温泉施設管理者の仕事にいかせる資格を見てみよう
日本の観光資源のメインとも言える温泉施設はインバウンド観光の盛り上げに欠かせないコンテンツです。安心・快適に温泉を楽しんでもらうためには、きちんとした管理が必要不可欠。この記事では、温泉施設の管理に役立つ代表的な資格を紹介します。
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【温泉施設管理者に役立つ資格1】危険物取扱者
危険物取扱者とは、重油などの危険物を取り扱い、保安の監督ができる国家資格です。資格の概要や取得方法などを見ていきましょう。
資格概要
一定数を超える危険物を貯蔵する施設には、危険物取扱者の有資格者を必ず置かなければならないと法律で定められています。宿泊施設や温泉施設では、浴場の湯を沸かすボイラーの燃料として重油などを使うことが多いため、危険物取扱者の資格を持つ人が必要です。
危険物取扱者には大きく分けて甲種、乙種、丙種があり、さらに取り扱う危険物によって細かく分類されています。宿泊業界で実用的な資格は乙種4類と言われており、ボイラー設備などの燃料に使われるガソリン、アルコール類、灯油、軽油、重油、動植物油類などの引火性液体を扱うことができます。
受験資格
危険物取扱者の乙種と丙種は誰でも受験ができます。
甲種を取得するには、乙種の免許取得後2年以上の実務経験を積むことや、大学等において化学に関する学科などを修めて卒業することなどの条件があります。
資格取得方法
危険物取扱者の試験は年間を通じて各都道府県で実施されており、公式ホームページから日程を確認することができます。受験案内や願書は、各都道府県の消防本部などで配布されており、受付期間内に郵送かインターネットで申し込むと、受験票が届きます。
危険物取扱者の試験手数料は甲種が6600円、乙種が4600円、丙種が3700円です。試験後、結果は郵送で届き、公式ホームページからも確認可能です。合格後は免状交付の申請をし、交付を受ける必要があることを覚えておきましょう。
参考:危険物取扱者の資格について/一般社団法人 消防試験研究センター
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【温泉施設管理者に役立つ資格2】入浴施設衛生管理者
入浴施設衛生管理者は、浴場におけるレジオネラ感染症を防止することに役立つ資格です。資格の概要や取得方法などを見ていきましょう。
資格概要
温泉施設において、レジオネラ属菌対策は必要不可欠です。レジオネラ属菌は自然界の淡水や湿った土壌などに生息する細菌です。温泉施設では利用者の体などに付着して入り込むことが考えられ、エアロゾルを吸引すると肺炎などを引き起こすリスクがあります。
入浴施設衛生管理者は、入浴施設の衛生に関する基礎知識や、レジオネラ汚染を解決する手法等についての知識を得るための認定資格です。この資格を取ることで、レジオネラ属菌対策についての正しい知識を身につけられるでしょう。
受験資格
入浴施設衛生管理者は、だれでも受験可能な資格です。主な受験者は入浴施設の管理者や経営者、施設設計業などに携わる方々とのこと。
すでにこうした職業に就いている方も、これから就職・転職を考えている方も受験を検討してみてはいかがでしょうか。
資格取得方法
入浴施設衛生管理者の資格を取るには「特定非営利活動法人 入浴施設衛生管理推進協議会」が実施する講座を受講する必要があります。
講座では、レジオネラ属菌対策の専門家や専門分野の講師・顧問によって作成されたテキストを用いて、入浴施設衛生管理の基礎知識やレジオネラ汚染の具体的な解決策などについて学びます。
修了後、当日中に行われる認定試験を受け、合格すれば入浴施設衛生管理者の資格を得られます。なお、資格の有効期限は取得から3年間なので注意しましょう。
受講料(テキスト代・認定試験代込)は会員価格で12000円、一般価格で17000円です。
