求人票や内定後に交通費が出ないとわかり、「これは違法ではないか」と疑問を持つ方は少なくありません。
日本の労働基準法には交通費の支給を義務づける条文がなく、支給するかどうかは原則として各社の就業規則や労働契約に委ねられています。
ただし、規定の内容や雇用形態によっては問題になるケースもあるため、自分の状況を正しく把握することが大切です。
この記事では、交通費不支給の法的な位置づけから会社規定の読み方、よくある不支給パターン、実費負担の影響、交渉・転職時の確認ポイントまでを解説します。
交通費の不支給は違法にならない|確認すべき法律上のルール
交通費が支給されないことに納得がいかないとき、「これは違法ではないのか」と感じる方は少なくありません。
ただ、法律上の答えはシンプルです。交通費の不支給は、原則として違法にはなりません。
交通費支給を義務づける法律は存在しない
交通費を支給しなくても、直ちに違法にはなりません。
労働基準法には、使用者が交通費を支払わなければならないという規定が存在しないからです。
交通費はあくまで福利厚生の一環として位置づけられています。
支給の有無や支給額は、各企業が就業規則や雇用契約によって自由に設定可能です。
全額支給や一部支給だけでなく、上限設定や不支給とした場合も法律には違反しません。
就業規則に明記されていれば支払い義務が生じる
就業規則や雇用契約書に交通費を支給する旨が明記されている場合は、会社側に支払い義務が生じます。
規定が存在するにもかかわらず支給されないケースは、労働契約違反として問題になるでしょう。
会社が支給すると約束した以上、実費相当額なり規定額なりを支払う責任を果たさなければなりません。
支給するかどうかは会社が自由に決められますが、一度支給すると定めた規定には法的拘束力が発生します。
交通費支給の基準は就業規則や労働契約の規定で確認する
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交通費を支給するかどうか、またその金額をどう計算するかは、会社ごとの就業規則や労働契約で決まります。
法律に義務がないぶん、規定の内容が実質的なルールになるため、自分が何の規定のもとで働いているかを把握しておくことが重要です。
就業規則の交通費規定の種類
交通費を支給するかどうかや金額の計算方法は、各会社の就業規則に定められた内容が基準となります。法律による義務がないため、会社ごとの規定が実質的なルールとして機能するからです。
規定のパターンは、大きく以下の3つに分かれます。
もっとも一般的なのは上限を設けた支給であり、非課税限度額を基準とする会社も多く見られます。
口頭の申し合わせが根拠になるケースもありますが、書面での合意がないとトラブルの原因になりかねません。
就業規則は労働基準法により従業員への周知が義務づけられているため、入社後でも閲覧を求められます。
労働契約書・雇用条件通知書の確認箇所
入社時に受け取る労働契約書や雇用条件通知書に、交通費の扱いが記載されています。
「賃金」の項目欄や、別紙の支給項目一覧で交通費や通勤手当の有無と計算方法を確認してください。
記載がない場合や「規定による」とだけ書かれている場合は、就業規則の該当箇所と照らし合わせる作業が必要です。
アルバイトやパートの契約では記載が省略されることもあるため、入社前に書面で明確にしておくと安心です。
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交通費が支給されない主な理由と雇用形態別の対象外パターン
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交通費の支給は法律で義務づけられていないため、就業規則や雇用契約書に規定がなければ、会社が支給しなくても違法にはなりません。ただし、雇用形態や職種によって不支給になりやすい理由は異なります。自分のケースがどのパターンに当たるかを確認しておくと、今後の対処法も見えてくるでしょう。
雇用形態別の不支給パターン
交通費が支給されない主な理由は、会社の規定が存在しないか、あるいは現在の雇用形態が対象外となっているかのどちらかです。
雇用形態や職種によって不支給になりやすいケースは異なるため、自分の状況を正確に把握しておく必要があります。
正社員
パート・アルバイト
派遣社員
業務委託
パートやアルバイトは、正社員と別の就業規則が適用されることが多く、そこに交通費の規定がなければ不支給になります。
同一労働同一賃金の観点から、正社員に支給されているのに非正規だけ不支給というケースは問題になり得ますが、金額の差や支給条件の違いは合理的な理由があれば認められる場合もあります。
派遣社員の場合、交通費の支給義務は雇用主である派遣元にあります。
2020年4月施行の改正労働者派遣法により、同一労働同一賃金の規定が派遣にも適用されていますが、派遣先の正社員と完全に同条件にはならないこともあるため、派遣元の労働条件通知書で確認することが大切です。
職種・勤務形態による不支給
テレワークや在宅勤務が主体の職種では、定期的な交通費が支給されず、出社時のみ実費支給となる会社が増加しています。
勤務地が自宅になるため、従来のような通勤手当の概念が変わってきたからです。
また、インターンや試用期間中を交通費の支給対象外とする会社も存在します。
面接時や選考段階での交通費も自己負担となるのが一般的であり、支給されるケースは例外的な存在です。
さらに、徒歩圏内や自転車通勤が可能な近距離の場合、「一定距離未満は不支給」と規定している会社も少なくありません。
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交通費が自己負担になると、給与明細には現れないコストが毎月積み重なっていきます。金額の大きさを把握しないまま働き続けると、実質的な手取りが想定より大幅に低くなっているケースも少なくありません。
月・年単位で見る実費負担の試算
片道300円のバスや電車を利用した場合、往復600円×20日勤務で月1万2,000円の負担になります。年間に換算すると14万4,000円。これはパートやアルバイトの時給換算で、100〜150時間分の労働に相当する金額です。
