ビジネスホテル業界は活気づいている
今、ビジネスホテル業界は非常に活気づいています。インバウンド政策による外国人観光客や、定年退職を迎えた団塊世代の旅行者が急増したことで、観光シーズンや週末には客室が全て埋まることも少なくありません。
かつてサラリーマンの出張での利用がほとんどだったビジネスホテルは今、大勢の観光客で賑わいを見せる場所へと変化しています。
ビジネスホテル業界がどのような変貌を遂げて今の状況になったのでしょうか。成功しているビジネスホテルの戦略や、ビジネスホテルの従業員の仕事はシティホテルやリゾートホテルとどう違うのかについて解説します。
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ビジネスホテル業界は変化を続けている
観光業は、時代とともに常に変化し続けています。中でも特に色濃く時代を反映するのは宿泊施設ではないでしょうか。
かつては観光旅行や家族旅行と言えば、日本旅館やシティホテル・リゾートホテルに宿泊することが一般的でしたが、今はビジネスホテルを選ぶ人が増えています。ビジネスホテル業界はどのように変化したのか見ていきましょう。
従来のビジネスホテルのイメージ
従来まで、ビジネスホテルはこのような観光目的の旅行者が宿泊する場所ではなく、サラリーマンが出張で宿泊する場所というイメージがありましたよね。
駅からのアクセスが良い場所に、レストランや大浴場、会議室などは無いコンパクトな建物で営業しているビジネスホテルが大多数でした。リーズナブルで機能的ですが、華やかさや非日常感は無く、睡眠・休息に重点が置かれ、シャワーを浴びて寝るだけです。
スタッフの対応も、決して雑ではないものの事務的な場合が多く、観光向けのホテルに比べると味気ない滞在でした。ただし、そこが気楽で良いところでもあったので、忙しいビジネスマンが客層の中心だったのですね。
現代のビジネスホテルのイメージ
昔ながらの宿泊・睡眠を重点においたビジネスホテルも存在していますが、今は大型で設備が充実したビジネスホテルが続々と誕生しています。
フロントが豪華で広々としており、レストランや人工温泉・天然温泉の大浴場や会議室を備えた施設もあります。また、無料朝食バイキングや有料マッサージ、ルームシアターなどのサービスが充実し、眠るだけでなく滞在することそのものが楽しくなる工夫が施されています。
あくまでもビジネスホテルなので、荷物の持ち運びなどはセルフサービスが基本ですが、スタッフの教育が行き届いており、贅沢な気持ちで過ごすことができます。
それでもシティホテルやリゾートホテルよりもリーズナブルな価格で宿泊できる点も非常に魅力があります。低価格で充実した設備・サービスを利用できるので、観光旅行でビジネスホテルを利用する人が増えているのです。
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ビジネスホテル業界で成功しているホテルチェーンの戦略
日本全国の地域のみならず、海外にまで手広くチェーン展開しているビジネスホテルもあります。競争が激しいビジネスホテル業界の中で、どういった戦略で成功し続けているのでしょうか。
変形した土地に建設・節約意識が高いビジネスホテル
駅前の一等地に、次々と大規模店舗を増やし続けるビジネスホテルチェーンでは、あえて建築が難しい、変形した土地にホテルを建てる戦略を取っています。良好な立地の割に低価格で土地を購入できるので、その分宿泊費を安くすることができるのですね。
それだけではなく、このビジネスホテルチェーンは高い節約意識を持って経営しています。客室のバスタブを節水に有効な形にしたり、保温カーテンを取り入れることで水道光熱費を節約しています。それでいて宿泊客にけち臭い印象を与えることがないデザインが施され、非日常感を壊しません。
また、このビジネスホテルチェーンの女性社長はメディアにも顔を出す、ちょっとした名物社長です。社長の顔写真のついたミネラルウォーターやレトルトカレーのプレゼントキャンペーンなども実施され、存在感を放っています。人の印象に残りやすくすることも戦略ですね。
高速道路インターチェーン付近に展開するビジネスホテル
ビジネスホテルはビジネス街の駅前や繁華街の中心部に建てられることが多いです。その裏をかいて、高速道路のインターチェンジ付近に展開することで成功しているビジネスホテルチェーンがあります。
高速道路のインターチェンジ付近は地価が安いため、客室を安く提供することができるのですね。また、高速道路を降りてすぐのところに立地しているので、遠方から車で旅行に訪れる人が身に地に迷わずたどり着ける点もメリットです。
また、このビジネスホテルチェーンでは、展望の良い大浴場を備えた店舗が多いことも人気の理由でしょう。高速道路を長時間運転してきたお客様が、ゆっくりと疲れを癒せます。
年中ほぼ同じ価格で客室を提供するビジネスホテル
一般的にホテルの宿泊料金は、時期によって変動します。夏休みや冬休みは高騰し、オフシーズンは安くなるのが通常ですが、年中ほぼ同じ料金で客室を提供しているビジネスホテルチェーンがあります。
高い時期に宿泊して損した気分になることもなく、いつでも同じ価格で宿泊できる安心感で、多くのリピーターを獲得しています。
また、女性スタッフのきめ細かな感性を大切にしており、フロント係や客室係などお客様と密に関わるスタッフは全員女性という点も評価されています。
ビジネスホテル業界での仕事とは
従来までの設備やサービスとは、もはや全くの別物とも言える現代のビジネスホテルですが、働く上ではシティホテルやリゾートとは違いがあります。
まず、ビジネスホテルは、滞在中はセルフサービスが基本です。シティホテルなどではドアマンが入口のドアを開けてお客様を迎え入れ、チェックイン後は客室まで荷物を持ってお客様をご案内、その他細々とした身の回りのお世話を従業員が行いますよね。
ビジネスホテルでは、こうしたサービスは行われず、接客の場面はシティホテルなどに比較するとかなり少ないものです。
また、宿泊費の支払いをチェックイン時に行うこともビジネスホテルの特徴です。自動チェックイン機やQRコードチェックインといった、デジタルを導入しているビジネスホテルも増えています。
チェックインの手続き自体はIT化で簡単になりましたが、機械の操作が苦手なお客様も少なくないので、フロント係は操作のお手伝いを頼まれることが多いです。分かりやすく案内してさしあげましょう。
そして、観光客にも多く利用されるようになったとはいえ、ビジネス目的で宿泊される方も、もちろん大勢居ます。領収書の発行を求められることが多いので、発行の手順もしっかりと覚えてくださいね。
ビジネスホテル業界で働くメリットとは?
未経験からホテル業界に挑戦したいと考えている人は、ビジネスホテルへの就職を検討してみてはいかがでしょうか。
ビジネスホテルは、シティホテルやリゾートホテル、旅館などに比べると採用のハードルが低い場合が多いのです。宿泊業や接客業の経験が無くても応募可能としているところが多く、チャレンジしやすい業界です。
また、大手ビジネスホテルチェーンでは、従業員教育にとても力を入れています。セルフサービスが多いビジネスホテルでも一流の接客を学ぶことができるので、ホテル業界でキャリアアップを狙う人の足がかりとなることでしょう。
進化し続けるビジネスホテル業界
ビジネスホテルは進化し続け、ひと昔前までは考えられなかったほど充実した施設に生まれ変わっています。そしてこれから先も、さらに早いスピードで変わり続けるでしょう。
宿泊施設への就職を検討している方はぜひ、常にアップデートされるこの業界に身を置いて、最先端のおもてなしを肌で感じてみてはいかがでしょうか。