参考:入浴施設衛生管理者の資格について/特定非営利活動法人 入浴施設衛生管理推進協議会
【温泉施設管理者に役立つ資格3】二級ボイラー技士
ボイラー技士は、ボイラーの点検・調整を行うための国家資格です。資格にはいくつかの級がありますが、温泉施設で必要とされるのは主に二級です。二級ボイラー技士の概要や取得方法などを見ていきましょう。
資格概要
二級ボイラー技士は、ボイラー技士の中ではもっとも低い級で、一般的な給湯設備や冷暖房器具を扱うための資格です。
具体的には熱伝導面積が25平方メートル未満のボイラーの点検・整備が、二級ボイラー技師の仕事。温泉施設に設置されているボイラーは25平方メートル未満のものが多いため、二級の資格があれば働けることが一般的です。
「湯加減が命」の温泉施設では、ボイラー技士の有資格者が必要不可欠と言えるでしょう。
受験資格
二級ボイラー技士免許試験は、誰でも受験可能です。しかし、試験に合格した後には免許申請の必要があり、免許の交付にいくつかの条件が設けられています。
まず、免許証の交付を受けられるのは18歳以上だということを押さえておきましょう。18歳未満で受験し、合格した場合は18歳の誕生日以降に免許申請する必要があります。
また、4カ月以上の実務経験を積むか、ボイラー実技講習を受けることも必須です。試験に合格しただけでは免許の取得に至らないことを、覚えておいてくださいね。
受験方法
二級ボイラー実技免許試験は、年間を通して全国各地で開催されています。安全衛生技術試験協会のホームページで日程や開催地を確認し、都合に合わせて申し込みましょう。試験手数料は8800円です。
試験対策としては市販のテキストでの勉強も可能ですが、通信講座で学ぶ方法もあります。自分に合った方法で、学習を進めましょう。
なお、二級ボイラー技士については以下の記事でも詳しく解説しています。併せてご一読ください。
参考:二級ボイラー技士について/公益社団法人 安心衛生技術試験協会
温泉施設管理に関する資格をいかせる仕事を見てみよう!
今回紹介した資格は、どのような仕事でいかせるのでしょうか。代表的な例を見てみましょう。
ホテルの施設管理
ホテルの施設管理の業務では、ボイラーの燃料として重油などの危険物を扱うため、危険物取扱者の資格があると採用に有利でしょう。
また、温浴施設の安全・衛生を管理する仕事では、入浴施設衛生管理者や二級ボイラー技師の資格も大いに役立ちます。
旅館の営繕
旅館業では、施設設備の点検や修繕を担当する営繕という職種があります。旅館には、客室などへのお湯の供給や温泉の加温などにつかうボイラー設備があり、営繕はボイラーの点検やメンテナンスを担当します。
温泉は旅館の看板となるため、設備が正常に稼働しているかなどの点検業務は、旅館の経営にも影響する重要な仕事です。そしてもちろん、レジオネラ類菌への対策も必要不可欠。
旅館の規模によっては、営繕の仕事だけでなく施設の清掃や接客を担う場合もあるため、採用の際には業務内容を確認してくださいね!
警備員
宿泊施設の規模にもよりますが、ホテルや旅館には施設やお客様の安全を守る業務を担う警備員を配置しているところもあります。警備員として働く際に危険物取扱者や二級ボイラー技士の資格を持っていれば、警備員としての対応力を高めることができるでしょう。
警備担当が危険物取扱者の資格を取得していれば、施設管理や営繕担当者がいない場合でも、さまざまなシーンで的確に対応できるはずです。
適切な資格を取得して温泉施設の安全を守ろう!
今回紹介した3つの資格は、温泉施設において非常に重要です。裏方として活躍する職種だけでなく、フロントスタッフやベルスタッフといった接客担当者も、取得して損はないでしょう。「職場の安全を守りたい!」「仕事の幅を広げたい!」という方は、ぜひ取得を検討してみてくださいね。
なお、資格をいかす仕事探しには、おもてなしHRが力になります。