接客心理検定とはどんな資格?
お客様と企業とのWin-Winな関係を築くための手法が学べる資格、「接客心理検定」についてご紹介します。
接客心理検定の概要
接客心理検定は、一般社団法人ホスピタリティ・マーケティング協会が運営しているビジネス系の検定です。お客様心理の理解を深めることができる検定であり、販売職・営業職従事者から人気を集めている資格です。
受験者はアパレル・美容業界やサービス業への就職を目指す学生が多いようですが、お客様のニーズを引き出す能力が身に付く検定であるため、ホテル・旅館をはじめとした宿泊業などのサービス業全般に活かすことができる資格と言えるでしょう。
試験の内容
接客心理検定は3級から始まり、2級、1級と級が進むにつれてステップアップしていく検定で、3級の合否は70分のマークシート式の筆記試験で判断されます。そのため、在宅での受験も可能となっています。
一方、1~2級はマークシート式+記述式の筆記試験と実技試験を経て合否が判断されます。2級は筆記60分と実技30分、1級は筆記60分と実技が2級よりも10分短い20分と設定されているのが特徴です。
試験は全級共通して、接客の基礎知識、接客コミュニケーション、ニーズの創造、商品提案や交渉、クレーム処理などの知識・能力がはかられます。心理学のみならず色彩学・行動分析の理論までも取り入れられた試験となるため、それなりの対策が必要になるはずです。
実技試験では「この商品を販売してください」というようなお題が出されるようなので、受験をする方は、日頃から試験を意識し接客を行っておくのが吉です。
各級の評価基準と合格ライン
- ・3級:接客心理の概要が理解できる(接客・営業担当者レベル)
- ・2級:関連業界のセカンドライセンスとして活用できる(主任レベル)
- ・1級:プロ・接客指導者として活躍できる(マネージャー・責任者レベル)
レベル感は、上記程度とされています。ご自身の目指すレベルに合わせて受験級を決定しましょう。
合格ラインは、残念ながら公表されていないようです。しかし、合格率は公表されており、3級は約80%、2級は約50%、1級は約20%となっています。この数字から、3級は比較的容易に取得ができると予測を立てることができるでしょう。
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接客心理検定の資格取得方法
接客心理検定の試験対策と資格取得の流れをご紹介します。
テストの向けての準備
接客心理検定には受験資格に制限がなく、誰でも受験することが可能です。ただし1級のみ「2級合格」という受験資格がありますので、1級の受験を検討している方は注意してくださいね。
勉強方法は、公式WEBサイトで販売されている各級ごとの「接客心理検定対策テキスト」を読み込み、巻末の練習問題を繰り返し解くことが推奨されています。
実技試験に関しても対策テキスト内に接客技術が記されているようですが、こればかりは実践を重ねなければ力はつきません。接客業従事者であれば、テキストを意識した自主的にトレーニングを現場で実践するようにして、対策を取るようにしましょう。
また、接客を行ったことがない方が1~2級を目指す場合、最も手っ取り早いのは接客の仕事を体験してみることかもしれません。接客スキルは実践を繰り返すことで身になっていきますので、ぜひ検討してみてくださいね。
資格取得までの流れ
接客心理検定は、級によって試験実施時期が異なります。3級は年3回、2級は年2回、1級は年1回となっているので、級と同じだけ試験が実施されていると覚えておくのが良いでしょう。
試験実施場所は、3級の場合在宅となります。1~3級は実技試験を東京ないしは大阪で受ける必要があるため、試験日程・試験会場を公式WEBサイトで確認のうえ、応募フォーム・電話・FAXで申し込むようにしてくださいね。
受験料は、1級10,000円、2級7,000円、3級4,500円となっており、2級のみ再受験の場合筆記3,000円・実技4,000円で受験することが可能です。
受験はおおよその場合、受験日の3カ月前ほど~2週間前ほどまでの申し込みが必要となります。合否は受験後約1カ月ほどで通知されるようです。
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接客心理検定を活かせる職種
販売職・営業職に活かせる知識を得られると知られる接客心理検定ですが、もちろん宿泊業者もその知識を存分に活かすことができる業界です。ホテル・旅館などの宿泊業ではどのような職種で資格を活かすことができるのでしょうか。メインとなる4つの職種をご紹介します。
フロントスタッフ
フロントクラーク・ベルボーイ・ドアマンは、ホテルの顔と言われる職種です。ホテルに来館されたお客様が初めて接する相手はフロントスタッフですので、お客様に「良いホテル!」という第一印象を抱いて抱くためにも、高い接客スキルを身に付けている必要があります。
