分散型ホテルに期待される要素とは?運営の課題と併せて見てみよう

日本ではまだなじみの薄い分散型ホテルは、街一帯を宿泊施設とする考え方に基づいたホテルです。空き家問題の解消をはじめ、地方創生の一助としても期待が持たれています。日本でも数が徐々に増えている分散型ホテルとはどのようなものなのでしょうか。分散型ホテルの基本情報や期待されること、日本における分散型ホテルの例などを紹介します。

目次

    街全体を楽しめる「分散型ホテル」とは?

    iStock.com/e55evu

     

    分散型ホテルとは、イタリア北部発祥の新しいホテルの形です。

     

    アルベルゴ・ディフーゾと呼ばれる「震災後の空き家を有効活用する取り組み」がモデルとされており、チェックイン・飲食・宿泊・温泉など、それぞれ独立した建物に機能を点在させ、地域一帯をひとつの宿泊施設とする取り組みのことを指します。

     

    日本ではまだ耳なじみの無いように思える分散型ホテルですが、点在している施設を同ホテルと捉えることができるという2018年6月の旅館業法改正により、日本でも徐々に広がりを見せ、ホテル業のみならず、大都市を有さない地域からも期待が寄せられています。

    分散型ホテルで解消が期待される4つの地域課題

    iStock.com/kyonntra

     

    分散型ホテルを作り出すことで、4つの地域課題が解消に向かうと考えられています。どのような地域課題の解決の橋掛けになると考えられているのかを見ていきましょう。

    空き家問題の解消

    日本では、2019年時点で846万戸、総住宅数に占める空き家の割合が13.6%にも及んでいるという発表が総務省からなされました。この数字は、毎年右肩上がりで増加しているにも関わらず、空き家の利活用は進まず、新しい住宅の着工は増え続けているのです。

     

    空き家の増加は、不法侵入などによる犯罪リスクや、耐震基準外の住宅であるがゆえの災害リスクの増加につながるリスクが高いということもあり、政府や自治体を中心に、空き家の利活用の方法を模索しています。

     

    その課題を解決できるのが、分散型ホテルです。分散型ホテルは、空き家や古民家を利活用することが前提であり、空き家を宿泊施設としてよみがえらせることができれば、空き家問題解消のきっかけとなることでしょう。

     

    また、空き家や古民家などを利活用することで、景観になじんだ宿泊施設を作ることができるでしょう。街全体を体感する分散型ホテルでは、利用客が「数日間、その街に住んだ」という感覚に陥るはずです。新たな体験を求める宿泊客の利用増加にも期待が持てます。

     

    参照:平成30年住宅・土地統計調査住宅数概数集計 /総務省

    街全体の活性化

    分散型ホテルは、街全体を一つの宿泊施設とする考え方から成り立ちます。

     

    前述のように、宿泊客の飲食は地域の飲食店を利用してもらったり、地域の銭湯や温泉を利用してもらったりということで、宿泊客は周辺地域に足を運びます。

     

    人の移動が生まれれば、自ずとお金は動くものです。分散型ホテルは街全体を活性化させる可能性があるのですね。

    企業と地域の連携

    ホテル経営には多くの関係者が関わるものですが、分散型ホテルでは更にその関係性が密になると言っても過言ではありません。

     

    数多くの飲食店・浴場・売店などと関わり合いを持つことで、より宿泊客に魅力を感じてもらうことができるはずです。さまざまな意見を地域全体で出し合い、お互いが高め合うことで、より良い街を協創することができるはずです。

    地方創生

    ここ数年、地方創生というワードを耳にする機会が増えました。 地方の人口減少に歯止めをかけることと、大都市圏の人口集中を分散させることを目的とし銘打たれた地方創生。実現に向けて、政府・自治体や大企業が中心となり、さまざまな取り組みが行われています。

     

    分散型ホテルは地域活性にも期待が持たれており、地方創生にも一役買うとされています。分散型ホテルを介し、地方に強く興味を持った方が増えることで、人口減や東京一極集中といった社会課題を解決する糸口になるかもしれません。

     

    以下の記事では、地方創生におけるホテルの役割について解説しています。併せてご一読ください。

    分散型ホテルが持つ課題

    iStock.com/Takshi-Iwai

     

    ホテル経営者、宿泊客、そして地域にとってもメリットが多いと感じる分散型ホテルですが、独立型のホテルとは異なる課題があるということを忘れてはなりません。

     

    分散型ホテルの運営には、どのような課題があるのかを見ていきましょう。

    周辺地域に各施設が点在していなければならない

    分散型ホテルのメインは宿泊施設ですが、街全体の施設を利用しなければ宿泊客は満足できる時間を過ごせないでしょう。周辺地域に各施設が点在していなければ成り立たないのです。

     

    施設を多く有していない山間地域や郊外では、分散型ホテルの運営は難易度が高いかもしれません。

    施設の統一感が必要

    分散型ホテルで利活用をする空き家などの施設は、まずリフォームやリノベーションを行い、宿泊施設として利用できる状態にしなければなりません。

     

    加えて、周辺施設の景観とも合わせなければならないため、費用がふくらむリスクもあります。 

    国・自治体の協力が必要な場合がある

    分散型ホテルは、地域課題の解決のために注目を集めるホテルです。つまりこれは、地域と深く広く連携をとらなければ、成功は難しいでしょう。

     

    また、良い構想があったとしても、地域住民や地域施設の経営者の理解が得られるとは限りません。

     

    分散型ホテルの経営者は、一企業としてのみではなく、街全体の舵を取る能力が求められます。国や自治体の協力が必要になる場面も多くあるということを、押さえておきましょう。

    日本における分散型ホテルの例を見てみよう!

    iStock.com/Satoshi-K

     

    日本における分散型ホテルとしては、どのような取り組みがあるのでしょうか。事例を見ていきましょう。

     

    愛媛県大州市では、2018年から分散型ホテルの整備を始めています。JR伊予大洲駅から徒歩15分ほどの地域に、古民家・空き家・文化財などを活用した観光施設が点在。ホテル・旅館をはじめ、クラフトビール工場や飲食店、土産物店などが並び、回遊性の高いエリアが形成されています。

     

    また、兵庫県丹波篠山市には、城下町全体を宿泊施設に見立てた分散型ホテルが存在します。地域の蔵や邸宅を改装したホテルで、丹波篠山市の暮らしや文化を体験できることが魅力。一般的な観光旅行とは、ひと味違った楽しみ方ができるのではないでしょうか。

     

    参考:日本における分散型ホテルについて

    観光庁資料

    ぐるり!丹波篠山 丹波篠山市公式観光サイト

    地方創生の実現に期待が集まる分散型ホテル

    iStock.com/ablokhin

     

    分散型ホテルの取り組みは、空き家問題の解消や、地域活性化・地方創生加速につながるのではないでしょうか。

     

    観光立国をめざす日本にとって、観光・宿泊を盛り上げることは非常に重要です。観光業に携わっている方は、アフターコロナ時代の観光を支える試みとして、分散化ホテルの可能性を考えてみてくださいね。

     

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