健康保険とは
健康保険は、企業に勤務する人とその家族がケガや病気をしたときに必要な医療費や手当を支給することで、生活の安定と福祉の向上を目的とした制度です。健康保険の仕組み、健康保険組合の役割についてご紹介します。
健康保険の仕組み
健康保険の財源となる保険料は、企業と従業員が出し合っています。必要なときに必要な人が保険給付を受けられる制度として、健康保険は存在しています。
ケガや病気、それによる休業。または出産や死亡などの出費によって訪れる生活の不安に備えるため、日頃から加入者全員が保険料を支払う、助け合いの精神が土台となっている制度とも言えます。
健康保険組合の役割
各企業は、健康保険組合に加入しており、従業員は企業に就職することで企業が加入する健康保険組合の被保険者になります。
健康保険組合は、加入企業の従業員がケガや病気をした際の補助のほか、被保険者の健康の維持、促進の支援をする、2つの役割を担っています。病気の早期発見や予防を目的とした各種検診、健康情報の発信、運動施設・保養施設の利用促進など、事業内容は多岐に渡ります。
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健康保険と扶養
健康保険の加入できるのは被保険者となる企業の従業員、被扶養者としての基準を満たした家族や親族です。被保険者との続柄と被扶養者の収入によって、加入の可否が決定します。それぞれの基準についてご紹介します。
被扶養者の範囲
健康保険の扶養者になるためには、被保険者となる家族・配偶者の収入によって生計を立てていることが条件です。さらに、扶養家族の範囲にも定めがあります。
被扶養者になれる範囲は、配偶者(内縁関係も含む)、子・孫、兄・姉、弟・妹、父母・祖父母などの被保険者の直系尊属。または、被保険者との同居を条件として、上記以外の3親等内の親族、被保険者の配偶者(内縁関係も含む)の父母・連れ子、配偶者(内縁関係も含む)死亡後の父母・連れ子、と定められています。
原則として、被扶養者は国内居住者に限られます。ただし、海外に居住していても留学している学生など生活の基礎が国内にあると認められた場合は、例外として認定されることもあります。
被扶養者の収入基準
被保険者と同居の場合、被保険者の年収は130万円未満(60歳以上または障がい者は年収180万円未満)、かつ被保険者の年収の1/2未満である必要があります。別居の場合は、年収は130万円未満(60歳以上または障がい者は年収180万円未満)で、その額が被保険者からの仕送額よりも少ないことが条件です。
また、同居・別居に関わらず、75歳以上の後期高齢者医療制度の対象者は、被扶養者の対象にはなりません。
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健康保険の扶養で受けられる給付
扶養内パートを検討する場合、いくらまで稼ぐのかという点で悩む人も多いでしょう。〇〇円の壁と言われる、被扶養者の収入によって受けられる各種控除や負担の軽減。健康保険の扶養の場合の給付についてご紹介します。
扶養内パートでも多くの給付が受けられる
健康保険の保険給付には、被保険者が受けられる給付と、被扶養者が受けられる給付があります。被扶養者が受けられる給付の代表例は以下の通りです。
- ・家族療養費
- ・家族訪問看護療養費
- ・家族移送費
- ・家族出産育児一時金
- ・家族埋葬料
- ・高額医療費
- ・高額介護合算医療費
受けられる給付の内容や、給付金の額には、被保険者と大きな違いはありません。ただし、傷病手当金や出産手当金のように、仕事を休んだことで発生する負担軽減を目的とした給付は受けられません。
健康保険の扶養で損のない働き方を選択しよう!
健康保険の扶養の場合、被保険者自身は保険料を支払う必要はありません。また、被保険者となる家族・配偶者の保険料が増えるということもありません。
負担が少ないまま、手厚い保障を受けることができるとなれば、これほどのメリットはないかもしれません。また、被扶養者の年収を130万円未満にすることで、配偶者控除を受けることもできます。健康保険の扶養は、家計にとってプラスになることも多いようです。
負担が少なく、損のない働き方をしたいと考えるのは当然のことでしょう。将来的に世帯収入を上げることは何よりも重要になる点ではありますが、子育てや家事との両立を考えて扶養内パートを選択することもあるはずです。
扶養内パートを検討するうえで必ず登場する、〇〇円の壁。壁と言いながら、それぞれに利点もあるものです。それらを理解したうえでライフスタイルを考えてみると、損のない働き方が選べそうです。