観光業でAIはどんな活躍をしているの?観光業でのAI導入によるメリットや課題を解説

AI(人工知能)は少し前までSFの世界のものでしたが、ここ10年ほどの間で驚くほどの進化をとげ、今では生活の一部になっています。あらゆる業種でAIの導入が進んでいますが、観光業では特に多く活用されています。観光業のどんな場面でAIが活躍しているのか、AIを導入することのメリットや課題について解説します。

目次

    観光業で進むAIの導入

    AIスマホ

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    AI(人工知能)の技術は、すでに私たちの生活の一部です。自動で適切な温度・湿度にしてくれる空調家電、障害物を感知すると自動で止まる車や、スマートフォンのバーチャルアシスタントなど、身近な製品に活用されています。

     

    便利で快適な生活をサポートしてくれるAIは、日常生活のみならず、観光の現場でも広く導入されています。観光業におけるAIの役割や活用の事例、メリットや課題を見ていきましょう。

     

    観光業でAIが活躍する場面

    AI通訳

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    AIは、観光業において非常に重要な役割を担っています。今後の更なる発展に欠かすことができない技術ですが、具体的にどんな場面で活躍しているのでしょうか。主に活用されている場面を3つ紹介します。

     

    外国人対応

    インバウンド政策によって急増した外国人観光客の対応には、AIが非常に役に立っています。スマートフォンのカメラで文字を読み取ると、自動で通訳してくれるアプリや、多数の言語に対応した音声翻訳アプリなど、AIを活用した通訳のツールが多数登場しています。

     

    また、AIとチャットでやりとりして必要な情報を収集できる「チャットボット」も、海外旅行の際に非常に便利に使えます。自分の母国語で「この付近にあるラーメン屋さんを教えてほしい」と頼めば、やはり母国語で答えが返ってきます。

     

    AIによる通訳ツールの発達によって、観光業の従業員とインバウンド客とのコミュニケーションが円滑になり、ガイド無しでも安心して海外旅行が楽しめる世の中になりました。

     

    宿泊施設の案内やサービスの受け付け

    AIの技術は、宿泊施設の総合的な案内にも活用されています。AIを搭載した旅行用のアプリでは、チェックイン・チェックアウトの時間の管理や、宿泊施設までの道順、温泉の泉質などをまとめて案内してくれます。

     

    また、モーニングコールの設定や枕の貸し出しといったサービスの申し込みに、AIを活用しているホテルもあります。

     

    従来までは宿泊施設に電話をしたり、フロントに赴く必要があったことも、今では簡単な操作ひとつで完了しています。AIの導入により、フロントに並んで順番を待ったり、確認を取るのに掛かっていた時間が削減されるので、より充実した観光を楽しめるように変化しています。

     

    観光名所の案内

    観光名所の案内でもAIが活躍しています。観光地の主要駅では「おすすめのお土産品は?」「この近くで眺めの良い場所を教えてほしい」などと話しかけると、画面の中のキャラクターが答えてくれるAIを搭載した装置が試験的に導入されています。

     

    多言語対応しているのでインバウンド客も使いやすく、便利で快適な日本旅行をサポートしているのです。

     

    また、このAIは萌えキャラの女の子がデザインされていますが、ご当地のゆるキャラに変更することもできるので、より地域をアピールすることに役立つでしょう。

     

    観光業におけるAI導入の事例

    AIスピーカー

    Kana-Design-Image – stock.adobe.com

     

    AIは、観光客のあらゆるニーズをカバーしてくれる頼もしい技術です。実際にAIを導入している観光業では、どのようにAIを活用しているのでしょうか。事例を紹介します。

     

    AIスピーカーを全客室に導入したホテル

    新宿駅からほど近い場所に立地するホテルでは、全ての客室にチャットボットを搭載したAIスピーカーを導入しています。従来まではフロント直通の内線電話で受け付けていたアメニティの追加などの依頼を、AIスピーカーで受け付けることによって業務の効率が大幅に改善したそうです。

     

    内線電話は夜間に集中しやすく回線がふさがりがちだったことや、聞き間違い、書き間違いによるミスが起こるという問題が解消され、お客様により快適な滞在を提供できるようになりました。

     

    AIを取り入れた老舗旅館、自社サイトからの予約が激増

    伝統を守って営業を続ける老舗旅館でも、AIの導入が始まっています。60年以上の歴史を誇る箱根の旅館では、ホームページのFAQコーナーにAIを取り入たところ、自社サイトからの予約が大幅に増加したそうです。

     

    一定時間サイト内に滞在していると、訪問者が開いているページに関連したFAQが表示されるという仕組みです。この仕組みの導入によって、訪問者は疑問が解決し、安心して宿の予約に進むことができるのです。

     

    また、電話での問い合わせが減少したため電話対応の負担が軽くなり、業務が効率化した効果も得られました。

     

    料金設定にAIを導入

    ホテルや旅館の宿泊代金は、曜日や季節、近隣でのイベント開催などによって変動します。宿泊施設の担当者が、過去の統計やイベント情報を収集して設定することが一般的で、時は読みが外れて不相応な価格設定になることが課題です。

