という言葉が使われたことを記憶している方は、多いのではないでしょうか。
おもてなしは、相手の感動につながる気遣いのことを表す言葉です。サービスやマナーなどと同様に使われることもありますが、実際にはまったく意味の異なるもの。それぞれの意味は以下のとおりです。
【サービス】
- ・提供する側と受ける側に主従関係がある
- ・対価を受け取ることが多い
【マナー】
- ・相手を不快にさせないための言動
- どのような立場や関係性でも心がけるべきこと
【おもてなし】
- ・提供する側が自発的に行うこと
- ・見返りを期待せず歓迎の心を表すもの
おもてなしが持つ最大の特長は「感動につながる」ということ。相手の想像を上回らなければ感動は生まれません。相手の言葉ではなく心に寄り添い、マニュアル通りではなく思いをくみ取って行動することがおもてなしなのです。
おもてなしを実践しているホテルや旅館などの現場では、常に「どうすればお客様に喜んでもらえるのか」が最優先とされています。
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ホテルや旅館などではなぜ「おもてなし」が重視されるのか
おもてなしは見返りを求めて行うことではありませんが、ホテルや旅館といった接客の現場においてはさまざまな良い効果をもたらすことも事実。おもてなしの必要性について見ていきましょう。
リピーターを獲得するため
より多くのリピーターを獲得することは、ホテルや旅館における課題のひとつ。リピーターの存在は安定経営の鍵ともいえるものです。
お客様は、おもてなしによる感動体験によって「また来たい」「また買いたい」「また食べたい」と思うようになります。おもてなしによって受けた感動が信頼に変わり「また」という気持ちを呼ぶのですね。
新規顧客の獲得のため
「あのホテルのおもてなしが良かった!」「スタッフの対応がすばらしかった!」
そのような話を人から聞いたり、誰かに伝えたりしたことはありませんか?おもてなしが良いという評判は「行ってみたい」と思うきっかけになるものです。
また近年では、旅行情報サイトやSNSなどに訪問先の印象を書き込む人が多く見られます。良い評価の口コミが多ければ、新規顧客を獲得するチャンスは増えるでしょう。
インバウンド客の獲得のため
国内の新規顧客・リピーターだけでなくインバウンド客の獲得も重要です。
インバウンド客は日本のおもてなしについて「公衆トイレがきれい」「電車が時間通りに来る」といった当たり前のことに感動を覚えることがあるのだそう。
ホテルや旅館であれば、当たり前の先を行くおもてなしで、より一層の感動を提供したいところでしょう。相手の国の文化を尊重する姿勢を見せることや、日本の文化を分かりやすく紹介する工夫などが喜ばれるのではないでしょうか。
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ホテルや旅館で実践できるおもてなし例
ホテルや旅館においては、どのようなおもてなしが提供できるのでしょうか。いくつかの例を見ていきましょう。
お客様に合わせた声掛け
お客様を出迎える際に「いらっしゃいませ」と伝えるのは当たり前のことです。
おもてなしを意識する場合には、目の前のお客様に合わせた言葉をかけてみましょう。遠方から訪れたお客様に対しては「遠くからありがとうございます。」夜遅くに訪れたビジネスマンには「遅くまでお疲れ様でした。」
当たり前のあいさつに付け加えたひと言で、お客様に喜んでいただけるかもしれません。
先の予定への配慮
おもてなしは、その時・その場で起きていることに対するものだけではありません。
例えばお客様から「翌日に観光に行く」という予定を聞いているなら、近隣の地図や公共交通機関の時刻表を提供するといったことができるでしょう。地元の人しか知らないお店や名所を教えることも、お客様に喜ばれます。
お客様がより良い時間を過ごせるように、スケジュールに応じたおもてなしを意識してくださいね。
記念日のサプライズ
お客様の中には、記念日を過ごすためにホテルや旅館を訪れる方もいます。記念日らしくケーキやコース料理を予約する場合も少なくありません。
お祝いのメッセージを書いたカードを客室に用意したり、レストランで眺めの良い座席に案内したりといった気遣いは喜んでいただけるものです。
ご要望のサービスにひと手間を加えることで、さらに特別な時間を提供することができるでしょう。
インバウンド客への対応
外国人のお客様へのおもてなしについても考えてみましょう。
例えば、ハラルやヴィーガンに対応しつつ、日本の食文化を体験してもらえる精進料理の提供などは、多くの国の人々に喜んでもらえるかもしれません。また、多言語で作成したマップの提供なども「ようこそ日本へ!」というおもてなしの心が伝わるのではないでしょうか。
非対面でのおもてなし
電話やメール、チャットなど、非対面で対応する際にもおもてなしを意識することは重要です。
例えばホテルの予約を電話で受ける際に電話を切る前に「ご不明な点はございませんか?」と確認し「ご来館を心よりお待ちしております」といった歓迎のあいさつを入れてはいかがでしょうか。
顔が見えない分、親切さを感じさせる対応を意識してくださいね。
おもてなし例を参考に新しい感動を提供しよう!
ホテルや旅館を利用する際、「どんなおもてなしをしてくれるのかな?」と楽しみにしているお客様は少なくありません。
口コミで高評価を得ることや、お客様からほめられるといったことは、あくまでも結果です。打算的な気持ちでは、本当のおもてなしはできないかもしれません。今回の記事を参考に、心からのおもてなしを考えてみてくださいね!
なお、宿泊施設への転職を考えている方は「おもてなしHR」にご相談ください。