ホテルとお酒の素敵な関係
適量のお酒はリラックスに効果的です。お客様の深いくつろぎのために、お酒の提供に力を入れているホテルは少なくありません。お客様は、ホテルでお酒を飲むことにどのような需要を抱いているのでしょうか。
お酒をアピールポイントにしているホテルの取り組み事例や、ホテルに併設されているバーラウンジの使われ方、ホテルでお酒を提供する際の心構えを見ていきましょう。
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お酒を存分に楽しむためのホテル
こだわりのお酒を楽しみながら滞在してもらうことを目的としたホテルでは、どのようなサービスが提供されているのでしょうか。
「お酒を飲むためのホテル」と言われている施設の、サービス内容を紹介します。
ワイナリーの中のホテル
静岡県や青森県など、自然が豊かなエリアにはワイナリーに併設されたホテルが存在しています。広大なブドウ畑を眺めながら楽しむ自家製ワインは格別の味でしょう。
ワインの試飲コーナーや、ワイン酵母を使ったパン、工場見学ツアーなどワインにまつわるサービスも充実。ワインのことをより深く理解したい!というお客様が多く訪れています。
酒造体験ができる宿
長野県には、創業300年を超えた酒蔵で日本酒の仕込みを体験できる宿があります。客室は築100年以上の建物で、実際の蔵人(日本酒造りの職人)が古くから寝泊まりをしていた場所が活用されています。そこに2泊3日で宿泊し、原料のお米を蒸したり、麹の選別や検温などの作業を体験します。
作業内容は、その時その時の微生物の状態によって変動するため、2回・3回とリピートしても、新しい体験ができるでしょう。こだわりの日本酒を提供しているホテル・旅館は多々ありますが、本格的な仕込み体験までできる宿は珍しいですね。
酒蔵をリノベーションしたホテル
もうひとつ、酒蔵を活用したホテルのサービスを紹介します。奈良県には明治元年創業の酒蔵をリノベーションしたホテルがあります。古い時代の面影を残した客室が特長で、日本酒とのマリアージュが素晴らしい創作フレンチ料理が提供されています。
日本酒=和食のイメージに囚われず、まだまだ新しい楽しみ方があるということをお客様に示せる取り組みではないでしょうか。
お酒を楽しむプランがあるホテル
一般的なホテルや旅館でも、飲み放題付きの宿泊プランやディナーにお酒が付くプランを用意していることが多いのではないでしょうか。
また「オールインクルーシブ」といって、一律の料金で飲食やマッサージなど通常であれば別料金が掛かるサービスを利用できるプランもあります。
ホテルに宿泊する日は、帰り道や後片付けの心配が無く心行くまでお酒を楽しむことができますよね。思う存分飲みたい!というお客様には飲み放題やオールインクルーシブが好評です。
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ホテルのバーラウンジにはどんな需要がある?
