ホテルとゲストハウスの法律上の違い

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まずホテルとゲストハウスは、法律上の定義に明確な違いがあります。ホテルをはじめとする宿泊施設は、基本的にすべてが旅館業法の許可を得て営業しています。さらに旅館業法の中にも営業形態が3つに分かれています。
- ・ホテル・旅館営業
- ・簡易宿所営業
- ・下宿営業
この中でホテルは「ホテル・旅館営業」、ゲストハウスは「簡易宿所営業」に分類され、それぞれ許可を得るために設備や面積などについての要件が定められています。
ホテルとゲストハウスはどう違う?特徴を比較!

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法律上の違いがある、という前提を踏まえ、ホテルとゲストハウスには具体的にどのような違いがあるのか特徴を比較していきましょう。またゲストハウスと混同されがちな「ホステル」についても解説します。
ホテルの特徴
まずはもっともなじみ深いホテルから、特徴を挙げていきましょう。
- ・交流スペースはほとんどない
- ・個室でプライベートをきっちり守れる
- ・水回り設備は部屋に1つ以上ある
- ・食事つきのプランが基本
- ・アメニティあり、ホテルのグレードによってバリエーションも豊富
- ・レストランやゲームコームコーナーなど各種施設が揃っていることも
近年では「交流型ホテル」と呼ばれる、交流スペースを設けたホテルも登場していますが、基本的にホテルには交流スペースはありません。部屋も鍵のかかる個室が基本となり、宿泊者同士の交流を楽しむよりは、家族や親しい人とプライベートな時間・滞在を楽しむ用途に向いています。
またホテルのグレードにより変わりますが、「宿泊する」以外の設備が多数設けられていることも少なくありません。ホテル内にレストランやゲームコーナー、お土産ショップが併設されていたり、高級ブランドのアメニティが用意されていることもあります。
ゲストハウスの特徴
ゲストハウスの大きな特徴は、以下の通りです。
- ・宿泊者同士の交流スペースあり
- ・相部屋(ドミトリー)の場合あり
- ・水回りが共用
- ・素泊まりが基本で食事の提供はないケースが多い
- ・アメニティやパジャマなどの用意はないケースが多い
家族や友人などとプライベートな時間を過ごすことを前提につくられているホテルと違い、宿泊者同士の交流を楽しむためのスペースがあったり、ゲストハウスによっては部屋がドミトリータイプの相部屋となる場合もあります。またシャワーやキッチンなどの水回りも共用となることも多いです。
食事やアメニティ類などの用意もされないことが多く、その分宿泊料はホテルに比べてリーズナブルなのが大きな特徴です。
ホステルの特徴、ゲストハウスとの違い
ゲストハウスと混同されがちなホステルについても、どのような違いがあるのかを比較してみましょう。
ホテルと比べて宿泊料が安い、水回りが共用、食事やアメニティは基本なしといった点は、ゲストハウスと変わりません。そのため、ホステルとゲストハウスにはそこまで大きな違いはない、といって差支えないでしょう。
そのうえで違いを挙げるとすると、
- ・フロントが設置されていることが多い
- ・ドミトリータイプの部屋が多く、一度に多くの人が宿泊できる
- ・交流スペースがほぼ確実に設置されており、バーやカフェ併設の施設も少なくない
こういった特徴があります。
ホテルや旅館には受付を行うフロントがありますが、ホステルにもフロントが設置されていることが多いです。ゲストハウスの場合、フロントのある施設はそれほど多くありません。
部屋については、ゲストハウスよりもドミトリータイプである割合が大きいようです。交流スペースを設けているのは共通ですが、ホステルの方が規模が大きく、交流のためのカフェやバーを設けている場合が多いです。
ゲストハウスは家族経営や小規模事業者、ホステルは企業が運営しているケースが多く、施設の規模に違いが出てきます。ホステルの方が宿泊施設としての規模が大きい場合が多いので、より多くの人を泊められる、交流スペースがしっかりと整備されているといった特徴があるのです。
ゲストハウスの特徴をさらに深掘り!働くメリットは?

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宿泊に関わる仕事がしてみたいなら、次に考えるのは働く場所ですよね。ホテルや旅館、民宿などいろいろな施設があるなかで、あえてゲストハウスを選ぶメリットとはなんでしょうか。
ゲストハウスによって個性がある
ゲストハウスは非常に個性豊かな施設です。例えば、
- ・古民家をリノベーションした
- ・おしゃれなカフェ風
- ・アートがコンセプト
- ・地域に根ざしている
など、あなたの好きな雰囲気のゲストハウスが見つかれば、とても楽しく働けるでしょう。
知り合いが増える、海外交流ができる
ゲストハウスにやってくる人たちは、人との出会いや交流を求めています。そしてこの「交流」は宿泊者同士に限らず、スタッフと宿泊者との間にも生まれます。
日本人にはあまり馴染みのないゲストハウスですが、海外ではバケーションの過ごし方の一つとして定着していることもあり、海外からの旅行者も多く訪れます。
ゲストハウスで働くことで知り合いが増えたり、海外交流ができるといった魅力を感じることもできるでしょう。
お客様のニーズにあわせたおもてなしを提供しよう

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ホテルとゲストハウスは旅館業法においても違う宿泊施設として分類されていますし、実際に中身も大きく異なることがわかりましたね。どちらがより良い、ということではなく、あくまで宿泊者のニーズに応じてよりおすすめできる宿泊施設が異なるという認識になるでしょう。
宿泊施設側の心得としては、宿泊者のニーズをしっかりととらえ、それに応えるサービスを提供し続けることが大切です。
お客様が高い宿泊料を払ってでもホテルに泊まるのはなぜなのか?日本ではホテルに泊まるのあ一般的なのにあえてゲストハウスに来るのはなぜなのか?
常にそうした視点で考えることで、お客様に満足してもらえるおもてなし、サービスを提供できるはずです。