会社都合によるシフトカットとは?
シフトを減らすことを意味する「シフトカット」とは、シフトに組まれていた従業員の勤務日数・時間を、「会社都合」で減らすことをいいます。
新型コロナウイルス感染症の流行により、経営コストの調整で急にシフトが減らされるという経験をした方もいるかもしれません。
実際、その影響で収入が激減し生活難に陥っているパート・アルバイトなどの方が急増。ニュースや特集記事で報じられることもありました。
会社都合でシフトを減らされるのには、さまざまな理由があります。著しく売上が低迷している状況を見ると、会社側も大変だということが分かっているからこそ、「シフトを減らされると困る」と言い出せないこともあるでしょう。
だからといって、言われるがままというわけにはいきません。会社都合でシフトカットが行われる場合は、従業員への配慮や相応の補償も必要です。
シフトカットをされたときの対応方法をきちんと身につけ、会社の都合に振り回されないようにしましょう。
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会社都合のシフトカットにはどのようなケースが当てはまる?
具体的にどのようなケースがシフトカットに当たるのでしょうか?事例を踏まえながらチェックしていきましょう。
シフトが直前で削られる
予約のキャンセル状況や当日の売上が悪いことを理由に「今日は出勤しなくていいよ」と急に言い渡されるケースです。一度合意したシフトから直前になって外すのは、シフトカットに当たります。
「来ても暇だろうから」
「従業員数が多すぎるから」
という理由で、直前でシフトカットされたという方もいるかもしれません。
判断が難しいのは、自然災害や天候に備えたシフトカットのケースでしょう。
「台風が近づいているから安全のために休んでもらおう」
「大雨だから客足が遠のくだろう」
そういった理由でシフトカットが行われることも珍しくありません。安全への考慮や善意であっても、シフトカットに該当します。
該当しないのは、勤務場所が被害に遭い、やむを得ず休業をするといった、不可抗力が認められる場合です。
予定よりも早く切り上げさせられる
「今日はもう帰っていいよ」と、当日の客足によってパートやアルバイトを予定よりも早く退勤させることがあります。
早く帰りたがっている従業員にとっては嬉しいことかもしれませんが、突然言い渡されて困る方もいるはずです。
予定時刻まで見込んでいた給与が減ってしまうため、頻繁にあるようでは生活に支障が出てしまいます。
たとえ数時間だとしても、会社の指示による勤務時間の短縮であれば、シフトカットに該当することを理解しておきましょう。
実際にシフトに入れる日数が少ない
雇用契約を結んだときの勤務日数よりも、実際に入れるシフトの日数が少ないという方はいませんか?
雇用契約書のうえでは「週4日勤務」と明記されているのに、働いてみたら思うように働けないと悩む方も多いよう。
このケースでは、繁忙期に向けて採用をしたものの従業員数があふれてしまい、人員を調整するためにシフトカットをおこなっていることが1つの背景として考えられます。
会社都合によるシフトカットには変わりないので、事情があるとは言え、不満があれば見逃さないようにしましょう。
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パート・アルバイトなど会社都合でシフトカットされたら休業手当が支払われる
シフトカットは、安易に行われるべきではありません。しかし、会社の都合によってそうせざるを得ない状況があることも事実。
会社都合によってシフトカットを行う場合は、会社が勝手に決めるのではなく、従業員に理由を説明して理解してもらうことが必要なのです。
さらに、シフトカットをした日については、会社側は平均賃金の60%以上の休業手当を従業員に支払わなければ労働基準法違反に当たります。
- ・労働基準法第26条
第二十六条 使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。
対象は正社員だけでなく、パート・アルバイトについても同様です。
また、1日の労働時間のうち、一部をシフトカットした場合も休業手当の対象です。その場合は、実働労働時間分の給与が平均賃金の60%に満たなければ、その差額分を従業員に支払うことが義務づけられています。
パート・アルバイトなどでシフトを減らされてきた経験を持つ方もいるでしょう。このようなルールがあることを念頭に置き、今後の対応を考えてみてください。
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パート・アルバイトの方へ!会社都合のシフトカットで損をしないために
「会社都合でシフトカットされたのに休業手当がもらえていない」と分かってはいても、ほとんどの方は、人間関係の悪化や争う手間を懸念して諦めてしまうようです。しかし、今後争わなければならない状況になった時のために、対応策を知っておくことは損にはならないでしょう。損をしないための対応策について紹介します。
労働契約書を受け取る
まずは、会社都合でシフトカットされた場合は、パートやアルバイトであっても労働契約書はきちんと受け取るようにしましょう。
労働基準法で、会社が従業員と労働契約を交わすうえで条件を明示した書面を交付することが定められています。
労働契約で勤務日数を定めた場合、労働者はその日数働く義務があり、会社はその環境を整えたうえで労働に対する賃金を払う義務があります。
労働条件などを確認するという意味でも、労働契約書は重要な証拠となりますよ。
シフトについて記録を残す
シフトカットが頻繁に起こっていたり、休業手当が支払われなかったり、自分では対処できないと判断した場合は、労働基準局に相談するのも対応策の1つです。
そのために、日々シフトについて記録をとっておくことも大切です。
- ・どのような理由で休まされたのか
- ・何時まで働いたのか
- ・休憩時間は取ることができたか
記録する場合は、出退勤時刻に加え、シフトカットが証明できるものを細かく書き残しておきましょう。
他に、シフト表や給与明細、求人票の記載内容なども残しておくと、証拠として利用できるはずです。
会社都合のシフトカットで転職をお考えなら「おもてなしHR」
会社都合でシフトカットされた影響で、生活に支障がでたり耐えられなかったりする場合は、思い切って転職も視野に入れましょう。
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