接客心理検定の資格では、接客の中での「情報」と「コミュニケーション」は切り分けて考えるべきだとしているため、館内の案内や観光情報を伝えることが多いフロントスタッフにはうってつけの資格と言えるでしょう。
ブライダルコーディネーター・介添人
結婚披露宴を行うホテルでは、ブライダルコーディネーターや介添人が働いていることでしょう。接客心理検定は、このようなブライダル関連の仕事にも役立つ資格です。
お客様のニーズを引き出すことで最適な提案を行ったり、お客様の心理を察して言われずとも動く能力が発揮できれば、きっとホテルや自身の評価も上がっていくはずです。
コンシェルジュ・バトラー・仲居などの専門職
お客様の世話役ともされるコンシェルジュ・バトラー・仲居などの専門職でも、接客心理検定で得た学びを活かすことができます。
きめ細やかな対応が求められる同職種では、お客様の心理を先回りして読み、行動に移すことでお客様の満足度が大きく変わってきます。「流石プロですね」というような高い評価を受けるためには、感覚と知識を上手く組み合わせて実践する必要があります。
現在同職種に従事しており、知識だけ・感覚だけのいずれかに偏りを感じている方や、社内外の評価がなかなか上がらないという方は、1度受験してみても良いかもしれません。
支配人などの管理職
支配人・チーフマネージャー・リーダーなどの管理職に憧れを持つ方は、最低でも2級、可能であれば1級を取得していればその道が見えてくるかもしれません。
現場を取り仕切る役職者を目指す方であれば、ある程度お客様の心理はできているはずです。しかし、自身がプレイヤーとして実践するのと、部下に指導するのとではその性質は大きく異なります。
「良い接客」は言語化するのが難しいものでもありますので、指導方法を学ぶ意味でも試験を受けてみてはいかがでしょうか。きっと新しい発見があるはずです。
接客心理検定に関連する資格
接客心理検定は、心理学・色彩学・行動分析などの観点からお客様心理の理解促進ができる資格であるとご紹介しましたが、他にも接客サービス業に役立つ資格があります。接客心理検定に関連する3つの資格をご紹介しますので、ぜひあわせて受験を検討してみてくださいね。
サービス接遇検定
サービス接遇検定は、公益財団法人実務技能検定協会が運営しているビジネス系の検定で、文部科学省が後援をしていることも相まって、受験者が増えている検定です。
接客心理検定と比較すると、言葉遣いや立ち振る舞いなど、もっと広い意味での「サービス」に関した資格となっています。接客・接遇の基礎とも言える資格です。気になる方は下記記事も参考にしてみてください。
宿泊業に活かせるサービス接遇検定。テスト内容や資格取得方法について
接客サービスマナー検定
接客サービスマナー検定は、サービス接遇検定同様、接客サービス従事者が接客の基礎を学ぶことに適した資格となっています。
お客様に失礼の無い接客ができること、またワンランク上の接客を目指す接客業従事者から人気のある資格です。電話応対や漢字の読み書き、外国人のお客様への対応などの接客の基礎から、経営視点で接客を考えるなど、幅広いレベルの接客スキルを身に付けることができます。
接客サービスマナー検定は接遇の基本!テスト内容・資格取得方法・宿泊業で活かせる職種を紹介!
ホテル実務技能認定試験
これまでご紹介した資格はいずれも「サービス業全般」に役立つ資格でしたが、「ホテルの技能に特化した資格が欲しい!」という方はホテル実務技能認定試験を受験することをおすすめします。
その名の通り、ホテルに特化した試験になっているため、ホテルや宿泊業界についての基礎知識、ホテルならではの接客を身に付けることができます。下記記事で詳しくご紹介していますので、気になった方はぜひチェックしてみてくださいね。
ホテル業界で必要な実践力を学べるホテル実務技能検定。テスト内容や取得方法について
接客心理検定はサービス業の幅広い職種で活かせる!
接客心理検定は、販売職や営業職から人気の高い資格となっています。しかし、お客様心理を知る、お客様のニーズを汲み取るということは、どの職種のサービス業従事者にとっても欠いてはならない視点です。
資格取得に向けて勉強するだけでも必ず成長を実感できるはずですので、自身の評価を上げるためにも、また店舗や企業の評価を上げるためにも、ぜひ挑戦してみてくださいね。
また、これから接客サービス業に就きたい・同職種で転職をしたいという方にとって、求職活動を有利に運んでくれる資格にもなっていますので、ご自身の求職活動をスムーズに進めるために、ぜひ資格取得を検討してみてください。
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