転職した方や、これから転職を考える方のなかには、「転職後に確定申告は必要?」「年末調整はしたけど、住民税ってどうなるの?」と感じている方もいるのではないでしょうか。
実は、年末調整だけでは控除しきれない項目はたくさんあり、確定申告をすることで住民税の負担を大幅に減らせる可能性があります。
この記事では、住民税の控除の仕組みや、確定申告で住民税が安くなる具体的なケース、確定申告の手順、転職者向けの確定申告のポイントを分かりやすく解説します。
確定申告は難しそうに聞こえるかもしれませんが、実は払いすぎた税金を取り戻すチャンスでもあります。
この機会に、自分のお金についてきちんと向き合ってみませんか?
住民税は控除で変わる!確定申告で払いすぎた税金を取り戻せる
転職を考える際、「自分で税金の手続きをするのは難しそう」と不安に感じる方もいるのではないでしょうか。
特に、毎月給与明細から引かれる住民税がどのように決まっているか、よく分からないという方も少なくないでしょう。
実は、会社がすべて行ってくれる年末調整だけでは適用されない控除もあるため、住民税は「控除項目」によって大きく変わるのが特徴です。
確定申告は、そうした控除を自分で申請し、払いすぎた税金を取り戻すための大切な手続きです。
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住民税と所得税、確定申告と年末調整の基本をおさらい
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毎月の給料明細を見ると、「所得税」や「住民税」が引かれていますが、これらはどのように計算されているのでしょうか。
まずは、住民税と所得税、確定申告と年末調整の基本から解説していきます。
そもそも住民税とは?主な特徴
「住民税」とは、私たちが住んでいる地域の自治体(都道府県や市区町村)に納める税金です。教育や福祉、ゴミ処理、道路整備、消防などの行政サービスを維持するための重要な財源となります。
そのほか、以下のような特徴があります。
- 「都道府県民税」と「市町村民税」のふたつから成り立っており、これらを合計した金額を納める
- 前年の1月1日から12月31日までの一年間の所得に対して計算され、課税される
- 税額は、所得に応じて計算される「所得割」と、所得にかかわらず一定の金額を負担する「均等割」の合計額
- 納付方法は、会社員の場合、給与から天引き(特別徴収)されるのが一般的で、退職者や個人事業主は自分で納付(普通徴収)する
確定申告と年末調整の違い
確定申告と年末調整は、どちらも所得に対する税金を計算し、納税額を確定する手続きですが、その目的や方法が異なります。
以下に、それぞれの概要をまとめました。
<確定申告>
- 個人が自ら所得や所得控除額を計算し、税務署に申告・納税する手続き
- 年末調整では対応できない控除項目を申告したり、副業など給与所得以外の所得を申告したりする場合に必要
- 控除の種類が豊富
<年末調整>
- 会社が従業員の給与から天引きした所得税の過不足を調整する手続き
- 会社が社員の代わりに税務署に申告するため、書類を提出するだけで済み、手間が少ないのが特徴
- 控除項目は限定的
つまり、年末調整ではカバーできない控除を確定申告で追加申請することで、住民税が安くなる仕組みになっているのです。
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住民税を安くする!確定申告でできる主な控除項目
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年末調整では申告できない控除項目を確定申告することで、住民税の負担を減らせる場合があるとお伝えしましたが、具体的にはどのような控除項目があるのでしょうか。
主な控除項目をピックアップして、紹介します。
1.医療費控除
1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費の合計額が一定額(原則10万円、または所得金額の5%)を超えた場合に適用される控除です。
生計を共にする家族の医療費も合算できます。
2.生命保険料控除・地震保険料控除
生命保険や個人年金保険、地震保険に加入している場合、支払った保険料に応じて控除を受けられます。
年末調整でも申請できますが、申告を忘れてしまった場合は確定申告で対応できます。
3.ふるさと納税などの寄附金控除
国や地方公共団体、特定の団体に寄付をした場合に適用される控除で、ふるさと納税もこの寄附金控除のひとつです。
確定申告をせずにふるさと納税の寄附金控除を受けられる「ワンストップ特例制度」を利用しなかった場合や、確定申告を行う場合は、寄付金控除を申告することで、税金が控除されます。
4.住宅ローン控除
正式名称を「住宅借入金等特別控除」といい、住宅ローンを組んでマイホームを購入した場合に、年末時点のローン残高に応じて控除を受けられる制度です。
初めてこの控除を受ける年は必ず確定申告が必要ですが、二年目以降は年末調整で控除できます。
