厚生労働省のデータによると、和食料理人(日本料理調理人)の平均年収は約370万円といわれています。
この額は決して高いとはいえないため、「このまま働き続けて生活は安定するのか」と不安を感じている方も少なくないでしょう。
実際には、年収は経験年数や職場の種類、役職や資格の有無によって大きく変わります。
この記事では、和食料理人の年収相場と給与の推移、仕事内容や働ける職場、年収を上げるための方法を解説します。
さらに、必要なスキルやキャリアアップの考え方も紹介します。転職や今後のキャリア設計を考えるうえでの参考にしてください。
和食料理人の年収は平均約370万円|新人から15年以上の給与推移も解説
厚生労働省の調査によれば、和食料理人の平均年収はおよそ370万円とされています。
経験年数によって少しずつ上昇しますが、全体的には大きな伸び幅は見られません。以下は、経験年数ごとの給与推移をまとめたものです。
経験年数 | 所定内月収 | 年収目安(万円) |
---|---|---|
1年未満 | 21万5,700円 | 約259万円 |
1~4年 | 22万4,800円 | 約270万円 |
5~9年 | 24万1,500円 | 約290万円 |
10~14年 | 25万2,800円 | 約303万円 |
15年以上 | 28万1,300円 | 約337万円 |
新人は260万円前後からスタートし、徐々に年収が伸びていく様子がわかります。その後、5~9年ほどで年収300万円前後に届くようです。
なお、国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」では、給与所得者全体の平均年収は460万円となっているため、全体平均と比べると年収は低めといえるでしょう。
ただし、勤務先の業態(料亭・ホテル・旅館)や役職(料理長・副料理長)などによっては、年収500万円以上を目指せるケースもあります。
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和食料理人の仕事内容
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和食料理人の仕事は、料理をつくるだけではありません。食材選びから調理、盛り付け、提供まで幅広い工程を担い、店の規模や業態によって担当範囲も変わります。
主な仕事内容は以下のとおりです。
- 食材の仕入れ・下処理:市場での買い付けや魚をおろす、野菜の下ごしらえを行う
- 基本的な調理:焼き物、煮物、揚げ物、蒸し物、刺身など幅広い調理を担当する
- 盛り付け・器選び:料理の美しさや季節感を表現する盛り付けや器選びを行う
- 下積み作業:掃除、洗い物、仕込みの補助などの基本的な作業を担当する
- 提供前の最終チェック:味付けや見た目を整え、料理を提供する前の確認を行う
このように、和食料理人は一連の調理技術に加え、盛り付けや器選びなど和食ならではの感性も求められる職業です。
なお、勤務先によって担当の幅は異なります。料亭や旅館のように分業制を採る職場もあれば、小規模店では一人で幅広い作業を任されることもあります。
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和食料理人が働ける職場と年収の傾向
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和食料理人は、料亭や旅館といった伝統的な職場から、チェーン店や独立開業まで幅広い場所で活躍できます。
職場によって求められるスキルや働き方が異なり、年収や待遇にも差が出やすいのが特徴です。
料亭・割烹
格式のある料亭や割烹は、和食の伝統技法を身につけられる職場です。
下積み時代は厳しい面もありますが、技術が認められれば収入や役職に直結しやすく、腕を磨きたい料理人には最適な環境です。
ホテル・旅館
ホテルや旅館では、朝食から宴会料理まで幅広い調理に携わります。
福利厚生が整っている職場も多く、安定した給与や住まいのサポートを得ながら働ける点が大きな魅力です。
和食チェーン店・居酒屋
チェーン店や居酒屋はマニュアルに沿った調理が中心で、基礎を身につけやすい環境です。
給与水準は大きく変動しませんが、比較的安定した働き方ができるのが特徴です。
独立・開業
経験を積んだ先には、自分の店を構える道もあります。
自由に料理を提供できる反面、資金面や経営リスクを抱えることになりますが、成功すれば収入面でも大きな可能性が広がります。
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宿泊業の和食調理求人をチェックする和食料理人が年収を上げる方法|キャリアを伸ばす4つのステップ
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1.役職アップで収入を伸ばす
和食の現場では、見習いからスタートし、経験を積むことで副料理長や料理長といった役職に昇進できます。
役職が上がれば、調理だけでなくメニュー開発や人材育成、仕入れの管理といった責任ある仕事を任されるようになり、給与に反映されやすくなります。
また、管理職になることで安定的に収入を増やせるのが大きなメリットです。
2.資格取得でキャリアの幅を広げる
料理人としての専門性を示す資格を取得するのも有効です。代表的なものにふぐ調理師免許 や専門料理認定などがあります。
高度な技術を必要とする資格は、就職や昇進で有利になるほか、店舗やホテルによっては 資格手当が支給されることもあります。
スキルアップを目指すなら積極的に挑戦したい分野です。
3.待遇の良い職場へ転職する
キャリアの転機として大きな効果をもたらすのが転職です。
特にホテルや旅館では福利厚生が整い、給与水準も比較的安定しています。さらに、料亭や高級店では実力次第で高待遇を得られる可能性もあります。
転職は環境を変えるリスクも伴いますが、キャリアを大きく飛躍させるチャンスにもなり得るでしょう。
4.独立・開業で収入の可能性を広げる
最終的なキャリアの選択肢として、独立・開業を目指す人も少なくありません。自分の店を持つことで、自由な料理を提供でき、大幅な収入アップも期待できます。
ただし、初期投資や経営リスクも大きいため、十分な経験や資金準備が欠かせません。
成功すれば収入も大きく伸びますが、安定性を失うリスクがある点も理解しておきましょう。
\待遇の良い職場にステップアップ/
おもてなしHRで求人に応募する和食料理人に求められるスキルと資質
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和食料理人としてキャリアを築き、収入を伸ばしていくには、調理の技術だけでなく幅広いスキルや姿勢が求められます。
代表的なものを整理すると以下のとおりです。
- 調理技術:包丁さばき、出汁の扱い、盛り付けの美しさなど基本を習得する力
- 体力・忍耐力:長時間の立ち仕事や修行を乗り越えるために必要
- 段取り力:複数の作業を効率よく進め、厨房を円滑に回す力
- 観察力・学ぶ姿勢:先輩の技を見て吸収し、自分の成長につなげる力
- 礼儀・協調性:挨拶や立ち居振る舞い、チームで働く姿勢
これらの力はすぐに身につくものではありませんが、日々の仕事の中で意識的に磨いていくことで、より高い評価や年収アップにつながっていきます。
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和食料理人の求人を確認する和食料理人の年収に関するよくある質問
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和食料理人の年収については、経験年数や資格、働く職場などによって気になるポイントがさまざまです。ここでは、よくある質問をまとめました。
和食料理人の年収は経験年数でどのくらい変わるのでしょうか?
調理師免許の有無で年収に差はあるのでしょうか?
ホテルや料亭で働くと年収は高くなるのでしょうか?
出典:令和5年分 民間給与実態統計調査/国税庁和食料理人の年収は経験と職場選びで変わる!仕事探しはおもてなしHRで
和食料理人の平均年収はおよそ370万円ですが、経験年数だけで大きく収入が伸びるわけではありません。
年収を上げるには、役職アップ・資格取得・転職・独立といったキャリアの工夫が必要です。
特にホテルや旅館など、福利厚生や給与水準が安定した職場を選ぶことは、将来の生活を支えるうえで大きなポイントになります。
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