     

    この課題をクリアにすべく、AIによる価格設定を導入しているホテルがあります。簡単な操作で、AIが価格を設定するために必要な情報を収集し、ウェブサイトに反映させるところまで完了されます。適切な価格に設定できるだけでなく、業務の効率も大幅にアップしたことでしょう。

     

    観光業にAIを導入することのメリットとは

    コストカット

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    AIはまだまだ新しい技術なので、導入するにはそれなりにコストがかかります。それでもあらゆる観光業で多く取り入れられているのは、もたらされるメリットが大きいからと言えるでしょう。AIを導入することによる、具体的なメリットを見ていきましょう。

     

    お客様の要望を正確に把握できる

    人間対人間のコミュニケーションは、伝える側の言葉の選び方や受け取る側の思い込みで、誤解が生じることがありますよね。勘違いから生まれたミスが重大クレームに発展することもよくあります。

     

    しかし、AIには人間のような思い込み・勘違いが無く、客様の要望を正確に把握できます。特に、サービスの依頼を受け付ける場面ではAIを活用することでスムーズになります。お客様側にある、人間の従業員に対する「言いづらさ」や「遠慮」が無くなり、本来の要望が出しやすくなるのです。

     

    人間同士の不要なやりとりが無くなることで、より円滑なサービスが提供できるようになるのですね。

     

    人件費の削減

    AIは、故障やシステムのバグなどが起こらない限り、素早く正確な処理をし続けます。人間の従業員が、時間と頭脳を使って行っていた処理をあっという間に片づけてくれます。

     

    そうすると、人間がやらなければならない仕事の量が減少し、少ない人員で現場を回せるようになるため、人件費を削減することができます。また、AIが受け持つ仕事が増えるほど従業員の教育に掛かるコストも減らせます。

     

    サービスの質が高まる

    AIを導入すると、効率は上がるがサービスレベルが低下するのでは?と思う人は多いでしょう。しかし、考え方を変えればより良いサービスを提供することにも、AIは大いに役立つのです。

     

    事務的な手続きや、簡単な案内の業務をAIに任せた分、従業員は個別のお客様への対応にあたったり、新たなサービスの開発に時間を費やせるようになります。また、浮いた人件費を施設の改修や品質の高い食材の仕入れに回すことも可能です。

     

    費用や時間は、使う意味のあるところに使うべきですね。AIをうまく活用して、メリハリをつけた運営をしましょう。

     

    観光業でのAI導入の課題

    通信障害

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    便利でメリットが大きい観光業におけるAIの導入ですが、クリアしなければならない課題も抱えています。どのような課題があるのか見ていきましょう。

     

    機械に苦手意識を持つ人が少なくない

    ITが非常に身近な存在になった現代社会でも、機械に苦手意識を持つ人はまだまだ少なくありません。お年寄りが苦手としているイメージが強いですが、実際は若い人の中にも「機械操作はしたくない」と思う人が結構多いのです。

     

    「難しそう」「下手に触って壊したらどうしよう」と思う人や、機械的な音声・無機質な姿に恐怖を感じる人も居ます。誰もが触ってみたくなるデザインや、簡単な操作にするなど、AIに親しみを持ってもらう工夫が必要ですね。

     

    ぬくもりのあるおもてなしをどう提供するか

    素早く正確な仕事をしてくれるAIは、とても便利なものですが、それだけ「お客様を捌く、処理する」という印象になりがちです。人間と関わる場面が減り、地域の温かさが伝わりにくくなる点は、AIが抱える大きな最も大きな課題かもしれません。

     

    機械の音声に「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」と言われても、嬉しいと思う人はあまり居ないのではないでしょうか。AIを導入するべき場面と、人間が対応する場面をしっかり見極めることが必要ですね。

     

    通信障害や停電に弱い

    AIは、インターネットや電力によって動くものです。ふだんは便利に使えていても、通信障害や停電などが起これば全く使えないものになってしまいます。

     

    不測の事態が起きたとき、滞在中の不便を掛けるだけでなく帰宅も困難になる懸念があります。停電や通信障害時の対応の準備は、平常時からしっかりと整えておきましょう。

     

    観光業ではAIに任せられる仕事が多い

    AIと人間

    Andrey-Popov – stock.adobe.com

     

    「心のこもったおもてなし」が何よりも大切な観光業に、AIの導入は相性が悪いという意見もあります。確かにどこもかしこもAIにしてしまっては「機械の操作をしているだけの旅」になってしまいますよね。

     

    しかし、事務的な手続きや案内業務が多い観光業ではAIが活躍できる場面が多々あります。程良く取り入れることで人間の従業員による接客を、より充実したものにすることも可能です。上手に取り入れて、より良い観光サービスを提供しましょう。
    なお、観光業に分類される職種や観光業が持つ役割については以下の記事でまとめて紹介しています。
    観光業とされている職種や社会での役割とは?観光業の今をまとめて解説

     

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