クラシックホテルとはどんなホテル?

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クラシックホテルとは、どんなホテルのことを指すのかご存じでしょうか。明確な定義はありませんが、創業から長い歴史を持つホテルが、クラシックホテルに分類される場合が多いです。
日本においては、第二次世界大戦前に創業したホテルがクラシックホテルと呼ばれます。特に、今も営業を続けているホテルを指して使います。
また、和風旅館や「〇〇ホテル」という名称であっても営業のスタイルが和風旅館の施設は、歴史が深くてもクラシックホテルとは呼ばれません。
日本クラシックホテル協会

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第二次世界大戦前に建てられその建物を維持している、文化財や産業遺産などの認定を受けているなどの条件を満たすホテルが加盟する「日本クラシックホテルの会」という組織があります。
全国で9つのクラシックホテルが加盟するこの組織では、3年間で宿泊したホテルのスタンプを4つ集めると、お食事券やペア宿泊券が貰えるパスポートを展開しています。
また、各ホテルのカレーライスやスイーツ、カクテルを巡る特別なスタンプラリーも定期的に開催され、人気を博しています。
クラシックホテルの魅力とは

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クラシックホテルは、新しくできたホテルには無い魅力が多数あります。一度宿泊すると、その魅力にすっかり夢中になってクラシックホテルに泊まらずには居られない!という人も居るほどです。具体的にどんな魅力があるのか、紹介していきます。
価値のある建造物やインテリア
クラシックホテル最大の魅力と言えば、何といっても価値のある建造物では無いでしょうか。大切に手を入れて受け継いで来た第二次世界大戦前の建造物は、レトロで重厚な雰囲気があちこちから漂ってきます。
雰囲気のある大階段や、赤い絨毯を敷き詰めた廊下、マントルピース。かつて、日本人が憧れてやまなかった「西洋文化」が溢れる空間なのです。
また、価値の高いアンティーク家具が配置された、ちょっとしたミュージアムのような客室が自慢のクラシックホテルも多々あります。クラシックホテルでは、古きよきものに囲まれて、特別な時間を過ごすことができるのですね。
創業当時の味を楽しめる食事メニュー
クラシックホテルでは、創業当時のレシピを守り続けた特別なメニューが提供されます。
創業者が見よう見まねでこしらえたオムレツコロッケなどの洋食。プリンアラモードやアップルパイなどの、レトロなスイーツが味わえます。上質で、流行に左右されない食事を楽しめるのも、クラシックホテルの魅力ですね。
歴史の人物にゆかりがある
第二次世界大戦よりも前から存在するクラシックホテルには、歴史の人物にゆかりのある所も少なくありません。ヘレンケラーとサリバン先生や、チャップリン、英国皇帝など数多くの歴史人物が、日本のクラシックホテルに宿泊しています。
その人物にゆかりのある品物を展示しているホテルもあり、多くの歴史ファンが訪れています。
クラシックホテルでのお仕事

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クラシックホテルは、歴史と伝統を重んじる高級なホテルです。どのホテルで働くにしても、おもてなしの心は重要ですが、クラシックホテルでは特にレベルの高い接客が求められます。
また、建造物やアンティーク家具、ゆかりのある歴史人物についてお客様から質問を受けることもあるので、知識を身に着けることも必要です。
クラシックホテルの名にふさわしい、知性と教養を備えた従業員が求められるので一般的なホテルに比べると、採用のハードルも少々高いことが多いです。
例えば神奈川県のあるクラシックホテルでは、中途採用は契約社員待遇でも経験者のみ。他のクラシックホテルでもひとりひとりをしっかり育成する方針のためか、一般的なホテルでよくある大量募集はあまりされないようです。
ただし、レストランのホールスタッフなどアルバイト採用の募集もあります。クラシックホテルで働くには、新卒でエントリーするか、他のホテル、アルバイトで経験を積む、正しいマナーを勉強してから応募するなどの努力が必要となるでしょう。
クラシックホテルの集客効果

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ここまでで、クラシックホテルの魅力や特長がお分かりいただけたのではないかと思います。それではクラシックホテルを利用するのはどのようなお客様なのでしょうか。具体的な集客効果を解説します。
普通のホテルに飽きた人
クラシックホテルは、一般的なホテルに飽きてしまったお客様からの需要があります。新しくできたホテルも機能的な魅力がありますが、客室はどうしても画一的になりがちですよね。
一方、クラシックホテルは調度品に大変なこだわりがあり、客室のひとつひとつに違う内装を施しているということも少なくありません。次は別の部屋に泊まってみたい、という楽しみでリピーターになるお客様も多いのです。
建築関係者、建造物マニアに人気
アールデコ様式、ロココ様式など、西洋の伝統的な建築様式で建てられたクラシックホテルは、建築関係の仕事の人や、建造物マニアの人がこぞって見学に訪れます。宿泊しなくても参加できる、昼食付ガイドツアーを提供しているクラシックホテルもあります。
また、神奈川県のクラシックホテルは、館内のいたるところに木彫りの彫刻があります。中でも有名なのは、ロビーの柱に彫られた尾長鶏です。この尾長鶏は、ヘレンケラーの為に彫られたものなのです。
他にも階段や天井、廊下の壁などに見事な彫刻が多数あり、これらの彫刻を見るために訪れる人も大勢居ます。
ランチやティータイムで利用
クラシックホテルは、宿泊だけでなくランチやお茶を楽しむ場所としても人気があります。
宿泊するとなると少々気合がいるお値段ですが、ランチは5000円程度で美味しいフレンチが食べられます。ケーキとコーヒーのセットなら1500円くらいから。この価格帯なら「ちょっとした贅沢」くらいの気持ちで楽しめますね。
クラシックホテルを特色付けのお手本に

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今、宿泊業界は競争が激しくなっています。勝ち残るにはホテルに特色を持たせ、同業者との差別化を図ることが必要不可欠です。
長い歴史の積み重ねによって生まれたクラシックホテルの雰囲気は、簡単に真似できるものではもちろんありませんが、参考にできる部分は多いはずです。クラシックホテルの特長や取り組みをお手本に、特色あるホテルづくりを目指してみてはいかがでしょうか。