オリンピックで観光客・インバウンド客が増える!

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オリンピックは、世界中から観戦客が訪れる一大イベントです。2020年の東京オリンピック経済効果は30兆円を超える試算が発表され、期待が高まっています。
オリンピックの開催による経済効果は、競技場の設備やインフラを整えるといった直接的投資と、観光客の増加などによる付随的効果があります。
直接的投資よりも、付随的効果の方が圧倒的な経済効果があると見込まれています。直接的投資による経済効果は2兆円ほどの試算なのに対し、付随的効果は28兆円にも上るとされているのです。
国内外から観戦客も大勢集まるオリンピックは宿泊業界・観光業界に特に大きな影響を与えるのですね。次の項目から、具体的にどのような良い影響が期待されているのか見ていきましょう。
オリンピックによる宿泊業界・観光業界への影響

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オリンピックには、さまざまな経済効果があると言われています。期待感や高揚感が高まって消費活動が活発になる。高性能の大型テレビがよく売れる。建設やサービスの仕事で雇用ニーズが増える。
その中で特に大きな影響を受けるのは、観光・宿泊業界です。オリンピックの開催によって、観光・宿泊業界には以下のような影響があります。
観光客・インバウンド客の増加を見込んで宿泊施設が増える
オリンピックの開催地には、国内外から大勢の観戦客が押し寄せます。そうなると当然、宿泊場所を求める人が多くなるので、宿泊施設の新規開業が増えます。
1964年の東京オリンピックの時期には、都内に国際級のホテルが次々開業し、日本の宿泊業界に新しい風をもたらしました。2020年の東京オリンピックに向けても、誘致成功の後から建設ラッシュが続いたことが話題になりましたよね。
日本経済が活性化し、メリットの大きいことでしたが宿泊業界で働く人にとっては、ライバルが増えたということでもあります。今後ますます競争が激しくなるでしょう。
観光客・インバウンド客の増加によって宿泊業界の求人が増える
大量に押し寄せる観光客・インバウンド客に満足のいくサービスを提供するためには従業員の確保が必要です。オリンピックの開催に向け、各宿泊施設で積極的な採用活動がされています。
また、新しくできたホテルで働く人材ももちろん必要なので、オープニングスタッフの大量募集をしている宿泊施設もあります。
特に必要なのは、インバウンド客にスムーズな案内を提供できるバイリンガル・トリリンガルの人材です。雇用が増えるのはメリットですが、そういった人材は限られているため、あちこちの宿泊業界で求人が増えることにより、確保がますます困難になっている現状もあります。
給与や福利厚生などの条件を良くしたり、働きやすい職場づくりが不可欠でしょう。お客様だけでなく、従業員のことも大切に考えることが人材の確保には必要です。
地方にも観光客・インバウンド客が流れる
2020年のオリンピック開催地は東京ですが、地方の宿泊業界・観光業界にも経済効果が期待されています。
地方で開催される競技がある他、都市部の宿泊施設が埋まりがちで、宿泊拠点を地方にする観光客・インバウンド客が出ることが見込まれているのです。
特に注目されているのは、地方の民泊や民宿です。オリンピック開催期間中の宿泊施設不足をカバーすると同時に、その土地の魅力を訪れた人にアピールし、地方活性化につなげることを期待されています。
オリンピック終了後はレガシー効果が期待できる
オリンピック終了後、景気が一気に落ち込む懸念があります。それを避けるのが「レガシー効果」です。レガシー効果とは、オリンピック開催を契機として生み出されたもの・ことが、持続して社会の役に立つ効果のことです。
バリアフリー化した街や、競技場などの有形のものだけでなく、ボランティア精神や積極的な国際交流といった無形のものも含まれます。
宿泊業界や観光業界においては、館内設備のバリアフリー化や多言語化、国際的な接客のための従業員教育が、レガシー効果と言えるでしょう。
オリンピックで増える観光客・インバウンド客をホテルに呼び込むには

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オリンピックの開催で、観光客・インバウンド客は増大します。しかし、宿泊業界の競争が激しくなっている今、何もしなければ、せっかくの利益を大きく出すチャンスを逃がしてしまいます。
ライバル企業に負けず、観光客・インバウンド客を多く獲得するためには欠かせないものがあります。しっかりチェックして、しっかり備えてくださいね。
インバウンド客が増えるため多言語対応
オリンピックは何といっても国際的なイベントです。開催期間中は、これまで以上にインバウンド客が増えることは必至でしょう。
以前から行われているインバウンド政策に対応するため、多言語対応している宿泊施設や観光施設は多数ありますが、今後は更に質の高い多言語対応が必要です。
バイリンガル・トリリンガルの従業員を確保し、通訳アプリをインストールしたタブレットの導入などを進めましょう。
デジタルの活用で観光客・インバウンド客を呼び込む
ライバル企業が多い中、観光客・インバウンド客を呼び込むには、デジタルをうまく活用することが必要不可欠です。
SNSで宿泊施設・観光施設の情報を多言語発信したり、施設内でフリーWi-Fiを提供し、訪れた人がリアルタイムに施設の情報を発信できるようにしましょう。
また、両替の負担を無くすためにキャッシュレス決済の導入もした方がよいでしょう。クレジットカードやデビットカードも良いですが、モバイル端末を使った決済方法が世界では主流です。
さまざまな文化に配慮する
大勢の観光客・インバウンド客に対応するには、さまざまな文化への配慮が必要です。ビーガン食に対応したメニューや、お祈りの場所の提供、最近ではトランスジェンダーの方への配慮も求められていますね。
ただし異文化への配慮に注力しすぎて、日本人のお客様や、トランスジェンダーでは無い方への配慮に欠けた対応となることも避けなければなりません。
「お互い様」の心を持つことも、日本の文化としてお客様に伝えてみてはいかがでしょうか。その場に居る全員が完全に満足とは行かなくとも、なるべく多くの人が納得できる着地点を見つけることも必要なのです。
オリンピックをきっかけに、対応を見直そう

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オリンピックは、さまざまな地域の人が同じ場所に集まるイベントです。インバウンド政策によって、日本の宿泊業界・観光業界はずいぶん変貌を遂げてきましたが、まだまだ改善の余地があります。
東京オリンピックの開催をきっかけに、より便利で分かりやすい対応を考えてみてはいかがでしょうか。