今後宿泊業は衰退していくのか?現状・課題・将来性から対応策を考えよう!

相次ぐ倒産報告を受け、宿泊業はこのまま衰退してしまうかも、と不安に感じているホテル・旅館の関係者もいることでしょう。宿泊業の衰退について取り上げられることが増えてきたのはなぜなのでしょうか。また、どのようにすれば現状を打破できるのでしょうか。ホテル・旅館をはじめとした宿泊業界の現状・課題を解説し、衰退させないための対応策をご紹介します。

宿泊業界の衰退を感じる事業者は多い

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近隣の旅館がまたひとつ閉館した…。ここ数年で、このような声を聞くことが増えたと感じるホテル・旅館関係者も多いはずです。

現に、観光庁が2019年1月に発表したデータによれば、宿泊総施設数は全国で82,150施設と、10年前と比較し施設は2,261の減少、増減率は-2.7%となっています。中でも目立つのは、旅館の減少です。

  • 【2008年~2018年の10年間の宿泊施設数の推移】
  • ・全体施設数:84,411→82,150(-2.7%)
  • ・ホテル:9,603→10,402(+8.3%)
  • ・旅館:50,846→38,622(-24.0%)
  • ・簡易宿所:23,050→32,451(+40.8%)
  • ・下宿:912→675(-25.9%)

中小企業を中心に、業界の衰退をひしひしと感じるホテル・旅館も少なくないはずですが、はたして宿泊業界は今後、衰退の一途を辿ることになってしまうでしょうか。

宿泊業界が衰退していると言われる背景・現状から、今後の対応策についてご紹介します。経営のヒントにしてみてください。

参照:観光や宿泊業を取り巻く現状及び課題等について / 観光庁

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なぜ宿泊業は衰退していると囁かれるのか

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宿泊業界は、どのような原因があり「衰退している」と認識されるようになったのでしょうか。主たる3つの背景を改めて確認しておきましょう。

相次ぐ倒産

とある国内大手ホテルグループの業界動向調査によれば、旅館・ホテル・簡易宿所を営む企業はここ10年で、毎年100社弱の倒産があるということが示されています。

他業界と比較した時、倒産件数は特出して大きな数字ではないものの、巨額の先行投資や維持費が必要になるため、1社あたりの倒産額が大きいケースが多く見受けられました。

また、2020年の世界経済を脅かす存在となった新型コロナウイルスの影響は、宿泊業界にも顕著に現れており、2020年上半期時点で既に80件の倒産が報告されているとの発表もあります。このような背景から、衰退を身に染みて感じたという方も多いのではないでしょうか。

後継者不足

中小企業を中心に課題となっているのは、後継者問題でしょう。

中小企業基盤整備機構が2017年に行った経営実態調査では、「後継者が決まっていない」と回答した中小規模のホテル・旅館経営者は50.6%でした。

この数字からもわかる通り、多くのホテル・旅館で経営者の高齢化が進む中、後継者が見つけられないことに頭を抱える経営者も多いようです。後継者不足から廃業を余儀なくされるというケースも多々あることが、より一層衰退のイメージを強めていると考えられます。

参照:中小旅館業の経営実態調査 / 中小機構

国内旅行のニーズの変化

近年、企業内での社員旅行や団体旅行が減少傾向にあります。これは、国内旅行の需要が成熟化したことと、また個人旅行などの少人数旅行にニーズが移り変わったいうことが背景にあると言われています。

加えて、民泊やゲストハウスなど宿泊方法が多様化したことにより、業界内部での競争も激化が続いていることから、1部屋・1名あたりの消費額が少なくなったと感じるホテル・旅館も少なくないはずです。

宿泊客の減少・1名あたりの売上の減少を感じるホテル・旅館であれば、衰退を自分ごととして捉えている方もいることでしょう。

ホテル&旅館業界の就職・転職についての記事

宿泊業界全体では衰退していると断定はできない

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宿泊業界全体の施設数・倒産件数など苦しい現状をご紹介しましたが、「業界全体で衰退しているから宿泊業はもう終わり」と言い切るのは少し強引な考えかもしれません。宿泊業界の将来性について考えを巡らせていきましょう。

売上を伸ばす事業者は存在する

当たり前の話ですが、どんな状況でも右肩上がりで経営を続けるホテル・旅館は実在します。

前述のデータでもご紹介の通り、勢いを伸ばしているのは「簡易宿所」です。多人数で共用をする分、宿泊を安価に提供ができるゲストハウスやカプセルホテルなどは、訪日外国人観光客や若年層を中心に人気を集めています。

また、独自のコンセプトを強みとして持っているグループ企業や、ヒストリーや魅力の露出が上手なホテル・旅館は売上を伸ばしています。魅せ方によって、状況に関わらず売上を伸ばすこともできるのです。

訪日外国人旅行客のニーズは高まる

政府を上げ「観光立国」を目指すこととした昨今の日本は、インバウンド客の継続的な誘致に成功しています。実際に、2006年の観光立国推進基本法の施行前と後では、インバウンド客は約4倍にも膨れ上がりました。

そして、この数字は今後も上がっていくことが予想されています。国内旅行の人数・消費額は極端な動きを見せることは少ないものの、海外からの来訪客はまだまだ上昇の余地があると言えるでしょう。

観光立国とは何か?日本が観光立国を目指す理由や取り組みを解説

宿泊業界の衰退に歯止めをかけるに必要なこととは?

