日本経営の三種の神器!終身雇用と年功序列とは?
日本社会では、終身雇用と年功序列を採用している企業が多くあります。近年は、時代の移り変わりによって終身雇用や年功序列の制度について改めて見直す企業も見られるようになりました。
まずは、終身雇用と年功序列がどのような制度なのか、簡単にみていきましょう。
終身雇用とは?
終身雇用は、従業員が定年を迎えるまで正社員として雇用する制度です。特別な解雇理由がなければ定年まで働くことができるので、将来に対する心配事をなくし安心して仕事に励むことができます。
その代わり、社員は忠実に企業へ労働力を提供しなければいけません。
年功序列とは?
年功序列とは、継続して勤務した年数と役職や給与が比例する制度です。つまり、働いた年数が長ければ長いほど、その分昇進したり昇給したりします。
年功序列制度の背景には、「勤続年数や年齢が高い=経験やスキル、知識が豊富である」という考えがあるようです。
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終身雇用・年功序列の考えは古い?
インターネット上の記事やサイトで日本の社会制度について調べていると、「終身雇用・年功序列は古い」という言葉をよく見かけます。
世間では、終身雇用や年功序列についてどのような意見が交わされているのでしょうか?いくつか紹介しますので、企業の制度を再評価する際の参考にしてみてください。
終身雇用・年功序列は古い?
結論から述べると、古いか新しいかという点よりも「必要か不要か」というポイントに焦点が当てられています。時代でみると古い枠に入ってしまうかもしれませんが、古いものが必ずしも悪いということはありません。
「終身雇用と年功序列の特性」や「今後起こりうる環境の変化」を考慮した上で、最善のシステムを考えておくことが大切だといわれてます。
仕組みは1つではなく、いくつか練っておくと煮詰まったときでも迅速に対応できるだろうと考えられているようです。
どのような意見がある?
終身雇用と年功序列の働き方に関して、さまざまな意見が挙げられています。各々まとめましたので、視野を広げるためにも目を通してみてください。
【終身雇用に関する考え】
- ・企業が赤字や倒産する可能性がある限り、将来絶対安心という終身雇用はないため、会社がなくなる前提で働く必要がある。
- ・終身雇用は、能力・経験が劣る若者を支えるものでもあり、若年層の浮浪者が増えることを防いでいる。
- ・失業者の数を抑えるシステムである。
- ・国際競争が激しくなれば古いと言わざるを得ない状況になるが、労働者の確保が必要になれば終身雇用が最新の考えになる時代もくるかもしれない。
【年功序列に関する考え】
- ・結果を求める実力主義になると「失敗したら?」「成果がでなかったら?」と、焦りと不安で本来の実力を発揮できない人が逆に多くなる。年功序列だからこそ、力を発揮できている部分もある。
- ・能力に左右されない仕組みのほうが効率が良いこともあった。年功序列が必ずしも生産性を落とすシステムとは限らない。
- ・中年層の人が全員、若年層の人より実力が高いかと考えるとそうではない。長く勤めているだけで優秀な人よりも給料が高いというのは不合理である。
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終身雇用・年功序列の現状
現代社会では、終身雇用や年功序列が主流というわけではなくなっています。企業だけでなく、労働者もそのような意識を持つ方が徐々に増えているようです。
長く働いてきたという実績に加え、「どのように企業に貢献してきたか」という点が注目されています。
そして、実力が問われる時代になりつつある今、20代や30代の若年層では特に、経験やスキルを磨くため転職をためらわない方も。
コロナ禍によって「企業の安定」や「解雇」というワードに不安を抱く方が増え、その傾向に拍車がかけられた一面もあるでしょう。
しかし、若者の転職意識が高まっている傾向があるのも事実ですが、「終身雇用・年功序列の場で働きたい」と考える方はまだまだ多いようです。
労働者の確保に効果的な終身雇用・年功序列は、社会の移り変わりによって改善されることもあるかもしれません。もしくは、すでに見直しに努めている企業もあるでしょう。
社会は日々、目まぐるしく変わっていきます。順応するためにも、現状を理解する力と共に、変化に対して柔軟に対応する力を身につけていく必要があるでしょう。
終身雇用・年功序列のメリット
ここでは、終身雇用・年功序列のメリットについて紹介します。
長期的な視点で企業成長が見込める
日本企業は、終身雇用を前提として人材採用をしていることが多いです。そのため、研修を設けて新入社員をスキルアップさせたり、将来の管理職候補として育てたり、長期的な視点で企業成長を考えることができます。
成果を出すまでにある程度時間がかかっても問題視されることは少ないので、従業員にとっては安心して働ける環境でしょう。
従業員の企業に対する貢献意欲が高まる
ひとつの企業に長く勤めれば、その分企業に愛着がわくこともあるでしょう。共に働いてきた先輩や後輩のため、長い間お付き合いしている取引先のためを思えば、仕事にも精が出るかもしれません。
勤勉で社会的な繋がりを大切にする日本人にとって、終身雇用や年功序列は、自然と貢献意欲を高めさせる制度なのではないでしょうか?
「企業に貢献したい」という思いにより生産性が向上し、成長を続ける企業もあるようですよ。
収入や雇用が安定している
終身雇用は退職するまでの雇用が保障されます。倒産などに至らない限り、安定した収入と雇用を得ることができるのは安心ですよね。
また、年功序列により収入UPが見込める上、昇進も期待できるので将来的な不安が軽減され、働きやすくない環境に身をおくことができます。
終身雇用・年功序列のデメリット
終身雇用・年功序列のデメリットにはどのようなことが挙げられるのでしょうか?確認してみましょう。
年少者のモチベーションを下げる可能性がある
年功序列が徹底されている企業では、一定の年齢や勤続年数に到達するまでは、どんなに仕事に精を出そうと大幅な昇進や昇給は基本的にありません。
そのため、実力主義・成果主義を主張する若年層の労働意欲が低下してしまうのも無理はないでしょう。
結果として、仕事をそつなくこなすような人材ばかりが残ることにも繋がりかねません。
新しい風を意図的に吹かせることが難しい
年功序列・長期雇用が前提であることから、組織の流動性が少なくなることは避けられません。
新しい従業員を雇うためには、相応の利益の確保が必要であるだけではなく、年功序列であることが原因で退職者が出るまで上の席が空くことがないためです。
時代変化が加速する中、新しい風を意図的に吹かせることが難しいということは、デメリットと言えるでしょう。
年長者の賃金コストが増える
労働者の勤続年数が長くなるだけで賃金が上がっていくという年功序列ですが、少子高齢化が進めば企業が負担する賃金コストは増える一方です。
賃金に見合わない労働者に対しても、高い賃金を支払わなければならないことを負担に思う企業も少なくはないのではないでしょうか?
根強い終身雇用・年功序列。時代の流れに合った制度を導入しよう
企業は、終身雇用や年功序列のメリットを残しつつ、時代に適した経営ができるよう常に考えを巡らせなければいけません。
そのためには、働き方を多様化したり人事評価の制度を見直したりといった取り組みが必要になるでしょう。
ぜひ、社会情勢や自社の労働者に合った経営を目指してくださいね。