通勤距離が長くなればさらに差は広がります。片道600円のケースでは月2万4,000円、年間で28万8,000円。
同一労働同一賃金の観点から正社員との待遇差が議論される派遣社員やパート・アルバイトにとって、この差は就業規則の確認や雇用契約時の交渉でカバーできなければ、実質的な時給を大きく押し下げる要因になります。
20日勤務
20日勤務
20日勤務
⚠️ 高額負担
扶養・確定申告への影響も見落とせない
扶養内で働いている方は、交通費の扱いが年収計算に影響する場合があります。
所得税法上、一定額までの通勤手当は非課税ですが、会社から支給される場合と自己負担の場合とでは、扶養の判定基準に使われる収入の考え方が変わってくることがあります。
制度の詳細は勤務先や税務署に確認が必要です。
また、フリーランス的な働き方や個人事業主として確定申告を行う場合は、実費の交通費を経費計上できる可能性があります。
ただし給与所得者として雇用契約を結んでいる場合は原則として経費にはならず、自己負担がそのまま手取りの減少に直結します。
通勤コストを見過ごさず、入社前・契約更新前に条件を確認しておくと安心でしょう。
交通費が出ないときに取れる対処法と交渉のポイント
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交通費が支給されない場合でも、就業規則の確認や会社への申し入れ、外部機関への相談といった手段が残されています。状況に応じた選択肢を知っておくことで、泣き寝入りせずに動ける可能性が広がるでしょう。
就業規則の変更・追加を会社に申し入れる
交通費の支給実績がない、または支給額が不十分だと感じる場合、まず就業規則の確認から始めることが重要です。
就業規則に交通費の規定がそもそも存在しない場合、会社への申し入れによって新たに設けさせる余地があります。
申し入れは口頭ではなく書面で行うことが効果的です。
「交通費支給規定の設置を求める旨」を明記し、人事・総務窓口に提出します。書面にしておくことで、交渉の記録が残り、後の対話を進めやすくなるでしょう。
一方、既存の規定を変更する場合には法的な注意点があります。
就業規則の不利益変更(支給額の引き下げや廃止など)には、原則として労働者の合意が必要です(労働契約法第9条・第10条)。
会社側が一方的に交通費を減らすことは容易ではなく、逆に支給の追加を求める側には比較的高いハードルがない点は覚えておく価値があります。
雇用契約の内容によっては、入社時の条件を根拠に交渉できるケースもあるでしょう。
労働基準監督署・法的機関に相談する
社内での交渉が進まない、または就業規則の内容に明らかな不備がある場合は、外部機関への相談が現実的な選択肢になります。
労働基準監督署は、就業規則の内容や周知義務の不備について会社に対して指導できる立場にあります。
「就業規則が開示されない」「交通費について何も定めがない」といった状況であれば、相談の対象になり得ます。
社内解決が難しいと感じたときに活用できる主な外部窓口は以下のとおりです。
いずれも無料で相談できる窓口です。
特に総合労働相談コーナーは予約不要で利用できる場合が多く、まず話を聞いてもらうという使い方もできます。
法的手段はあくまで最終手段ですが、選択肢として知っておくことが交渉力につながるでしょう。
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転職のプロに聞いてもらう転職・就活で交通費支給の条件を事前に確認するポイント
交通費の支給条件は、入社後にトラブルになりやすい項目のひとつです。求人票・面接・内定後の3つのタイミングそれぞれで確認しておくことで、想定外の自己負担を防げます。
求人票では「上限額」と「支給方法」を読む
「交通費支給」の記載があっても、上限額が低ければ実質的な自己負担が生じます。
たとえば月1万円の上限に対して実際の定期代が2万円であれば、差額は毎月の持ち出しになるでしょう。
支給方法についても、定期代の現物支給なのか、実費精算なのかで手続きが異なります。
上限額の記載がない求人票は、面接で確認したい項目としてメモしておくと安心です。
面接では交通手段まで具体的に確認する
会社によっては、支給対象を「電車・バスなどの公共交通機関のみ」とする規定を設けているケースがあります。
自転車や車通勤を想定している場合は、ガソリン代・駐輪場・駐車場代が支給対象になるかどうかも確認が必要です。
距離に応じた支給額の計算方法も会社によって異なるため、「自宅から職場までの距離でいくらになりますか」と具体的に尋ねるのが確実といえます。
面接での確認は権利の主張ではなく、入社後のミスマッチを防ぐための情報収集です。
内定後は就業規則・雇用契約書で文書確認を
内定承諾前に、就業規則や雇用契約書に記載された交通費規定を書面で確認することが重要です。
口頭で「支給します」と言われていても、就業規則に上限額や条件が別途定められていれば、そちらが優先されます。
アルバイトやパートの場合も雇用契約書に支給条件が明記されているかを確認しましょう。
インターンについては支給対象外となることも多く、参加前に確認しておくと安心です。
書面での確認は、入社後の交渉や相談の根拠にもなります。
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アドバイザーに相談してみる交通費が支給されない場合の疑問を解決するよくある質問
交通費が出ない状況は法律で確認し、規定と対処法を把握することが解決の近道
交通費の支給は法律で義務付けられておらず、雇用契約や就業規則の定めによって全額支給・一部支給・自己負担のいずれにもなり得ます。
ただし、同一労働同一賃金の観点から、正社員とパート・アルバイト・派遣社員との間で不合理な格差があれば、会社側に説明を求める根拠になります。
自分の雇用契約書と就業規則を確認し、不明点があれば担当部署への確認や交渉という手段があることを覚えておくと、いざというときに動きやすくなるでしょう。
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