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宿泊業界は、決して暗い未来ばかりが待ち受けている訳ではありません。しかし、思うように集客を伸ばせない、後継者が見つからず先行き不透明というホテル・旅館は不安は衰退を危惧するのも無理はありません。

では、どのようにすれば自社ないし業界全体の衰退に歯止めをかけることができるのでしょうか。明るい未来を切り開くための、5つのポイントをご紹介します。

インバウンド向け対応は最重要

真っ先に対応すべきなのは、訪日外国人の受け入れ体制の整備です。

館内の多言語対応のほか、 ホームページの多言語対応、無料Wi-Fiの設置など、着手できていないものから順に取り組みを進めておけば、いざ外国人のお客様が来館したとしても安心して迎え入れることができます。

国からインバウンド向けの施策に対する補助金・助成金も出ていますので、下記記事も参考にしながら取り組みを進めてみてはいかがでしょうか。

ホテル事業者への補助金や助成金を紹介!

海外の観光客をどうおもてなしすべき?ホテル・旅館が押さえておくべき外国人のおもてなしのポイントを解説!

インターネットでのPRに力を入れる

ひと昔前までは、旅行代理店による宿泊予約が当たり前でしたが、昨今ではOTAと呼ばれる宿泊予約サイトや自社HPからの予約が主流です。

そのため、複数のOTAに露出をしたり、SNS・アプリなどで魅力を発信することは非常に効果的と言えます。未来のお客様との接点を増やすことを意識し、インターネットを最大限に活用するようにしましょう。

独自のコンセプトを打ち出す

たくさんの本が無料で読めるブックホテル、異国文化の雰囲気が味わえるホテル、部屋から釣りができる旅館など、ホテル・旅館によって様々なコンセプトが打ち出されています。

このように、コンセプトが明確かつ独自性が強ければ競合他社との差別化に繋がるため、客数増に期待が持てますが、コンセプトをゼロから変えるのは非現実的だと感じるホテル・旅館も少なからずあるはずです。そんな時は、お客様の負を解消することを考えましょう。

とあるビジネスホテルでは、「生ビールの売り出し」や「洗濯代行サービス」など、独自のサービスを提供し、他社と差別化・リピーター増に繋がったという事例もあります。アイディア次第では、売上を大きく伸ばすことも夢ではありません。

下記記事からも、ぜひ刺激を受け取ってみてくださいね。

面白いコンセプトのホテル10選!行動喚起を促すホテルを作るコツとは?

顧客の囲い込みとは?メリット・施策例・宿泊業の好事例を紹介!

変化に柔軟に対応する

新型コロナウイルスの感染拡大による社会情勢の変化に対し、感染症予防を徹底したうえでテレワークプランを打ち出すホテル・旅館が続々と登場しています。このように、変化に柔軟に対応することができれば、損失を減らせることや、大きなプラスを生むことにも繋がります。

また、年々変化が加速化しているIT分野にも目を向けることを忘れないようにしましょう。IoT、5G、ICTなどの流れについていくことができなければ、競合他社をはじめ、他業界とも差が開いてしまいますので、注意してくだいね。

特に、老舗ホテル・老舗旅館など歴史が長い企業は「これまでのやり方」を突き通したくなるものですが、随所にトレンドを取り入れなければ時代に置いていかれます。その時々のニーズを掴み、経営をグレードアップしていきましょう。

賃金・労働環境の改善

宿泊業界の衰退を止める策を講じてきましたが、これらの策を行うのは従業員です。ただでさえ宿泊業界は「薄給激務」と言われることが多い業界にも関わらず、あれもこれも手を出そうと考えるのは早計と言っても過言ではありません。

従業員の満足度とお客様の満足度は比例する傾向にあります。よって、売上を伸ばすためにも、しっかりと従業員をケアしてあげることが重要です。必要に応じ、賃金や労働環境の改善にも取り組むようにしましょう。

宿泊業の衰退を食い止めるに柔軟な思考を持とう!

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施設数の減少や倒産件数を鑑みれば、宿泊業界が衰退に向かっていると考えてしまうのも無理はありません。しかし、ネガティブに考えていても前に進むことはできませんよね。

宿泊業界は景気や社会情勢に左右されやすい業界ですが、その点はこれまでと何ら変わりありませんのであまり悲観的にならず、できることから取り組みを進めてみてはいかがでしょうか。

「経営を立て直したい」「もっと広い視野を持ち経営を考えたい」というホテル・旅館の経営者がいれば、柔軟な発想ができる若い人材や、後継者募集を視野に動くのが良いかもしれません。その場合はぜひ、当サイト「おもてなしHR」を頼ってください。

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