なお、この控除を受けるためには、住宅の床面積や返済期間、合計所得金額など、一定の要件を満たす必要があるため注意が必要です。
5.その他の控除
上記のほかにも、以下のような控除を確定申告で申請できます。
- 雑損控除:災害や盗難、横領などによって損害を受けた場合に適用される控除
- セルフメディケーション税制:特定の医薬品購入費が年間1万2,000円を超える場合に適用される控除
- iDeCo(イデコ):「個人型確定拠出年金」の愛称で、支払った掛け金全額が所得から差し引かれる年金制度
【知っておこう】確定申告が必要になるケース
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確定申告は、必ずしもすべての人に必要な手続きではありませんが、特定の状況下では確定申告をすることで、払いすぎた税金を取り戻せる可能性があります。
以下のふたつのケースについて、確認していきましょう。
1.年末調整で控除しきれなかった場合
年末調整は給与所得者を対象にした簡易的なものであり、一部の控除項目のなかには対応できないものが多くあります。
たとえば、前述したような医療費控除や生命保険料控除、年末調整に間に合わなかった控除などが該当します。
2.2カ所以上から給与をもらっている場合
2カ所以上から給与の支払いを受けていて、主な給与以外の給与収入と、それ以外の所得(たとえば、副業の所得など)の合計額が20万円を超える場合は、確定申告が必要です。
副業で得た所得を含めて正しく税金を計算することで、納税漏れを防ぐことができます。
【転職者向け】確定申告で失敗しないための3つのポイント
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年の途中で転職や退職をした場合、確定申告が必要になるケースが多く、手続きが複雑で失敗しやすいポイントがいくつかあります。
ここでは、転職者が特に注意すべき3つのポイントを解説します。
1.退職時に必ず「源泉徴収票」をもらう
退職後、前職の会社から必ず「源泉徴収票」を受け取りましょう。
年末調整や確定申告を行う際、前職と現職の給与を合算するために不可欠な書類です。
2.前職と現職の給与を合算して申告する
年末調整は通常、新しい会社が行いますが、その際に前職の源泉徴収票を提出し、前職と現職の給与を合算して正しい税額を計算してもらう必要があります。
もし提出が間に合わなかった場合は、自分で確定申告を行い、両方の源泉徴収票を合算して申告する必要があります。
3.会社が年末調整をしてくれないケースもある
年末のタイミングで退職し、新しい会社に就職していないなど、年末調整が行われなかった場合は、必ず自分で確定申告をする必要があります。
この手続きを怠ると、払いすぎた税金が戻ってこないだけでなく、あとから追徴課税となるリスクもあります。
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おもてなしHRに転職手続きのサポートを依頼する確定申告で住民税を控除する具体的なステップ
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転職した方や転職予定の方が確定申告を行いやすいよう、具体的な手順を3ステップでまとめました。
確定申告を複雑に感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。
1.確定申告に必要な書類をそろえる
確定申告を行うには、以下の書類が必要です。
- 源泉徴収票(複数ある場合はすべて)
- 各種控除証明書(生命保険、地震保険、医療費の領収書など)
- 住宅ローン控除に必要な書類(住宅ローンの年末残高証明書など)
2.確定申告書を作成する
会計ソフトや確定申告ソフトを使用する方法がもっとも一般的のようですが、税務署の窓口で相談しながら作成したり、税理士に依頼したりすることも可能です。
ほかにも、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、画面の案内に沿って必要事項を入力するだけで簡単に作成できます。活用してみてはいかがでしょう。
3.確定申告書を提出する
作成した申告書は、以下のいずれかの方法で提出します。
- 国税電子申告・納税システム(電子申告)
- 郵送
- 税務署の窓口
住民税の控除や確定申告に関するよくある質問
「確定申告や税金の手続きは、分からないことだらけで不安」という方も多いでしょう。ここでは、転職を控えた方が特に気になる質問にお答えします。
住民税の控除はどのように申請したらよいですか?
医療費控除を申請したら住民税も安くなりますか?
確定申告はいつからいつまでに行う必要がありますか?
転職した年に確定申告は必要ですか?
転職者が確定申告をしないとどうなりますか?
確定申告も転職も、プロの力を借りて賢く乗り切ろう
住民税の控除や確定申告など、転職の手続きは複雑に感じられるかもしれませんが、正しく理解して進めれば、決して難しいものではありません。
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