シティホテルやリゾートホテルには、バーラウンジが併設されていることが一般的。ホテルの立地場所や季節に合わせたオリジナルカクテルなどが提供され、名物メニューになっていることもあります。
そんなホテルのバーラウンジには、街中のバーや一般的な居酒屋とは少々異なった需要があります。お客様の利用目的として多いものを見ていきましょう。
デートでの利用
ホテルのバーラウンジは街中のバーよりも入りやすく、居酒屋よりも静かな雰囲気です。夜景がきれいな上層階にバーラウンジを設けているホテルもあり、ロマンチックなムードでゆったりとお酒を楽しめますよね。
そのため、ホテルのラウンジバーにはデートスポットとしての需要があります。ここぞというデートの前に、ひとりで下見に来て、バーテンダーに恋のキューピッドを頼むお客様も居るようです。
飲み会のつなぎに利用
ホテルのバーラウンジは、居酒屋のように長時間に渡って何杯もお酒を飲むという使い方はあまりされません。一杯の価格が少々高めであることや、長居をしないのが粋とされることから、本格的に飲みたい人は居酒屋をはしごする際のつなぎとして利用します。
「賑やかな居酒屋→ホテルの静かなバーラウンジ→賑やかな居酒屋」という順番で、休憩を挟みながら楽しみたいときに丁度よいのです。
食後の楽しみに利用
バーラウンジには、見た目も美しくデザート感覚で楽しめるお酒がそろっていますよね。
そのため、食後の楽しみとして甘いカクテルを飲みに訪れる人もいます。女子会の締めくくりにもぴったりなのではないでしょうか。
1人でゆっくりするために利用
1人でゆっくりとお酒を楽しみたい人も、ホテルのラウンジバーを利用します。
居酒屋よりも1人で入りやすく、静かに考えごとをする場所や気分転換をする場所として、ホテルのラウンジバーを選ぶのですね。
お酒を提供するホテルに必要な心構え
「なんとも酒は、魔物である」という名言がある通り、お酒は飲み方を一歩間違えれば、事故やトラブルにつながる、油断できない存在です。
提供する側も無責任に飲ませるわけにはいきません。まして、ブランドイメージが命のホテルともなればなおさらのこと。ホテルでお酒を提供するからには、以下の心構えを持ちましょう。
飲酒運転を防ぐ
飲酒運転で責任を問われるのは、飲酒運転をした本人だけではありません。車両の運転をすると知りながら飲酒を勧めた周囲や、酒類の提供者にも重大な責任があるのです。
道路交通法では、酒類の提供者の責任について以下のように定めています。
【第65条第3項目】
何人も、第一項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒をすすめてはならない。
【上記の違反に対する罰則】
- 運転者が酒酔い運転→3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
- 運転者が酒気帯び運転→2年以下の懲役又は30万円以下の罰金
違反すれば、懲役や罰金を科せられるだけでなく、ホテルに対する社会的な信頼を失墜させることになります。酒類を提供する前に車両の運転をしないかどうかの確認を行い、運転代行やタクシーをすぐに呼べるように準備しておくと良いでしょう。
未成年者には飲ませない
飲酒運転と同様に、未成年の飲酒についても酒類の提供者の責任が問われます。特に注意したいのは10代後半のお客様。見た目は成人とそう変わらない場合が多く「成人しているだろう」と思ってお酒を出したら実は未成年だった…というリスクがあります。
成人しているかどうかはっきり分からないと思ったら、必ず年齢確認を実施しましょう。
お客様の飲みすぎに注意
飲みすぎで体調を悪くしたり、転んで怪我をすることの無いように、お客様の様子には十分注意を払ってください。
たとえ飲みすぎが原因であっても、ホテル内での怪我や事故ばホテルの責任を問われる可能性があります。また、他のお客様の服や持ちものを汚すといったことが無いよう、目配り・気配りを忘れずに。
ホテル内でのお客様の怪我については、以下の記事で詳細をご確認ください。
バーテンダーは気配りが大事
ラウンジバーを切り盛りするバーテンダーの仕事は、お酒を作って提供することだけではありません。
デート中のカップルがバーに不慣れな様子があればスマートにおすすめを提案する、1人で来ているお客様には適度に話を振ってみるなどの気配りができてこそ、本物のバーテンダーといえるのではないでしょうか。
ただお酒を飲むだけではなく、ラウンジバーの滞在時間を楽しんで貰うという心構えが必要です。
バーテンダーの仕事についての詳細は以下の記事をご参照ください
バーテンダーの仕事内容とは?やりがい、必要な資格・スキル、キャリアアップについて
酒類の提供は節度を持って
ホテルを訪れるお客様は、ラグジュアリーで落ち着いた雰囲気を楽しみにしています。飲み放題付きのプランなどもありますが、酒類を提供する際は、ホテルのコンセプトや他のお客様への影響を十分に考慮しなければなりません。
こうした心遣いは、お酒を飲んでいるお客様自身に、最後まで楽しい気持ちで飲んでもらうためのことでもあります。お酒を飲むお客様にも飲まないお客様にも、満足していただけるよう、酒類は節度を守って提供しましょう!